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かたよってない?

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ある日の神の国、雲の上の神殿に、ハロルドと、ラーズ、オルガが呼び出されていた。昼間だったため、オルガは眠そうである。
三人は用意された椅子に座っていた。
「それで、話ってなんだ?」
ラーズがアシュランに聞いた。
「最近、少々かたよってないか?」
神々の長、アシュランが言った。
ラーズとハロルドはきょとんとした顔をし、オルガは相当眠かったのか目を閉じていた。
「何が?」
ハロルドが聞いた。
「神の降臨だ。ある場所に偏ってる気がする」
「……いや、そんなことはないと思うが?」
とハロルド。
「そんなことないよな。私は結構あちこち行ってるぞ? オルガは? おーいオルガ」
ラーズの声でオルガが目を開けた。
「何の話だ?」
「神の降臨がある場所に偏ってるとアシュランが言うんだが。オルガはあそこにばかり行ってないよな」
「行ってない。夜はあちこち行ってるぞ」
オルガが答えた。
「全然かたよってないぞ」
ラーズがアシュランに言った。
「そうかあ? ハロルドは最近、あの国の祭りにアリアスと一緒に降臨しただろう。お前には全く関係ない祭りなのに」
とアシュラン。
「あれは、アリアスが勝手に私を連れて行ったんだ。私もまさかあの国だとは思わなかった」
「うそつけ」
「本当だって」
「アリアスとハロルドの組み合わせはすごいな」
とラーズ。
「ところでハロルド、最近あっちのガーベラに会えてないんだが、お前独占してるんじゃないだろうな」
ラーズが横目で言った。
「私が? いいや」
「なんかまた子供が出来てたじゃないか」
「別に独占はしてない」
「ずるいぞ」
アシュランの間の裏で、グレンがうんうんうなずいていた。
「確かにずるい」
とオルガ。
「ところで、なんで我々だけ呼び出したんだ? サントスは祭りでものすごく大盤振る舞いしていたようじゃないか。あれは神の愛がかたよってる、ということにはならんのか?」
ハロルドが聞いた。
「あれは、アリアスが協力しまくったせいだ。それにサントスはあそこに降臨してない。こっそり楽しんでただけだし」
とアシュラン。
「全くアシュランはサントスに甘いな」
ハロルドが言った。
「別に甘いとかじゃない。お前が怒ってもどうってことないが、サントスが怒ると本当に怖いからな」
とアシュラン。どうやらアシュランはサントスには気を遣っているようである。
「まあ確かに、普段穏やかなやつほど怒ると怖いかもな」
ラーズが言った。
「別にあそこに行くなとはいわない。他の国にもいってやれ。オルガはあそこらばかりうろちょろしないように」
アシュランが三人を見回して言った。
「私はただ途中で休憩しているだけだ。王妃が私の部屋を作ってくれたんで」
「休憩? 王妃を誘って?」
ラーズが聞いた。
「いや、一人で」
「一人で? 一人であそこで休憩してるのか?」
「ああ」
「そういうのもありか」
とラーズ。
「とにかくかたよらないように。オルガも何をうれしげに休憩してるんだ」
アシュランがあきれている。
「休憩は私の勝手だ」
「私も今度休憩しようかな」
とラーズ。
「とにかく、あまりひいきはいけない。神の愛は平等じゃないとな」
アシュランは自分のことは棚に上げて言っていたのだった。

ある日の蛇の国、結構早起きしてしまったラギは、庭園に出ていた。辺りはまだ薄暗い。ラギはおっと足を浮かせていた。空をでかい黒いものが飛んでいる。
「オオコウモリだ。もしかしてオルガ様がいらしていたのかも?」
ラギは神の塔に入り、オルガの部屋をそっと開けてみた。だれもいなかったが、なんだか神聖な気分がする。
「あ!」
ラギはベッドに近づいた。ベッドには誰かが座ったようなへこみがあった。
「オルガ様がやっぱりここに。一人でいらしたのかな。この部屋そういう使い方もあるのか」
ゆりと神様が過ごす部屋だと思い込んでいたが、神様が一人でくつろぐってのもいいな、と思ったラギだった。
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