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第12巻番外編
うらやましい
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雲の上の神殿に、ラーズとサーラ、ランスロットが一緒に来ていた。ラッパを持っているヴァルを見に来たのである。今ヴァルは神殿の外にある雲の上でラッパを吹いていた。今ヒルデリアは不在である。ちょっと外に出してくれとアシュランに言われたのである。
「ブーブブー」
「しかしすごい音だな」
ラーズは耳をふさいでいた。小さいラッパからはありえない音量である。
ランスロットがヴァルに手を出していた。ヴァルは首を横に振っている。ランスロットはラッパを取ろうとしたが、ヴァルは譲らなかった。
「ランスラッパほしいって」
サーラが言った。
「ヴァルの神器だからだれにも吹けないんじゃないかな。ランス、あきらめな」
ランスロットはむすっとしている。
「ぶーぶー」
「…………」
「ぶー」
「…………」
ランスロットはうらやましげにヴァルを見ている。
「ランス、そーいうときにはね、目をうるうるさせるんだよ」
サーラが言った。
「こら、余計なことをいうんじゃない」
ラーズはあせっている。
ランスロットはラーズを見上げた。
「うるうるよ」
「…………」
ランスロットはちょっと目を潤ませている。
「ぐ……」
ラーズは横を向いた。するとランスは場所を移動して、ラーズを見上げていた。
「……卑怯な攻撃だ」
「ラーズまけー」
とサーラ。
「うーん。しょうがないなあ。いっちょラメーンに頼むか」
夕方、ハロルドが神殿に戻ると、うるさい楽器の音が鳴り響いていた。
「なんだなんだ?」
部屋の中に入ると、ヴァルと、ランスロットまでラッパを吹いている。
「ブーブー」
「ブー」
二人はうれしそうだが、かなりのうるささである。
「ランス、それどこからもってきた?」
そこにキュリアがやってきた。
「ランス、ラーズ様にもらったんだって」
「何? ラーズ?」
「ぶー」
「ぶー」
「ぶー」
そこにもう一つ音が加わった。部屋にやってきたバリアスまでラッパを吹いている。
「さっき僕ももらっちゃった。これ難しいね」
「ぶー」
「ぶー」
「ぶー」
「私もほしいなあ」
キュリアまで言い出していた。
「ラーズ! いい加減にしろ!」
ハロルドは耳を塞いで文句を言っていた。
「いや、ハロルド、悪いね。子供の頼みだからしょうがないじゃん」
などとラーズは自分の神殿で言っていたのだった。
「ブーブブー」
「しかしすごい音だな」
ラーズは耳をふさいでいた。小さいラッパからはありえない音量である。
ランスロットがヴァルに手を出していた。ヴァルは首を横に振っている。ランスロットはラッパを取ろうとしたが、ヴァルは譲らなかった。
「ランスラッパほしいって」
サーラが言った。
「ヴァルの神器だからだれにも吹けないんじゃないかな。ランス、あきらめな」
ランスロットはむすっとしている。
「ぶーぶー」
「…………」
「ぶー」
「…………」
ランスロットはうらやましげにヴァルを見ている。
「ランス、そーいうときにはね、目をうるうるさせるんだよ」
サーラが言った。
「こら、余計なことをいうんじゃない」
ラーズはあせっている。
ランスロットはラーズを見上げた。
「うるうるよ」
「…………」
ランスロットはちょっと目を潤ませている。
「ぐ……」
ラーズは横を向いた。するとランスは場所を移動して、ラーズを見上げていた。
「……卑怯な攻撃だ」
「ラーズまけー」
とサーラ。
「うーん。しょうがないなあ。いっちょラメーンに頼むか」
夕方、ハロルドが神殿に戻ると、うるさい楽器の音が鳴り響いていた。
「なんだなんだ?」
部屋の中に入ると、ヴァルと、ランスロットまでラッパを吹いている。
「ブーブー」
「ブー」
二人はうれしそうだが、かなりのうるささである。
「ランス、それどこからもってきた?」
そこにキュリアがやってきた。
「ランス、ラーズ様にもらったんだって」
「何? ラーズ?」
「ぶー」
「ぶー」
「ぶー」
そこにもう一つ音が加わった。部屋にやってきたバリアスまでラッパを吹いている。
「さっき僕ももらっちゃった。これ難しいね」
「ぶー」
「ぶー」
「ぶー」
「私もほしいなあ」
キュリアまで言い出していた。
「ラーズ! いい加減にしろ!」
ハロルドは耳を塞いで文句を言っていた。
「いや、ハロルド、悪いね。子供の頼みだからしょうがないじゃん」
などとラーズは自分の神殿で言っていたのだった。
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