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60、エルティーナの帰還
しおりを挟むボルタージュ騎士団専用の食堂は、とても賑やかで華やかだ。
いつも別々に演習をする男性騎士と女性騎士もここでは一緒で、独り身の者はもちろん、部下達との交流の為に既婚者も利用する憩いの場となっていた。
かなりの大きさをほこる騎士団専用の食堂は造りこそシックで飾り気はないが、騎士達の軍服が華やかな為、何もないウッド調デザインの机と椅子に、彼らや彼女らの軍服はとても映えて食堂を美しく彩っていた。
「アレンは本当に浮くな。何故か分からんが木の机と椅子が合わなさすぎて、お前の周りは異空間だ」
筋骨隆々の騎士、ボルタージュ騎士団長バルデンはしげしげとアレンを見つめる。
「食事をするのに、場所はどこでもかまいませんし、周りに合っていようがいまいが、私には興味がありません」
アレンの辛辣な言葉にバルデンは口籠る。黙って食べる姿は眼福ものだが、口を開けば残念でならない。
アレンは通常運転が冷酷である。騎士達はアレンが微笑んでいる姿は見た事がないし、優しいとは微塵も思わない。
アレンが微笑み、甘い言葉を放つのはエルティーナの側だけだった………。
「機嫌が悪いな。何かあったのか?」
大きな身体に似合わず優しく響く声色は、ピンッと張っていたアレンの気持ちの糸を少しだけ和らげた。
「申し訳ございません。騎士として思いが外に漏れているとは、修行が足りません」
「いや、いや、そんな重く捉えないでくれ。特に何もないし、私にはいつもと同じに見える。何となく機嫌が悪いのか? と言ってみただけだ。気にするな。
………ただ……いつもエルティーナ様の側にいるのが当たり前のお前が、ここに座っていて。当のエルティーナ様がフリゲルン伯爵と一緒にいるのが釈然としなくてな。少しモヤっとしただけだ。俺の勝手な思いだ、変な事を言って悪かったな」
「いえ……」
アレンはフリゲルン伯爵にエルティーナと離され、仕方なく今日一日は騎士団での雑務の仕事をしていた。
アレンからエルティーナを奪っていくフリゲルン伯爵が憎くて仕方ない。勝手で横暴なフリゲルン伯爵に手を出さないのは、ひとえにエルティーナの思い人だからだ。
エルティーナがフリゲルン伯爵を好みのタイプだと話していたから……だから、我慢が出来たのだ。
フリゲルン伯爵がエルティーナの意思にそぐわぬ行為をした瞬間、胴から首を離すのに躊躇いはない。アレンはずっとそう思っている。
フリゲルン伯爵もバルデン団長も、エルティーナさえもそんなアレンの狂気は知らない。
どんな事にも、どんな人にも興味がない…そう思われているのがアレン・メルタージュという人間だった。
食堂が賑やかになるのは、やはり女性がいるからだ。
ドレスでは普段隠れている身体のラインを惜しげもなく見せている軍服は、ドレスよりも女性の美しい曲線美を作り出していた。
騎士として各々誇りはあるが、やはり出会いを求めてしまうのは人であり。まだ若い見習いの女性騎士は男性騎士に人気で、もてはやされているのは当然の状態だった。
食堂で一番、男に囲まれているのがスワン伯爵の三女メロディーだ。
美しく波打つ金色の髪に金色の瞳の可愛い容姿の女性。並以上の剣の腕だったが、何分思い込みが激しく高飛車。エリザベスの近衛騎士という事がさらに彼女の自信に拍車をかけていた。
そんな彼女は恐れ多くもアレンに目をつけていた。エルティーナのように心から、アレンを愛しているわけではなく。見た目が自分に合うからという、勝手な思い込みから好きなのだ。
そう、アレンが一番嫌いなタイプの人種だった。それに輪をかけ彼女は今ここで、エルティーナのあまり良くない感想を我が物顔で男性騎士に話していたのだ。
これで、アレンに気に入られようと思うあたり空気の読めないメロディーの残念な所だった。
「私、先日エルティーナ様の護衛につきましたの。天使と言われていたから本当にお会いするのが楽しみでしたのに。でもね、普通だったわ……。
皆さんが良くいい過ぎなのよ。だからまだいいお年なのに、ご結婚されてないのだわ…可哀想に……噂を気にされて、きっと恥ずかしくて大きな舞踏会に出れないのよ」
「メロディーより、可愛いわけないよ。だいたい噂はあくまで盛るからね。仕方ないよ」
「まぁ。いやん。ありがとう!! 嬉しいぃわぁ」
甘ったるい声で、メロディーは男性騎士の腕に抱きつく。どうしたら自分が可愛く見えるか分かっているのだ。
「何かあったら言えよ。メロディーの頼みなら、何だって聞いてやるよ!」
「やんやん。嬉しいぃ!!!」
メロディーは、また抱きつく。彼女はスキンシップが多かった。これも男性騎士を虜にする技だった。
気分が上がってきたメロディーは、もっと大きな声ではしゃぐ。アレンに気づいてもらうためだ。
「女性騎士がいると、明るくなるな」
キャッキャッ と話しているメロディー達を見て団長バルデンは軽く微笑む。
「そうですか」
「アレンは興味がないか………。アレンの興味はエルティーナ様だけか?」
バルデンの言葉にアレンは、食べていたスープで噎せた。
「おい、大丈夫か? 言っとくが変な意味で言ったわけじゃないからな」
「………分かっております」
「…あのな……言おう、言おうと思っていたが………お前達はおかしいぞ。
……この間の立食パーティーでは、見て見ぬ振りをしていたが…今度会ったら言ってやろうと思っていたんだが」
バルデンの言葉にアレンは顔を上げる。
その時、先ほどまで遠く聞こえていた甘えたような声を出すメロディーがアレンとバルデンの側に来ていた。
「バルデン団長! アレン様! こんばんは。メロディーと申します!! こんな端ではなくあちらで一緒に食べませんか?」
メロディーは可愛く見えるようにピシッと敬礼をした直後、女としてアレンから身体を欲してもらう為の技に出る。
色気を出すために腕を前に寄せ、その状態をキープし机に手をついてみせた。
胸の膨らみを強調させたいのだろうが、常日頃超絶グラマラスなエルティーナを見ているアレンには、貧相が無駄に頑張っているとしか思えない。
ちなみにバルデン団長の奥方もかなりグラマーで、二人にはメロディーの魅力は全く伝わらなかった。
「えっと……メロディーくん。俺はもう帰るつもりだから、すまないな。ありがとう」
バルデン団長は柔らかく微笑む。その微笑みにメロディーは微笑みを返し、アレンの方を見る。
「私の可憐な微笑みはどうかしら!!!」という気持ちを胸に抱き。しかしアレンはメロディーと全く目を合わそうともせず、残りのスープを飲んでいた。
「アレン様は??」
すすっと、アレンの側に近づこうと身体を寄せようとした……メロディーは、今の有り得ない状況に硬直していた。
周りにいたメロディーの取り巻きの男性騎士も、恐ろしい光景にその場に縫い付けられたように固まっていた。
そう、メロディーの喉元にはアレンのサーベルがピッタリと当てられていたからだ。
もちろん鞘に入ってはいたが、団長でさえアレンの行動を目で追えなかった。
「近づくな。喉を潰されたくなければ、それ以上話すな」
アレンの言葉に食堂中が静まり、誰も話さない。バルデン団長でさえ、アレンの行動に度肝を抜かれしばらく固まっていた。
「ア、アレン待て待て、冗談じゃすまなくなるからな。サーベルを引け」
バルデンの言葉にゆっくりとメロディーの喉元からサーベルを離す。
「私と遊びたいのなら、エルティーナ様を悪くいうのは問題外だ。ボルタージュに有益な情報を持ってきたら一晩、相手はしてやる。
そして用事が無ければ黙れ、お前の声は聞くに堪えない」
アレンは冷たく言い放ち、食堂が一気に凍りつく。
遠くで見ていたルドックは心の中で叫んでいた。嫌、エルティーナの悪口をでかい声で話していた所から、すでに叫んでいた。
(「メロディーお前は阿保かーーー!!! 何がしたい!!! アレン様の前でよくエルティーナ様の悪口が言えるな!! 褒めたって ボコボコにされるのに。悪口なんぞ、信じられないーーー」)
ルドックの無言の叫びに、側にいたホムールも「うん、うん」と同意している。
悪い事は続くもので、今の状況をさらに悪化させる人物が食堂に入ってきた。
「うん? 食堂がやけに静かだな? あれ? 人はいるじゃないか??」
「パトリック、入り口で止まるな、中に入れ」
フローレンスはパトリックに注意をするが、二人の会話はここまでだった。
気づいた時には、パトリックはアレンに手加減なしに首を絞められていた。
自分が首を絞められている現状が理解出来ないが、あまりにアレンが恐すぎて、弁解が出来ない。真横にいるフローレンスも動けないでいた。
いち早く覚醒したバルデンはすぐ動き、渾身の力でアレンの腕を掴み、大声量でアレンの耳元で叫ぶ。
「アレン!! 手を離せ! パトリックを殺すつもりか!!!」
バルデンの言葉にアレンは手を緩める。
「パトリック、お前はエルティーナ様についてフリゲルン伯爵の屋敷に行ったのではないのか」
神経を凍らすアレンの声にパトリックは必死に息をしながら答える。
「…ゴホッ……ゴホッ…知り……ません…よ…」
何も言葉を発することなくアレンは、テーブルに置いておいたサーベルを持って食堂を出ていく。
「パトリック大丈夫か? 悪いが俺はアレンを追う。あのままだとフリゲルン伯爵を殺しそうだ」
「……ゴホッ…了解です」パトリックは軽くバルデンに敬礼し、今、息を吸える現実をありがたく噛みしめる。
「パトリック様……大丈夫ですか? 水、どうぞ。あと、分かる範囲まで俺が説明します。アレン様の怒りのスイッチを押した半分の理由は、空気の読めないメロディーの所為です」
まだ静まりかえる室内にルドックの声が響き、皆が一斉にメロディーを睨む。
腰が抜け床に座り込んでいるメロディーに誰も手は貸さない。命を危険にさらしたくないからだ。薄情かもしれないが、先ほどのアレンを見れば仕方ないとしか言えなかった。
「あいつは、今、エル様と二人。王宮側の人間を付けずだと。なめた真似を。あの口、話せないようにしてやる」
アレンは騎士団の食堂をでて馬舎に行き、自らの愛馬を手に王宮の門に向かう。王宮の門にはバルデン団長が一足先にアレンを待っていた。
「アレン。冷静になれ、少し待て、お願いだから冷静になってくれ。確かにパトリックを付けると嘘を話したフリゲルン伯爵は最低だが、エルティーナ様の前で殺すつもりか!?彼女が一番嫌いなおこないだぞ」
「問題ないです。血を見せず殺すつもりですので」
「嫌待て、そういう意味じゃない!!!」
バルデンがアレンを止めようと必死になっている時、王宮の門が開く………。
門からは馬車が通ってくるのが見え、誰か予想は出来る。
「終わったな………」バルデンはこれから起きる斬撃をどう処理しようかを考えていた。アレンを止めようとは考えなかった。止めたら自分も巻き添えだからだ。
こちらに気づいたのか、馬車が止まる。
馬車の中は無言の空気が漂っていた。王宮が見えてくるとレイモンドが話しかけてくる。
「今日はアレン様と離して悪かったよ。陛下に言いたいなら言えばいい。僕は全力でダルチェやダスティーを護るよ。僕が家族を一度に失って自暴自棄になっていた時、みんなは僕を見て見ぬ振りしていた……だけど、ダルチェだけが最後まで僕を見捨てなかった。殴ったりしたのにね、何時までも僕を抱きしめてた。
彼女を愛して当然じゃない??」
レイモンドの顔はいつもの仮面ではなく、本当に〝愛〟がある顔だった。全く違う顔のはずなのに少し、アレンに似ているとエルティーナは思った。
「言わないわ。そんな話を聞いたら言える訳ないじゃない。あぁ、これも貴方の作戦かしら」
苦しげに笑うエルティーナを見て、レイモンドは真面目にゆっくりと話す。
「エル様、アレン様は貴女の事を本当に愛しているよ。本当に分からない? アレン様から見たら僕がダルチェにむける想いなんて、まだまだ軽いと笑われるよ。
あなた達にどんな理由があって男女の関係にならないのか分からないけど、アレン様の気持ちを軽く考えない方がいいよ。彼の愛は狂愛、僕にはね、すでに狂ってるとしか思えないんだ」
「……よく……わからないわ……」
「………そっか」レイモンドの声はひどく優しかった。
レイモンドの言っている危ない人は、正しくエルティーナの事だろう。エルティーナがアレンを狂うように愛しているのだ。エルティーナは天使じゃない。
仮にもし一人しか助けられないと言われたら迷いなくアレンを選ぶ。父、母、兄、ラズラ、ナシル、誰を犠牲にしてもエルティーナはアレンを選ぶ。エルティーナの想いこそが……狂愛だった。
「…うん? ……ア…レン……? 嘘?? アレンだわ。門の所にアレンがいるわ!!」
「うわぁーーー最悪。ちょっと、馬車止めて。今すぐ」
「えっ!? なんで馬車を止めるのよ!!」
「うん。エル様の考えはこの際どうでもいい。僕はね、パトリック殿を貴女に付けるからアレン様は一緒に来ないで。って言ったんだよ。いるはずのないパトリック殿を見たんだろうね……。弁解の余地なく殺されそうだ」
「レイモンド様、さっきから色々とアレンの事を失礼に言いすぎです!! 猛獣だとか狂愛だとか、アレンほど穏やかで、甘く、優しい人はいませんよ!!」
「はぁ~!? エル様は一度、頭のネジを探しに行った方がいいよ。アレン様の何処をみて、穏やかやら優しいなんて言葉がでるのか分からないよ。頭がおかしいんじゃないの???
もういいから、エル様、降りて。降りて。
エル様、貴女はここから降りて、笑顔でアレン様に駆け寄っていき、抱きついてください。分かった?」
「な、なんでよ!!」エルティーナはレイモンドの提案に真っ赤だ。
「僕の命を助ける為にだよ。お願いだから、僕はまだ死にたくないんだ」
「駆け寄るのは安心させる為だと分かるけど、抱きつくのは無理よ。嫌がられたら、私…心が折れるわ……」
「………君達、絶対おかしいから。分かった分かった、じゃあ、アレン様の腕に手を置いて。これなら出来るでしょ。あーちなみに、サーベル持ってるほうね、分かった??」
「レイモンド様の言っている意味は分からないけど、やる事は分かったわ………」
「来るから、来るから、早く降りて」
「レイモンド様………やっぱり、アレンに失礼よ」
エルティーナは自ら、馬車を降りる。もうかなり近くまでアレンとバルデンが来ていた。
(「よく、分からないけど……約束は守らなくちゃ。笑顔で駆け寄り、サーベル持ってるほうの腕に手を置くね。よし!!!」)
「アレンーー! ただいま戻りました!!」
満面の笑みで駆け寄る、これは演技ではない。だって会いたかったから、アレンにそっくりな壁絵でも勿論嬉しい。でも…今はまだエルティーナの護衛。あとひと月はエルティーナのもの。
(「絶対誰にも渡さないんだから!!」)
薄暗い中でもアレンの色彩ははっきり分かる。
(「アレンは本当に綺麗なのよ!!!」)
アレンの近くまで行くと、嬉しくて身体が震える。レイモンド様に言われたら通りにサーベルを握っている方の腕に手を置く。
(「嫌がらないで……お願い…払わないで……。貴方に直に触ってないでしょう。お願いだから振り払ったりしないで……」)
触れた腕は硬い筋肉がついているのが分かる。太くて硬い……エルティーナの贅肉だけの腕じゃない。アレンはやっぱり凄い。
エルティーナはアレンの腕を見てから瞳を合わせるべくゆっくりと見上げる。アメジストの瞳と合わさった時、エルティーナは驚くほど美しく微笑む。
「アレン。ただいま」
「……お帰りなさいませ。エル様」
アレンは、エルティーナと見つめ合う。そして甘さたっぷり極上の笑みを浮かべた。
バルデン団長はアレンの表情に驚愕し、エルティーナは「ほらっ。アレンはやっぱり甘くて、穏やかで、優しいわ……」と、心の中でレイモンドに反撃しながら、アレンに癒されていった。
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