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24、アユーバラ王国へ
しおりを挟む凛音とエティエンヌフューベル一行は、アユーバラ王国にいた。
どうしてこうなったか思い返せば。
一言で言えばアユーバラ王妃ダリアを凛音がいたく気に入り、話せば話すほど盛り上がり「まだ、話したらない」という態度を凛音が見せた結果だ。
自国に早く戻らないといけないと話す国王夫妻に、寂しそうに「残念です」と話した凛音に、エティエンヌフューベルは提案したのだ。独断で。
外遊としてアユーバラ王国に行くか?と相手側の了承も得られていないのにだ。凛音にはまだ異世界の理ことわりが分かっていない。
提案してきたエティエンヌフューベルに、嬉しい驚きと同時に勝手だなぁ…と思っていた。
(まずは相手側に交渉してからよね? 一国の王が外遊に行くのに? ドーバ様もよく来られているから、王どうしはツウツウ??)
疑問は解決しないが、ダリア妃は嬉しそうに頷いているので、凛音は深く追求をしなかった。
そう凛音は《知らない》。
妖精族はこの世界において全ての種族の頂点に君臨し、神に限りなく近い生き物。
その王であるエティエンヌフューベルは最早《神》と同等。膨大な魔力をもち、全てのモノを無に返す紫炎を操るエティエンヌフューベルに出来ない事など、数えるほどしか無いのだ。
いくら神と同等言えども、神ではない。
神は神に匹敵するほどの力を持つエティエンヌフューベルに、酷な程の試練を与えたからだ。
妖精族として長過ぎる人生に一度しかその身に合わない、唯一無二の運命共同体を異世界人にし、思い通りにならない人選にした。
それは神の考えか…正であり続けなければ手放してしまう危うい人にした。吉と出るか凶とでるか、誰も分からない。
凛音がどう思おうとエティエンヌフューベルが行きたいと言えば、国は「どうぞ、有り難い」しかない。国への来訪が他国への自慢になるからだ。
そんな《神》に匹敵するエティエンヌフューベルの絶対的な一声で、現在同行するに至る。アユーバラ王夫妻には無論拒否はない。
凛音らは明日の早朝に出発。…であるのに、エティエンヌフューベルは念願叶い、やっと開かれた〝性生活〟にのめり込み、凛音に対し一切の手加減が出来ないでいた。
ダリア妃に対してさえも、ヤキモチを焼いたみたいで……その夜は凄かった。
***
その夜の一場面。
「あっ、んっっっ!! はぁ…んっ!!」
「凛音、凛音……」
狂ったように凛音の名前を呼ぶエティエンヌフューベルの甘い声を、耳にひろいながら凛音は喘ぐ。
ズリュ ズリュ グチュ グチュ ズリュ ズリュ
室内は卑猥な音が鳴り響き、その音が凛音の脳内をドロッドロッに溶かしていく。
エティエンヌフューベルは凛音を抱く時、物凄くゆっくりと男根をスライドさせる。
生々しいそのフォルムを凛音に教え込むように、もどかしいほど、腰使いがゆっくりだった。
(早くっ、エティエンヌフューベル様ぁ、早くイカせて!! もう身体がおかしくなるぅぅぅー!!)
気持ちいいのだが、大切にされ過ぎて身体だけでなく心が溶かされ、「もう、無理…」と喘ぐしか出来ない。
頂点に達する凛音を見逃さないようにしているエティエンヌフューベルは、凛音に穴があきそうなほどガン見しながら腰をスライドさせる。
凛音がいきそうになる寸前でラストスパート。
内臓を抉り出されるほどの巨根を、強い力で子宮口に打ち付けてくる。
「きぁぁぁっ、はぁっっっぁぁぁぁーーーー!!!」
「ッッッン………」
上手く凛音をイカして、エティエンヌフューベルも吐精感を一気に解放する。
ギュゥゥッッッ!!! と巨根を潰してやろう! くらいの締めつけを与えてくる凛音の膣内。
「…凛…音…」
痛いまでの締めつけに極限まで耐えてから、エティエンヌフューベルはうちに荒々しく渦巻く子種の元を、容赦なく凛音の胎内に放つ。
ブシャァァァ ブチャッ ブシャァァァァ ブシャ
「…凛…音…ンッッッッン!!!」
一般的に精液の量が多い妖精族。その妖精族の一般的より、さらに身体が大きく生命力溢れたエティエンヌフューベルは輪をかけて精液の量が多い。
一滴でも多く胎内に残したい理由から、エティエンヌフューベルは必ず射精する時、ピタリと身体を密着させていた。
(エティエンヌフューベル様のが、きてるぅぅ、身体が熱い…あぁぁぁぁ)
溢れ出す量を少なくする為だろうか。この強固な密着が幸せ過ぎて、凛音はこのラストが本当に究極に大好きで、この長過ぎる快楽地獄にハマりきってしまい、やめられなかった。
(エティエンヌフューベル様っ、漏れちゃう…漏れちゃうよ…もうっ、中に入らない…もったいないから、まって……だめぇ……)
「………凛…音…ンッ ァァァ…ァ……」
案の定、次の日も立つ事が出来ない凛音に、エティエンヌフューベルは嬉々として抱き上げ歩く。
***
抱き潰され、当たり前のようにエティエンヌフューベルに抱き上げられ移動している凛音は、以前までは考えられないが、その羞恥心にもなれ快適を貪っていた。
この世界に住む人らの移動手段は、自然の魔力を使ってのテレポートになる。
森の入り口が自然魔力の発生場所になっている。
そこから目的地である《森の守護者》の名前を口頭で宣言すると、現在いる場所の《森の守護者》が目的地の《森の守護者》へコンタクトをとり、運んでくれるのだ。
そこは賃金も発生しなければ、人でも物でも制限なく移動できる。
便利といえば聞こえがいいが、見えもしない第三者に自らの身を任せる恐さに、凛音は決してなれないだろう。
現在凛音は昨夜の睦み合いで腰が使い物にならない為、エティエンヌフューベルに抱き上げられているから安心出来ているが、一人で移動は無理だ、足がすくむ。
乗り物での移動は、子供騙しと言われれば凛音は口を紡ぐしかない。
テレポートしたアユーバラ王国の王都に隣接している森から、アユーバラの王宮に向かう経路。
この異世界は脚力と体力に自信がある種族しかいない為、基本歩きか走るか獣姿で飛ぶかだと知り驚愕したのはついこの間だ。
静かに景色を楽しんでいた凛音は、気になる街並みの疑問をエティエンヌフューベルに問うてみた。
「エティエンヌフューベル様。アユーバラ王国って、建物が高いですね」
凛音は景色から目をはずし、目がチカチカする美貌のエティエンヌフューベルの顔を覗き込む。
「あぁ、奴らは獣の姿になれば空を飛べるが、人の姿では飛べないからこそ天空への憧れが異常に強く、建物を高く作るのは最早伝統となっているな」
「えっ? 鳥なのに飛べないのですか!? エティエンヌフューベル様は今の姿でも飛べ…ますよね?」
「鳥族は厳密にいうとそこらを飛んでいる鳥とは全く違う種。
この世界のヒトとしての種は、人の姿、獣と人が交わった姿、そして獣姿、と身体を変化は出来る。そしていくら鳥族と言えども、人の姿を保ったままは飛べない。
人の肉体を持って空を飛べるのは私ぐらいだろう」
「わぁぁぁ、エティエンヌフューベル様って凄いですね。規格外過ぎて…ちょっと、恐いです。
そっか。なるほど~ベースは人で、鳥に近い人、熊に近い人、魚に近い人、って感じなんでしょうか?」
「凛音のいた世界的にはそうなる。妖精族だけがヒトの種から離れていて、寿命も身体の構造も違う」
「そうなんですね…」
「もちろん鳥族も魔力を使って飛ぶ事は出来るだろうが、魔力は生命の元。少ない自らの寿命を使って飛ぶ事はしない。
あくまで飛ぶのは自らの翼でと、鳥族である矜恃があるのだろうな」
異世界の不思議をまた学ぶ。
学べば学ぶほどエティエンヌフューベルの人外たる神のような身を、冷たく突き放していた凛音の行動のあり得なさが浮き彫りになり、身が凍る。
「この世界では、エティエンヌフューベル様は種の頂点ですけど、魔力ゼロの私は種の底辺ですね…。
全く何故、私がエティエンヌフューベル様のお相手?? 甚だ疑問です」
ちょっとヤケクソ気味になった凛音は、自分の小ささに嫌気がさして拗ねた。
冗談めかして話したはずが、エティエンヌフューベルはそれを冗談とはとらず、凛音をキツく抱きしめ直した。
「ちょ、エティエンヌフューベル様っ!!」
いきなりの熱い抱擁に、凛音の顔は真っ赤に色づく。
「……魔力が強すぎる強靭な肉体をもつ私と、魔力がなく身体の構造が極端に弱い凛音で、釣り合いがとれている。
したいとは思わないが、凛音を得て完全体になった私は、自然界と同等たる強い魔力で、全ての種族を屈服させようと思えば出来る」
ゴクッ……。
凛音の嚥下した唾の音が、警報のように脳内を響きわたり、穏やかで過ごしやすいアユーバラ王国の気温が急激に下がった気になる。
(エティエンヌフューベル様が、近いのに遠い)
手足が震えるのを堪える凛音に、エティエンヌフューベルは悲しげな表情を向けてくる。
「だが、その力を使い敵を作れば作くるほど、敵は強い私ではなく、弱い凛音を狙う。
神は私に最高の魔力を与えた代償として、常に己の生涯唯一の半身を失う恐怖を味わえ続けろとした。皮肉だな」
「…(うわっ、残酷。神様って残酷)……なんか、申し訳ございません」
「他国では、絶対に私から離れてくれるな。凛音、約束してくれ。己の身に危険が迫れば他者を犠牲にしてでも逃げて欲しい。
命の期限を折半した私達は、順当にいけば死ぬ時はほぼ同時。
しかし寿命以外で、凛音を失った暁には、私は間違いなく狂うだろう。
私の魔力の源である紫炎で己の肉体を焼き切り、消えぬ炎はどれほどの人と、大地を、国を、燃やすのか計り知れないからな」
「き、肝に銘じておきます」
ぶるっと震える凛音を、すまなさそうに見てくる。
「すまないな。違う世界に飛ばされ、面倒極まりない私の唯一になり」
髪をかきあげ、耳に直に唇を当てて謝ってくるエティエンヌフューベルに凛音の胸は爆破寸前。
甘い甘い抱擁に、凛音も答える。
「もうー!! 謝らないでください。私はエティエンヌフューベル様の唯一になれて光栄です」
「…本当か?」
「ブラックホールにのまれた時は、若干恨みましたけど。
エティエンヌフューベル様が女性体で小さい時にグイグイ来られた時は、人生終わったと思いましたけど。
今は、こんな…見目も最高、魔力も最高、性格も最高、…エッチも…最高の、
エティエンヌフューベル様を独占できるんですよ? 人生捨てたもんじゃないですね!!」
「凛音、私をあまり煽るな。蛇族のように数日間性器を抜かない生活を今ここで実行してしまう」
「ひっ!?」
「それでも……私が、好きか?」
目の覚めるような美貌かつ屈強な男の姿になったエティエンヌフューベルだが、基本軸はあまり変わらない。お伺いを立て、そして凛音の言動が最強となっている。
(もう分かってるくせに、何度も聞いてくるなんて。エティエンヌフューベル様のバカァ!!)
常に不安なのだろう。気が遠くなるほどの長い間、エティエンヌフューベルは己の片割れに出会えなかったのだ。
そしてやっと魂の半身を得られても、そこには大きなリスクが潜んでいた。凛音を得られなかった時より、得て失う恐さは想像を絶するのだろう。
(神さま、死ぬ時は必ずエティエンヌフューベルを看取ってからの後で宜しくお願い致します)凛音は切実な想いを神に願う。
「もちろん!! エティエンヌフューベル様を、愛してます」
「…ありがとう、私も凛音を愛している」
告白が通常会話になりつつある凛音とエティエンヌフューベル。
幸せいっぱいの二人に、非情な試練が降りかかるとはこの時、誰も予想していなかった。
事件はすぐそこまで迫っていた。
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