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番外編
ルーブル家もといサンライス家養子のゲイツは
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ルーブル家が事実上取り潰される少し前ー
母上にルーブル家の裏稼業がバレた。どこから漏れたかを考えている俺の横で、それはまぁ、母上は取り乱した。幼い頃に、いつも冷静にいて周りに遅れを取らないようにと厳しく俺らに言っていたのにも関わらず、自分は見苦しいほどに荒れた。
腹黒で自分の気に入らないヤツをお茶会に呼び陰湿なイジメをする母は、自分が知らなかったことがあるのがとても嫌だったみたいで、執事や父上の制止の声も聞かずに家の物を壊しまくった。
そして王家の金を着服してたと分かると否や、私は関係ないとばかりに離縁を申し立てた。
ーていうか何で知らねーんだよって感じだけどな。
パーティやドレスや装飾品やらと、湯水のようにお金を使っていたくせに、そのお金の出所はどこか、なども考えもしなかったのか。
とかいう俺も王家の金を着服している額を聞いてビビったけどなー…そろそろ裏稼業から手を引かないとまずい、あまりにも額がデカすぎ調子に乗りすぎだろ、それかもう少し大人しくするとか。父上は気付いていないのか、何やら王宮が不穏な動きがある。膿を一掃するようで、コソコソと情報を嗅ぎ回っている派閥があるらしい。
ーまぁ主にヴェルファン家絡みだろうが。
末の弟に適当にしろ、とは言ったものの、マリーが好き勝手に動きやがるせいで、あの頭がきれるヴェルファン家全員からうちの家は完全に目をつけられている。
表立った動きはないが、嫌な予感がする。
それを父上に伝えるも、クラベル家より優位に立とうと頭に血が上っているみたいで耳も貸さなかった。
ーならいいさ。弟と共々勝手に潰れろ。それでマリーも身分が弟とは釣り合わないと、分かるはずだー。
俺は何も知らなかった可哀想な長男として立ち振る舞うだけだ。
弟のマイクは臆病な性格だが、ルーブル家では珍しく真っ直ぐ育ち、悪いことには眉をひそめるタイプだ。今までは知らなかったですまされるけれど、これからはどうだ。
きっと保身やちっぽけな正義感の為に王家寄りの奴らに駆け込むだろう。
いつになるか分からないが、遠からずに調査がくるな。今でもヴェルファン家の奴らがちょろちょろしてるってーのに…。
それまで、俺に火の粉がかからないように、動くかー。
ほとぼりが冷めたらマリーを迎えに行こう。
俺の嫁はあいつだと決まっている。
また俺が迎えに来たら、あいつはどんな顔をするのだろうか。
嫌だと泣くのか、それとも、怒るかー。
「楽しみだー」
薔薇の花束を用意しておこう。
あいつは薔薇が好きだったからな。
それと猫も飼おうか。
あいつには友達なんていやしないから、少しは寂しさも紛れるだろう。
※
「は…?いま、なんて」
サンライス家の執事が頭を下げる。
「では、もう一度。ルーブル家の当主が捕まりました」
ー末の弟であるユーリ様がヴェルファン家で、クラベル家のお嬢様に刺され死亡されました。犯人のマリー嬢はその場で捕縛され、現在投獄中ですー
繰り返される言葉は、2度聞いても同じ内容で。
詰め寄り胸ぐらを掴みかけたい衝動に駆られ、身体が震えるが必死に堪えた。
は、まてよ、何してんだよ。
来月には俺とマリーの結婚式がある。そこにユーリも参列させようと思っていたのに。
ユーリとあの女はあの後すぐに婚約破棄をした。それにも少し予定が狂ったぐらいにしか思わなかった。破棄からまだそんなに経ってないはずだ。
なぜ、今。
俺が目をかけていた部下はどうした。あいつの周りを見張れと言っていたのに、何がー。
頭ん中が一瞬フリーズしたが、目の前にはサンライスの執事がいる。弱みを見せるわけにはいかない。
まだ父親の悪影響がないか判断されている最中だっていうのに。
「…そうですか、ご報告ありがとうございます」
今から弟のマイク様にもお伝えしてきます。お悔やみ申し上げます、となんの感情もこもっていない声で伝えられ、部屋を出て行った。
「ど、うなってやがるっ、」
机を叩きたくなるも、音が響くのを考慮して、ソファで我慢する。も、いかんせんフカフカすぎて怒りが発散されず、ただただ余計に焦りと怒りが増した。
ユーリを殺した?は?嘘だろ?あれだけ愛していたのに?ヴェルファン家にいたんだよな?殺すなら婚約者のほうだろ。何がどうなってそーなったんだよ。
捕まったってー…無事か、マリー。
父上が捕縛されたと言っていたが俺のところには来なかった、それは見逃してもらったか気付かれなかったと言うことだろう、それは思惑通り。
ー誰かに情報を集めさせー、くそ、それは無理だ
今の俺の立場はなかなか危うい。
ルーブル家とは縁を切って、この家に出戻ったのはついこの間。妹にはクソあめぇ実兄のサンライス当主に泣きつき、俺とマイクを養子として迎え入れた。そうすることで、悪いのは父上のみ、家族は被害者という絵面が出来上がる。
だが、ここで俺私用の使用人を使うと、きっとそこから足がつく。今回の事件で、俺の一挙一動をサンライス家は見ていて何か起こそうとすれば、サンライス家に火の粉がかかる前にと俺まで消されてしまう。それと、ヴェルファン家のことだ、血眼で今回の事件を捜査しているに違いない。
俺が直接マリーに会いに行けば、婚約者というので会えはしないか…?
いや、無理だ。会えはしても、俺も疑われ、始末されるだろう。一般的にもこのような婚約者の不祥事は一方的に婚約破棄として扱われる。そこに当人を会わせるなどの配慮は無い。問答無用で破棄だ。会おうとするヤツは関与してると疑われる。潔白なヤツならともかく俺は探られるとヤバイ。
しかも会ってそこからどうする。掻っ攫っていくのか?殺人犯を。捕まる前ならなんとしてでも逃せれたけれど捕まった後では無理だ。
なら、サンライス家もクラベル家と繋がり、利を得ようとしてたはずだ、なんとか利用できないかー…
いやそっちの方が不可能かー。もともとサンライス家はクラベル家になにも期待をしていないはずだ。転がり込んできた金になる話に少し興味があっただけで、蜥蜴の尻尾のように俺もマリーも切り落とされるだろう。
くそ、何をどう考えても無理だ、動けない!
「くそ、くそっ、マリー…」
こんなことが起こり、何かしら手を打たないとマリーが処刑されてしまうのは目に見えていた。
ー考えろ考えろ考えろ!
握った拳を額に何度も打ち付けて、マリーを救う手を考えようとする。
何度も何度も思いつく方法を浮かんでは却下する。
その合間にも、マリーが怪我をしていないか、などと今考えても仕方ないことがとめどなく思考を邪魔をする。
そして気付く。
「俺は、こんなにもマリーのことを愛していたのかー…」
頭を埋め尽くすのは、マリーのこと。
いつもは自分に有益な状況になる、または面白いと思ったことにだけ、考え行動していた。
だからマリーのことも興味を失ったら、すぐに飽きるであろうと思っていた。
だけど今どうだ。
マリーを死なせたくない、一目会いたいという無駄な感情だけで突っ走ろうとしているのを全身全霊で抑えつけないと走り出しそうだ。
早く俺のものにしとけばよかった。
弟なんか構わずに、なりふり構わず好きだ、と言えばよかった。そうしたら、マリーは弟を忘れて俺のことをー。
突然脳裏に、ユーリを見て頬を染めるマリーが浮かんだ。そして俺に向ける憎しみに満ちた顔も。
ぎゅっと目をつぶって、くそ、と呟いた。
歯をくいしばりすぎて、歯が欠ける音がする。
コンコンコン、と扉が控えめにノックされた。
兄さん入るよ、とマイクの落ち着いた声がする。
イライラしながら応じると、マイクがスルリと入ってきた。その肩には外套を羽織っており、俺の物も持っていた。
「父上に会いに行こう」
母上にルーブル家の裏稼業がバレた。どこから漏れたかを考えている俺の横で、それはまぁ、母上は取り乱した。幼い頃に、いつも冷静にいて周りに遅れを取らないようにと厳しく俺らに言っていたのにも関わらず、自分は見苦しいほどに荒れた。
腹黒で自分の気に入らないヤツをお茶会に呼び陰湿なイジメをする母は、自分が知らなかったことがあるのがとても嫌だったみたいで、執事や父上の制止の声も聞かずに家の物を壊しまくった。
そして王家の金を着服してたと分かると否や、私は関係ないとばかりに離縁を申し立てた。
ーていうか何で知らねーんだよって感じだけどな。
パーティやドレスや装飾品やらと、湯水のようにお金を使っていたくせに、そのお金の出所はどこか、なども考えもしなかったのか。
とかいう俺も王家の金を着服している額を聞いてビビったけどなー…そろそろ裏稼業から手を引かないとまずい、あまりにも額がデカすぎ調子に乗りすぎだろ、それかもう少し大人しくするとか。父上は気付いていないのか、何やら王宮が不穏な動きがある。膿を一掃するようで、コソコソと情報を嗅ぎ回っている派閥があるらしい。
ーまぁ主にヴェルファン家絡みだろうが。
末の弟に適当にしろ、とは言ったものの、マリーが好き勝手に動きやがるせいで、あの頭がきれるヴェルファン家全員からうちの家は完全に目をつけられている。
表立った動きはないが、嫌な予感がする。
それを父上に伝えるも、クラベル家より優位に立とうと頭に血が上っているみたいで耳も貸さなかった。
ーならいいさ。弟と共々勝手に潰れろ。それでマリーも身分が弟とは釣り合わないと、分かるはずだー。
俺は何も知らなかった可哀想な長男として立ち振る舞うだけだ。
弟のマイクは臆病な性格だが、ルーブル家では珍しく真っ直ぐ育ち、悪いことには眉をひそめるタイプだ。今までは知らなかったですまされるけれど、これからはどうだ。
きっと保身やちっぽけな正義感の為に王家寄りの奴らに駆け込むだろう。
いつになるか分からないが、遠からずに調査がくるな。今でもヴェルファン家の奴らがちょろちょろしてるってーのに…。
それまで、俺に火の粉がかからないように、動くかー。
ほとぼりが冷めたらマリーを迎えに行こう。
俺の嫁はあいつだと決まっている。
また俺が迎えに来たら、あいつはどんな顔をするのだろうか。
嫌だと泣くのか、それとも、怒るかー。
「楽しみだー」
薔薇の花束を用意しておこう。
あいつは薔薇が好きだったからな。
それと猫も飼おうか。
あいつには友達なんていやしないから、少しは寂しさも紛れるだろう。
※
「は…?いま、なんて」
サンライス家の執事が頭を下げる。
「では、もう一度。ルーブル家の当主が捕まりました」
ー末の弟であるユーリ様がヴェルファン家で、クラベル家のお嬢様に刺され死亡されました。犯人のマリー嬢はその場で捕縛され、現在投獄中ですー
繰り返される言葉は、2度聞いても同じ内容で。
詰め寄り胸ぐらを掴みかけたい衝動に駆られ、身体が震えるが必死に堪えた。
は、まてよ、何してんだよ。
来月には俺とマリーの結婚式がある。そこにユーリも参列させようと思っていたのに。
ユーリとあの女はあの後すぐに婚約破棄をした。それにも少し予定が狂ったぐらいにしか思わなかった。破棄からまだそんなに経ってないはずだ。
なぜ、今。
俺が目をかけていた部下はどうした。あいつの周りを見張れと言っていたのに、何がー。
頭ん中が一瞬フリーズしたが、目の前にはサンライスの執事がいる。弱みを見せるわけにはいかない。
まだ父親の悪影響がないか判断されている最中だっていうのに。
「…そうですか、ご報告ありがとうございます」
今から弟のマイク様にもお伝えしてきます。お悔やみ申し上げます、となんの感情もこもっていない声で伝えられ、部屋を出て行った。
「ど、うなってやがるっ、」
机を叩きたくなるも、音が響くのを考慮して、ソファで我慢する。も、いかんせんフカフカすぎて怒りが発散されず、ただただ余計に焦りと怒りが増した。
ユーリを殺した?は?嘘だろ?あれだけ愛していたのに?ヴェルファン家にいたんだよな?殺すなら婚約者のほうだろ。何がどうなってそーなったんだよ。
捕まったってー…無事か、マリー。
父上が捕縛されたと言っていたが俺のところには来なかった、それは見逃してもらったか気付かれなかったと言うことだろう、それは思惑通り。
ー誰かに情報を集めさせー、くそ、それは無理だ
今の俺の立場はなかなか危うい。
ルーブル家とは縁を切って、この家に出戻ったのはついこの間。妹にはクソあめぇ実兄のサンライス当主に泣きつき、俺とマイクを養子として迎え入れた。そうすることで、悪いのは父上のみ、家族は被害者という絵面が出来上がる。
だが、ここで俺私用の使用人を使うと、きっとそこから足がつく。今回の事件で、俺の一挙一動をサンライス家は見ていて何か起こそうとすれば、サンライス家に火の粉がかかる前にと俺まで消されてしまう。それと、ヴェルファン家のことだ、血眼で今回の事件を捜査しているに違いない。
俺が直接マリーに会いに行けば、婚約者というので会えはしないか…?
いや、無理だ。会えはしても、俺も疑われ、始末されるだろう。一般的にもこのような婚約者の不祥事は一方的に婚約破棄として扱われる。そこに当人を会わせるなどの配慮は無い。問答無用で破棄だ。会おうとするヤツは関与してると疑われる。潔白なヤツならともかく俺は探られるとヤバイ。
しかも会ってそこからどうする。掻っ攫っていくのか?殺人犯を。捕まる前ならなんとしてでも逃せれたけれど捕まった後では無理だ。
なら、サンライス家もクラベル家と繋がり、利を得ようとしてたはずだ、なんとか利用できないかー…
いやそっちの方が不可能かー。もともとサンライス家はクラベル家になにも期待をしていないはずだ。転がり込んできた金になる話に少し興味があっただけで、蜥蜴の尻尾のように俺もマリーも切り落とされるだろう。
くそ、何をどう考えても無理だ、動けない!
「くそ、くそっ、マリー…」
こんなことが起こり、何かしら手を打たないとマリーが処刑されてしまうのは目に見えていた。
ー考えろ考えろ考えろ!
握った拳を額に何度も打ち付けて、マリーを救う手を考えようとする。
何度も何度も思いつく方法を浮かんでは却下する。
その合間にも、マリーが怪我をしていないか、などと今考えても仕方ないことがとめどなく思考を邪魔をする。
そして気付く。
「俺は、こんなにもマリーのことを愛していたのかー…」
頭を埋め尽くすのは、マリーのこと。
いつもは自分に有益な状況になる、または面白いと思ったことにだけ、考え行動していた。
だからマリーのことも興味を失ったら、すぐに飽きるであろうと思っていた。
だけど今どうだ。
マリーを死なせたくない、一目会いたいという無駄な感情だけで突っ走ろうとしているのを全身全霊で抑えつけないと走り出しそうだ。
早く俺のものにしとけばよかった。
弟なんか構わずに、なりふり構わず好きだ、と言えばよかった。そうしたら、マリーは弟を忘れて俺のことをー。
突然脳裏に、ユーリを見て頬を染めるマリーが浮かんだ。そして俺に向ける憎しみに満ちた顔も。
ぎゅっと目をつぶって、くそ、と呟いた。
歯をくいしばりすぎて、歯が欠ける音がする。
コンコンコン、と扉が控えめにノックされた。
兄さん入るよ、とマイクの落ち着いた声がする。
イライラしながら応じると、マイクがスルリと入ってきた。その肩には外套を羽織っており、俺の物も持っていた。
「父上に会いに行こう」
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