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思い出せば、物心ついた時から私はダメな男が好きだった。

ダメな人が好き、じゃない。
なぜか好きになった人がダメなやつだと後から判明するのだ。



初恋の人は近所のお兄さんで、大学生の彼が大人びて見えてカッコいいと学校で騒ぎまくっていた。

のちに、その人は未成年を酒に酔わせ自宅で強姦し捕まった。


次に好きになった人はチャラチャラしてるけれど人間関係などを相談すると真面目に話を聞いてくれアドバイスしてくれるバイト先の先輩。

付き合って半年ほどしてから、三股が分かり、泥沼、そして破局。
ちなみに私は3番目だったらしい。



大人になってからは、しっかり吟味しこれでもかというくらい吟味し、友人に相談して客観的に見てもらって付き合った。

一人暮らしだというのに清潔感に溢れ、そして女性の扱いがうまく聞き上手だった。

その人とは長く付き合った。けれどある日、結婚をほのめかされ次のデートでプロポーズするから、と言われた。うん!とハートマーク付きで返事をしたが正直、なぜ次?しかもサプライズじゃないんだ?とハテナだったが、次のデートで理由が分かった。

待ち合わせ場所に付き、彼の車に乗り込もうとすると助手席に誰かが座っていた。え?と思い覗き込むと満面の笑顔の彼とー、母親だった。写真を何度も見せてもらったのだ、間違えるわけが無い。そして彼は母親と手を繋いでいたのだ。

その場で回れ右してサヨウナラだ。

そりゃあ、こ綺麗な格好してるよ。だって通い妻のようにお母さんが身の回りのことをしてくれてるんだから。


その次の人は、大人しめな静かな人。雰囲気が素敵と好きになった。

そしてストーカー並みの束縛。GPSを付けられて、どこへ行くのもホウ・レン・ソウ。いやー、仕事以外でしたのは初めてだったね。
しかも、好きな人ができたと振られた。なんで。


そして、最後の人は、仕事の取り引き先。

後から考えてみると副音声で俺様は偉いと聞こえて来るような男だった。

俺と仕事できて嬉しいだろ、となぜか偉そうにしていた。正直大きな仕事だったので、その発言は私の緊張を和らげようとしているんだ、となぜかその時の私はポジティブだった。
きっと仕事の重圧で弱っていたんだと思う。
そしてグイグイ引っ張ってってくれて、最終お前は俺のことが好きなんだ、という謎の圧に、そうなのかも、と思ってしまい付き合った。
ほんとあの時の私はどうかしてる。

その人は、隠れてギャンブルをしたり、キャバクラにお金をつぎ込み借金を抱えていた。
それを知らずに付き合っていて、デートのたびに財布を忘れてくることが度々あり、向こうの家には絶対に行かせてくれなかった。

そりゃそうだ。

家のポストは無理やりこじ開けられた形跡があり下が歪んでいたし、月末になると携帯の着信が鳴り止まなかったほどお金を借りていたのだ。

借金取りらしきヤがつく人がうちに来て、事情を説明され、その時発覚した。
ヤがつく人の方が常識ある感じだったのはどういうことだ。

事実確認をした際に、お前は彼女なんだからお前がなんとかしろよ、俺のために働けて嬉しいだろと言われた時には、なんかもう一気に冷めた。
そして私にはいっさい、何も関係ないことを伝えて、別れることを告げた。


ーその彼が、俺を見捨てるつもりでいるんだ、と逆上されて刺されたのだ。


刺されたところも痛いが、それ以上の男運の悪さに打ちのめされた。

流されるような女であった訳ではないし、イケメンばかり選んだり、癖の強そうな周りの人が眉をひそめるような人を選んだつもりもない。


なんで、なんでこんな男ばっかり!普通でいいのよ、普通で!!
と、強く神様を恨みながら、視界がブラックアウトして、そしてー。






パッと目が覚めたらフィーリア=シンクレアになってたっていうわけ。

しかも5歳で、俺様何様王子様の取り巻き兼追っかけをしていた。




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