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第12巻番外編

ジュノーの用事

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 ゆりのお腹にいる赤ちゃん、クロスが新しいトーを望み、ゆりとカールのやりとりがあった翌日のこと、ゆりから相談を受けたヴィラは、とりあえず、午後ゆりに会うことになった。

―ジュノー、今日の午後一緒に王妃の所に行ってほしいんだが
―すまん。私は今それどころじゃないんだ
―? そうか

 ジュノーはこの朝、目覚めたらハザークの塔というわけがわからないことになっていた。しかもハザークの塔の、侍女の部屋である。大きなベッドで寝ていたのだった。

「な、なんで?」
「おはようございます。ジュノー様」
 部屋には白い髪の女達がいた。
「あ、もしかして、いやもしかしなくてもへびっちだな。元気になったんだから一人でくればいいだろ。なんで私もいるんだ」
 ジュノーはそこらを探したがへびっちはいない。へびっちはジュノーの足にくっついていたのだった。

「あのーもしかして、昨晩、私の体で何かしたなんて事は……」
 ジュノーは恐る恐る侍女に聞いた。
「何かってなんですか?」
 白い髪の侍女が首をかしげて聞き返した。
「何かっていうのはその……」
「あら、いやですわ。昨晩は、へびっちさんが会いに来てくださっただけですわ。そのほかのことは何も」
「本当ですか?」
「はい」

(本当か? それにしては、なんだか体が重い気がするんだが……だが確実にやったかどうかはわからないし、侍女に聞けるわけない)

「それじゃ、私はこれで帰ります」
「そうですか。またいらしてください」
 侍女の微笑みにジュノーも微笑んで返して、自分の屋敷に帰った。

 そして服を着替えようとしたところ、シャツの下の方のボタンが掛け違えているのに気づいた。
 ジュノーの手がぷるぷる震えている。
「へびっち、やっぱり何かしたろ! 裸になっただろ!」
 ジュノーの足にいたへびっちは、怒られると思ったのかまるで出てくる気配もなかったのだった。

「侍女達の何人としたのだろうか。それを聞くのも怖い。あれほどヴィラの体を使えと言ったのに」

(せいぜいできて二人のはず。5人とする精力はさすがにないはずだが……してたらすごいな)

 仕事中、ヴィラから思念が来た。午後王妃の部屋に一緒に行こうという誘いだったが、ジュノーは断った。

(今日は王妃の顔を見づらい。別室に行く元気も絶対ない)

「はー全く……」
「ため息ついてどうしたんだ?」
 イシュタールが話しかけてきた。
「いえ、別に」
「へびっちは元気かな?}
「元気すぎて困るほどですよ」
 とジュノーは答え、イシュタールは首をちょっとかしげていたのだった。

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