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第五話「悪魔の手」
第五話・プロローグ
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◆プロローグ
─── カナダ・バンクーバー島 コルヴァズ火山上空 ───
「──こちらフレッド! 本当だ・・・! 本当に噴火してる・・・!」
死火山であるはずのコルヴァズ火山が、噴火した──
驚愕の通報を受け、消火用飛行艇の黄色い機体が、現地へと急行していた。
操縦士のアルフレッド・マクスウェルは、通信機に向かって現状を報告する。
幼い頃、兄とよく遊んだ森が、全く違う景色に見えてしまう・・・。
今まさに濛々と煙を上げている火山の存在感は、それほどに異様であった。
「近づくのは危険だ! 今のところマグマの噴出もないみたいだし、一度引き返そう!」
隣の席に座る同僚が、プロペラ音に負けじと呼びかけてくる。
アルフレッドは頷き、機外に搭載されたカメラで噴火の様子を映しながら、救急隊基地に帰投するため操縦桿を握った。
「・・・・・・? なんだあれは・・・?」
火山の上空をぐるりと旋回している途中──噴火口でうごめく何かを、アルフレッドは見た。
「マグマが沸き立ってるのか・・・いや、違う・・・!」
黒煙の向こう──円錐の頂点から、いくつかの巨大な筒のようなものがのたうち出でて──
そして、その正体を現した。
「────あれは・・・「手」・・・か・・・?」
アルフレッドはそう口にして、次の瞬間には思わず笑ってしまう。
火口と同じ幅の「手」など有り得ない。
熱による蜃気楼か何かに違いないと、眉間を揉んだ。
あの大きさの手の持ち主なんて、それこそ神話の巨人か──あるいは───
「テレビでやってた、ジャガーノー・・・」
直後──飛行艇へ真っ直ぐに向かって来た2発の火山弾が、両翼を精確に撃ち抜いた。
操縦不能となった「標的」が森林へと落下していくのを見届けて──
巨大な「手」は、赤く煮え滾る海に再びその姿を隠した───
─── カナダ・バンクーバー島 コルヴァズ火山上空 ───
「──こちらフレッド! 本当だ・・・! 本当に噴火してる・・・!」
死火山であるはずのコルヴァズ火山が、噴火した──
驚愕の通報を受け、消火用飛行艇の黄色い機体が、現地へと急行していた。
操縦士のアルフレッド・マクスウェルは、通信機に向かって現状を報告する。
幼い頃、兄とよく遊んだ森が、全く違う景色に見えてしまう・・・。
今まさに濛々と煙を上げている火山の存在感は、それほどに異様であった。
「近づくのは危険だ! 今のところマグマの噴出もないみたいだし、一度引き返そう!」
隣の席に座る同僚が、プロペラ音に負けじと呼びかけてくる。
アルフレッドは頷き、機外に搭載されたカメラで噴火の様子を映しながら、救急隊基地に帰投するため操縦桿を握った。
「・・・・・・? なんだあれは・・・?」
火山の上空をぐるりと旋回している途中──噴火口でうごめく何かを、アルフレッドは見た。
「マグマが沸き立ってるのか・・・いや、違う・・・!」
黒煙の向こう──円錐の頂点から、いくつかの巨大な筒のようなものがのたうち出でて──
そして、その正体を現した。
「────あれは・・・「手」・・・か・・・?」
アルフレッドはそう口にして、次の瞬間には思わず笑ってしまう。
火口と同じ幅の「手」など有り得ない。
熱による蜃気楼か何かに違いないと、眉間を揉んだ。
あの大きさの手の持ち主なんて、それこそ神話の巨人か──あるいは───
「テレビでやってた、ジャガーノー・・・」
直後──飛行艇へ真っ直ぐに向かって来た2発の火山弾が、両翼を精確に撃ち抜いた。
操縦不能となった「標的」が森林へと落下していくのを見届けて──
巨大な「手」は、赤く煮え滾る海に再びその姿を隠した───
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