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14部
大興奮
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ねぼすけの瞳がヴォルフの目と取り替えられてしまった。
クーリーフンは理由を聞くためにヴォルフを探したが見つからず、ガーベラの神殿に戻っていた。するとヴォルフが戻ってきたのだった。やはり、ヴォルフの右目にねぼすけの瞳が入っている。ガーベラもクーリーフンもヴォルフの右目に注目した。
「ヴォルフ、あのー、どうしてリアン君と目を取り替えたの?」
ガーベラが遠慮がちに聞いた。
「彼が見ていた物が見たかったから。もう彼と話したよ」
「そうなの」
「彼、怒ってなかった?」
「怒ってなかった。もう一人のお母さんに会ったんだよ。いろいろ相談してきた」
「え? もう一人のお母さん?」
クーリーフンとガーベラは目を合わせた。
「君、あっちのお母さんのこと気がついていたんだ。何を相談したの?」
クーリーフンが聞いた。
「どういう大人になるか悩んでたから、話を聞いてもらった。それで大人になってみたりしたんだ」
「大人になれるの? 私にも見せて」
ガーベラが頼んだ。
「いいよ。大人の服をちょうだい」
「じゃあ、僕のを貸すよ」
ヴォルフはクーリーフンの服を借りて奥の部屋に行った。
「人間界に行ってたなんてびっくりね」
ガーベラがクーリーフンに言った。
「そうだね。でもあっちのお母さんのことだから、喜んでくれただろうけど」
「きっと喜んだわよ」
ヴォルフが戻ってきた。確かに大人になっている。背は高く、ほどよく筋肉もついていて、顔立ちもなかなか整っていたが、ガーベラはヴォルフの胸元を見つめていた。クーリーフンの胸元が開いた服を着ていたのだが、うっすらと銀色の毛がついているではないか。
「む……む……むな……胸毛があるー!」
「お母さん何興奮してるのさ」
クーリーフンがあきれていた。
「だって、むな……胸毛が……セクシー!! ヴォルフ恋人にしていい?」
「だめに決まってるでしょ。彼は息子だよ?」
「えーだめー? どうしても?」
「だめだよ」
「かわいいのにーぶー」
「結局狼の頭には戻らないんだ?」
クーリーフンが聞いた。
「なるよ。戦いの時だけ変身しようかなと思ってる。見たい?」
「みたいみたい」
とガーベラ。
ヴォルフの顔がぶれて、目の前で頭部分だけが変化した。姿は狼であるが、銀色ではなく金色だった。そして、胸毛は金色に変わっていた。
「あれ? 金色なんだ?」
「あっちのお母さんの希望でこうなった」
「へー」
「おいで、抱きしめてあげる」
ガーベラが両手を広げて近づいて行こうとし、クーリーフンがガーベラの腰帯を引っ張っていた。
「お母さんは近づいちゃだめだよ」
「なんでよ。ただ愛の抱擁をしようとするだけ」
「しなくていいから」
「もーかわいいー!金色の胸毛もいい~!」
「ありがとう。もういいよ」
「うん。元に戻る」
ヴォルフは奥の部屋に行きながら、「ははは」と笑っていた。
(二人のお母さん、似た所があるな)
「結局は戦い系ってことなのかな?」
「ああ、恋人にしたい」
「だめだったら。彼には大人になったら胸元が開いてない服を着せないとな」
クーリーフンはあきれ顔で言っていたのだった。
クーリーフンは理由を聞くためにヴォルフを探したが見つからず、ガーベラの神殿に戻っていた。するとヴォルフが戻ってきたのだった。やはり、ヴォルフの右目にねぼすけの瞳が入っている。ガーベラもクーリーフンもヴォルフの右目に注目した。
「ヴォルフ、あのー、どうしてリアン君と目を取り替えたの?」
ガーベラが遠慮がちに聞いた。
「彼が見ていた物が見たかったから。もう彼と話したよ」
「そうなの」
「彼、怒ってなかった?」
「怒ってなかった。もう一人のお母さんに会ったんだよ。いろいろ相談してきた」
「え? もう一人のお母さん?」
クーリーフンとガーベラは目を合わせた。
「君、あっちのお母さんのこと気がついていたんだ。何を相談したの?」
クーリーフンが聞いた。
「どういう大人になるか悩んでたから、話を聞いてもらった。それで大人になってみたりしたんだ」
「大人になれるの? 私にも見せて」
ガーベラが頼んだ。
「いいよ。大人の服をちょうだい」
「じゃあ、僕のを貸すよ」
ヴォルフはクーリーフンの服を借りて奥の部屋に行った。
「人間界に行ってたなんてびっくりね」
ガーベラがクーリーフンに言った。
「そうだね。でもあっちのお母さんのことだから、喜んでくれただろうけど」
「きっと喜んだわよ」
ヴォルフが戻ってきた。確かに大人になっている。背は高く、ほどよく筋肉もついていて、顔立ちもなかなか整っていたが、ガーベラはヴォルフの胸元を見つめていた。クーリーフンの胸元が開いた服を着ていたのだが、うっすらと銀色の毛がついているではないか。
「む……む……むな……胸毛があるー!」
「お母さん何興奮してるのさ」
クーリーフンがあきれていた。
「だって、むな……胸毛が……セクシー!! ヴォルフ恋人にしていい?」
「だめに決まってるでしょ。彼は息子だよ?」
「えーだめー? どうしても?」
「だめだよ」
「かわいいのにーぶー」
「結局狼の頭には戻らないんだ?」
クーリーフンが聞いた。
「なるよ。戦いの時だけ変身しようかなと思ってる。見たい?」
「みたいみたい」
とガーベラ。
ヴォルフの顔がぶれて、目の前で頭部分だけが変化した。姿は狼であるが、銀色ではなく金色だった。そして、胸毛は金色に変わっていた。
「あれ? 金色なんだ?」
「あっちのお母さんの希望でこうなった」
「へー」
「おいで、抱きしめてあげる」
ガーベラが両手を広げて近づいて行こうとし、クーリーフンがガーベラの腰帯を引っ張っていた。
「お母さんは近づいちゃだめだよ」
「なんでよ。ただ愛の抱擁をしようとするだけ」
「しなくていいから」
「もーかわいいー!金色の胸毛もいい~!」
「ありがとう。もういいよ」
「うん。元に戻る」
ヴォルフは奥の部屋に行きながら、「ははは」と笑っていた。
(二人のお母さん、似た所があるな)
「結局は戦い系ってことなのかな?」
「ああ、恋人にしたい」
「だめだったら。彼には大人になったら胸元が開いてない服を着せないとな」
クーリーフンはあきれ顔で言っていたのだった。
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