妖精王の味

うさぎくま

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37、魔法の道と魔力

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「ハーベストさん、これですか?」

 凛音が抱き上げたミミルの足首に手を添えた。答えたのはキャルルだ。


「酷いわ、何よこれ。凛音お姉様、魔力封じは子供にはよくするのですが、これほど何重にも付けるのは酷いと思います!!」

「キャルルさん、外せますか?」

「凛音お姉様、キャルって呼んでください! 口調もさっきのがいい!!」

(こんな時に、駄々っ子か…)

『キャルル様、御可哀想に…』と慰めるようでいて、何故かキャルルの胸を当たり前のように揉むハーベストに凛音はまたも引く。


(異世界は、性がオープンなんですね。妖精族も、まぁ廊下でやりまくっていたからな…慣れたけど…。
 私は断固拒否だわ。絶対に嫌だわ)



 広場では死体を麻袋に入れ、手を合わせる人達が。同じ犬族だからか、街人の優しさに凛音の鼻の奥はツンと痛む。


「あそこの店主なら外せるぞ」


 知らないおじいさんが凛音達に声をかけてくる。

 ロマンスグレーの髪に、優しさが目尻のシワに刻まれているような男性だ。
 その横には男性の手を握り、心配げにこちらを見る白髪のふくよかなおばあさん。
 二人は夫婦なのだと、確信し。いつまでも恋人みたいな距離に胸が熱くなった。


「そうなのよ、あちらの店主は凄い魔力持ちだから」

「…ありがとうございます」
(い、行きたくない)


 おばあさんまで、あちらの店をオススメしてくる。そう張形専用のアノ店だ。
 一生入る気がなかったのに…と凛音は思いながら、ハーブ店長が持ってきてくれたお湯でミミルの足を洗い、服を新しく着せた。

 普通は建物内に入ってや物陰に隠れて着替えるはず。広場の真ん中で、脱ぎ着させるとは思わなかった。


 どこまでも、やはり異世界は分からないし、分かりたくなかった。


 そしてこんな事件が起きたなら、蜘蛛の子散らすように逃げるはずが、広場からは誰もいなくならず。皆が成り行きを気にしてか静かにその場で《待て》をしている。



 凛音は血がついたエプロンだけ変えて、こ綺麗になったミミルをまた抱き上げる。ちょうどその時、ハクリが広場に到着した。


「うわ、これは酷いな。凛音、聞いたよ。賞金全部渡すなんて流石だね」

「ハクリさん!って、そのカッコ…(制服マジックだわ、かっこよく見える…)」


 ハクリの仕事に興味がなかった凛音。

 二日目からは一人暮らし(ハクリとルルの家にいたのは初日だけ)で、紹介された仕事場ではルルと会うが、ハクリとは会わなかったから余計に驚いた。

 黒を基調とした服に、金の刺繍や金のカフス、帯剣しているサーベルの鞘も煌びやかときた。
 軍服っぽい出立は、確かにかっこいい。これはモテる筈だと凛音も納得する。


「これでも王宮勤めだからね! 凛音は驚くほど僕に興味がないよね。僕モテモテなはずなのに…おかしいなぁ」

「制服姿だけは、まぁまぁ、かっこいいですよ」


 ルルが堪えきれず笑っている。何人かの女の人達はハクリにウットリしているので、モテるのは確かなのだとは思う。

 だが悲しいかな今の凛音の基準は妖精族でエティエンヌフューベルだ。彼らや彼女らに比べるとハクリといえども多少見目は落ちる。



「ハクリにも塩対応とはね、あなた最高!! 流石あの巨根を受け入れるだけの素質があるわ」


 高らかに宣言しながら凛音達の輪に入ってきたのは、アノ店の女店主ガガットさんだ。
 いやもう挨拶のようになったその卑猥な台詞をやめてもらえないだろうか。

 褒められているのは理解したが、全く嬉しくない。むしろ鳥肌が出るほどに嫌だ。

 親切な人がガガットを呼んできてくれたのだ。皆が動向を気にして、静かにその場で《待て》を続行中。



「ガガットさん、やめてくださいって、何度いったら分かるのですか?」

「はい、はい、旦那の張形を提供してもらうまで言うよ?」

「提供しません! 絶対にしません!」

「儲かるわよ?」

「アレは私のです!! 他の方には絶対に味わって欲しくないです!!それにガガットさん。アレに慣れたら他のが売れなくなりますから。
 皆様の夫婦生活が破綻しますよ?世の女性が私の旦那の張形に慣れたら、他のでは満足できなくなり。性行為は減る。となると一気に出生率も下がります。それでも私の旦那の張形が欲しいですか?」

 私の声が聞こえた近くの男性陣が涙目だ。

(ほらみろ、泣いてるけど、メンズ達)


「た、確かに…。アレに慣れたら、終わりだ。だから凛音は他の張形に見向きもしないんだね」

 ハーベストは分かった風に納得している。

「…いや、そうではなく。それでいいですよ」

 凛音は説明に飽きた。



「ママ…」

 ミミルに呼ばれてハッとなる。

「何?」

「ミミルはママが好き。でもパパも欲しいの。だからミミルの魔力使って呼ぶの。前も一回したの。
 あのね、ミミル、うらやましいの。ママとパパがミミルは欲しいの。いつもお星様にお願いしたの。
 綺麗なママと綺麗なパパが、ほしいですって!!」


 凛音はエティエンヌフューベルを知っているからこそ、綺麗なパパ発言をさらっと流したが、周りにのメンバーは皆が内心ツッコミ。

(((((綺麗なパパって無理だろう…)))))

 当たり前だが、この異世界でも綺麗な男性なんてあまりいない。



 凛音だけはミミルの精一杯の願いに胸が痛んでいた。

 当たり前がミミルには当たり前ではないのだ。ミミルの宣言を聞きながら、手早く足首に巻かれた魔力封じの足輪をガガットは外した。



「魔法を解除しながら外さなくてはならないのに、凄い簡単に外すのですね」

 唯一凄さが分かるハーベストが、マジマジと見ながら呟く。

「まあね、これくらいなら朝飯前よ」

 ガガットさんは、バーーーンと張り出た胸部をさらに張り出し褒められたのに満足気。


「ガガットさん、ありがとうございます。お金はまた後日に払、」

「いらない、いらない。それより、凛音の旦那さんをみたい。凛音では無理そうだから旦那に直接交渉するわ。タガルガ王の交渉も私がしたのさ」


 ふんぞりかえるガガットに、凛音は呆れていた。

 十六歳で、妻の数はすでに歴代最高の十五人。子供の数もすでに十九人と過去最多記録。そんな人だから張形もオッケーだったのだ。

 伴侶しか興味ない。伴侶一筋の妖精族が張形を使うとは到底思えない。
 そして凛音がエティエンヌフューベル様の張形を世に出したくないと言えば出さないはず。その逆で出したいといえば、協力してくれる。

 しかし。

(死んでもいやだけどね。エティエンヌフューベル様は私の旦那様ですから、独り占め致します。すみません)

 心の中で凛音は謝った。


「ママ、力があふれるぅー」

「うわっ!!」


 ミミルが光っているのに驚く。大丈夫なのか不安になり身体中を確かめるが、本人はいたって普通。
 ガガットに下ろせと言われた凛音は、ミミルを抱き上げるのをやめ地面に下ろす。ガガットは何故かミミルに説明をしだす。



「ミミルちゃん、よし。前と呼びかたが違うかもだから。復唱ね!
 丸を手で作ろう。そうそう、上手。そこにふぅ~と息を吐くのだけど。違う違う。ちゃんと詠唱しながら吐くのさ」

「えいしょう? 前はえいしょうしなかったの」

「この場合は、凛音ママの旦那を引き出すから詠唱がいるのよね、詠唱は…」

「パパきて!! でいい?」

「…うん、ま、普通はもっと長いのだけど。子供だから邪念が入りにくいし、大丈夫か…。
 ま、いいかな…。失敗したらまたすればいいか」


 納得するガガットに、ハーベストとハクリがマッタをかける。


「ガガット、ちょっと待って。確認してからだよ!! 詠唱付きなんて強力な『人呼び』は慎重にだから!!
 さぁ引き出したら、凛音の旦那が遺体になってたとか寝覚悪すぎるからさ」

「ハクリさんの言う通りです。詠唱付きの魔法の道は、魔力が少ない者が通れば、五体バラバラにされます。身体にくる圧力が凄まじいのです」



 今、はじめて気づいたガガットは青ざめている。

 ギャラリーも青ざめている。


「ガガットの悪いところだよ。腕は確かだけど配慮がない。王もそれを踏まえて謹慎せよと言っていたのに、あんな店まで作ってさ。反省してるの??」

 ハクリは軽いが常に正論を吐く男。


「悪かったよ。あの店は興味本位だし、旦那にも少ししか使ってないし。毎日ではないからさ」

「張形は旦那さんに使うものじゃないからね!ほんとあまり大事にしたら、今度こそ王は許さないだろうよ」


 ハクリは真面目な顔でガガットに注意するが、凛音はまた人様の性生活を聞く羽目になった。

(マジで嫌だな、本当に勘弁してください…)

 凛音だけが馴染めず脱力していた。




「ねえ、ねえ、こっからは? パパ呼ぶの、えいしょういるって分かったの。それから、どうやってよぶ?」


 話が脱線してもミミルだけが本来の目的を忘れない。流石だ。よほどママとパパが揃うのが願いなのだろう。金色の瞳がキラキラだ。

 凛音だって早くエティエンヌフューベルに会いたい。もう頭がおかしくなるほど会いたいのだ。
 皆の心配も分かるが、魔力なら大丈夫だ。エティエンヌフューベルに出来ない事はない。


「魔法の道は通れます!私の旦那は魔力も桁外れですから大丈夫です」


 凛音が笑顔を浮かべ言葉を発すると、その場が静まりかえる。それは本当か!?冗談が過ぎるぞ、と皆の顔に書いてある。

 凛音もそりゃそうだと思うが、間違いなくエティエンヌフューベルの魔力は桁外れだと宣言できる。

 そしてエティエンヌフューベル様を呼び出すなら、皆に今までついてきた嘘を、謝罪しなくてはならない。

 再会したなら、凛音は泣いてしまう。それはもうすがりついて泣きじゃくるだろう。すでに涙目だから仕方ない。謝罪は先に必要だ。



「ママ、ママ、泣かないで」

 ミミルは心配そうに、凛音の足にすがりつく。


「ミミル、ごめんね。違うか、ありがとうよね。ミミルに会わなかったら、こんなはやくに旦那様に会えなかったし」

「ママ、違うよ。ミミルのお願いをお星様が叶えてくれたの!!」

 可愛い笑顔に癒されるが、話すことは話しておかないと。



「あのね、ミミル。ママはパパと会ったら、泣き喚く予定だから、後でちゃんと紹介するから…。
 パパの腕の中で、しばらく泣いてもいいかな?」


「いいよ、いいよ、嬉しいって泣くなら、いいよ。ママはパパに会いたいの、ミミルは大人しく待ってるの」

「ありがとう、ミミル」

 抱き合う凛音とミミルに、皆も「うん、うん」と頷いている。



「旦那が五体バラバラにならないとなったから。じゃあ、ミミルちゃん。やろうか!!」



 ガガットに言われるようにミミルは小さな手で円をつくり。
「ママのパパ、来てくださいぃーー」という可愛らしい発言をし、息を吹きかけた瞬間。

 目の前には、凛音をすっぽりとのみこむほどの真っ黒なブラックホールが出現した。


「おぅ、見事だ!!!」


 ガガットの言葉につられ皆も口々に称賛するが、凛音には恐怖だ。これはかつてのまれたブラックホールと相違ない。


「さあ、凛音。名前を念じながら手を入れて、掴んだら思いきり引っ張るのさ、凛音?」

「これに手を入れる? 無理です。無理…」

「凛音?」「凛音お姉様?」


 ルルとキャルルの声が聞こえるが、凛音はブラックホールの前でしゃがみ込んでしまう。

 カタカタと震える身体を抱きしめてくれたのは、ハーブさんだ。



「私の旦那はさ、結構はやく死んじゃったから。ほらっ凛音の愛しの旦那は生きてるんだ。
 人てのはいつ死ぬか分からないんだ、生きているうちに抱きしめてもわらなきゃだよ」


 背中に温かなハーブさんの温もりを感じる。


「頑なに種族と名前を言わないってのは、何かあるんだろう?
 凛音の勇気で繋がった道だ。恐いなら片方の手を握ってあげるから、頑張れ!」

「ハーブさん…」



「ブラックホールから落ちてきたから、凛音は恐いんだよね、大丈夫だ。旦那の胸に飛び込むだけだろ。
 それに今呼ばないと、結構大変だ。きっと明日はこの女の子と凛音を狙って、昼間の男達が来る。
 魔法の道を通れるくらいの魔力持ちなら、戦力になるから。是非討伐を手伝ってもらうつもり」

 どこまでも色男のハクリ、ウィンクをしてきた。



「凛音様、私からも。頼みます。私一人ではキャルル様と数人程度しか守れない。
 この街の優しい方々を守るには、助っ人が必死です。凛音様がおっしゃる事が事実ならば強い助っ人になるはず。宜しくお願いします」

「ハーベストさん…」



 たった二週間。

 エティエンヌフューベル様には悪いが、シェルバー国は凛音の性に合う。

 凛音はすくっと立ち上がり、頬を叩き気合いを入れる。


「皆さん、まずはありがとうございます。そして沢山の嘘をつきました。申し訳ございません」

 嘘ってなんだ、なんだ、とギャラリーは不安げだ。



「ルルさん、私の旦那様は狼種ではないの。バレたら色々大変で、黙っていました。
 キャル、勝負したことは黙っていてね。私が張形店に行ったのを知れば、この一帯火の海になりそうだから。
 ハクリさん、ハーベストさん、私の旦那様にかかれば一網打尽です。人身販売なんて潰しましょう。
 ハーブさん、沢山お礼はします。旦那様が(笑)お金持ちなので。
 ガガットさん、張形の直接交渉は無理ですよ、絶対。出来るものならどうぞです。
 ミミル、とても綺麗でカッコいいパパだから、楽しみにね!」


 皆が呆気にとられているところだが、凛音はハーブさんの手を握り返し、そして手を離す。


 凛音は恐怖を押し殺し、ブラックホールに両手を入れた。



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