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好きもの令息
1 ひたすら食べた
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苺なのに。
ケーキの飾りの苺なのに。
花型にカットされてる!
隣は糸状にしたマロンクリームをくるりと立ち上げて、小花を飾っている。
さっすが侯爵家。
デザートなのに洒落乙‼︎
しかもグラデーションに成る程に多種多様さに、ただただ感涙です。
親指と人差し指で丸を作ったくらいの大きさだから、貴族のおちょぼ口にもピッタリね♡
もっとも、僕にそんな忖度はご無用さ。
でも、小さいと全種類行けそうで、嬉しいじゃん。
ユアンはとりあえず右端から一つづつ皿に取り分けて貰った。
飾りの生クリームさえ、薔薇の形をしている。
半端ないねっ♡
一つを口にIN!
『ん~♡♡』
思いっきりじたばたして、うっとりした。
美味しい。
さすが侯爵家。
誰も食べに来なくても手抜きはしてないね。
お代わりを頂きながら、ユアンは思いっきり舌鼓を打っていた。
広いホールの向こうには、キラキラした世界が広がっている。
こちらのキラキラはデザートのキラキラで。
明らかに種類が違う。
こっちはいわゆる壁の花。
はっきり言ってぽつんとボッチな僕。
~~ああ、速攻で帰りたい。
さっきのサーモンも美味しかった。
リザードンのお肉も美味しかった。
って、お念仏のように唱えても食べてた事しか残ってない。
誰とも喋ってない訳で……。
泣いてないぞっ
負けるもんか。
向こうはオーケストラが音楽を奏で、きゃっきゃうふふと人が笑いさざめいていらっしゃいます。
……ああ、お腹がいっぱい。
デザートコンプは断念して、もう帰りたい。
お代わりを聞いてくれた給仕のお仕着せさんに、もう結構と笑顔で言ったら、ぽっと頬が上気した。
途端、後ろでざわっと声が上がる。
「見て見て!今度はお仕着せを狙ってるわ!」
「んまぁ!好きものって、節操無しね‼︎」
ワザと聞こえるようなセリフに、ちょっと青くなったお仕着せさんに、ご馳走様。と言ってお皿を置いた。
好きもの。
ちなみにこれは悪口です。
そう、ユアンはハブられてる。
好きなものは苺でーす♡
の、好きものじゃありません。
好きこそものの上手なれ。
と言う向上心に溢れたものじゃありません。
好きものは、閨ごとが好きな者のこと。
手っ取り早く言うと、淫乱とか好色とかの事です。
ユアンは"好きもの令息"と、陰で呼ばれている。
おかげで友達は出来ないし。
話しかけてくるのは、がっつり煩悩に塗れた奴だけだった。
正直、見せ物になっちゃうのがわかっているから。
半ば強制参加の招待状が来なければ、夜会になんか来たくなかった。
ケーキの飾りの苺なのに。
花型にカットされてる!
隣は糸状にしたマロンクリームをくるりと立ち上げて、小花を飾っている。
さっすが侯爵家。
デザートなのに洒落乙‼︎
しかもグラデーションに成る程に多種多様さに、ただただ感涙です。
親指と人差し指で丸を作ったくらいの大きさだから、貴族のおちょぼ口にもピッタリね♡
もっとも、僕にそんな忖度はご無用さ。
でも、小さいと全種類行けそうで、嬉しいじゃん。
ユアンはとりあえず右端から一つづつ皿に取り分けて貰った。
飾りの生クリームさえ、薔薇の形をしている。
半端ないねっ♡
一つを口にIN!
『ん~♡♡』
思いっきりじたばたして、うっとりした。
美味しい。
さすが侯爵家。
誰も食べに来なくても手抜きはしてないね。
お代わりを頂きながら、ユアンは思いっきり舌鼓を打っていた。
広いホールの向こうには、キラキラした世界が広がっている。
こちらのキラキラはデザートのキラキラで。
明らかに種類が違う。
こっちはいわゆる壁の花。
はっきり言ってぽつんとボッチな僕。
~~ああ、速攻で帰りたい。
さっきのサーモンも美味しかった。
リザードンのお肉も美味しかった。
って、お念仏のように唱えても食べてた事しか残ってない。
誰とも喋ってない訳で……。
泣いてないぞっ
負けるもんか。
向こうはオーケストラが音楽を奏で、きゃっきゃうふふと人が笑いさざめいていらっしゃいます。
……ああ、お腹がいっぱい。
デザートコンプは断念して、もう帰りたい。
お代わりを聞いてくれた給仕のお仕着せさんに、もう結構と笑顔で言ったら、ぽっと頬が上気した。
途端、後ろでざわっと声が上がる。
「見て見て!今度はお仕着せを狙ってるわ!」
「んまぁ!好きものって、節操無しね‼︎」
ワザと聞こえるようなセリフに、ちょっと青くなったお仕着せさんに、ご馳走様。と言ってお皿を置いた。
好きもの。
ちなみにこれは悪口です。
そう、ユアンはハブられてる。
好きなものは苺でーす♡
の、好きものじゃありません。
好きこそものの上手なれ。
と言う向上心に溢れたものじゃありません。
好きものは、閨ごとが好きな者のこと。
手っ取り早く言うと、淫乱とか好色とかの事です。
ユアンは"好きもの令息"と、陰で呼ばれている。
おかげで友達は出来ないし。
話しかけてくるのは、がっつり煩悩に塗れた奴だけだった。
正直、見せ物になっちゃうのがわかっているから。
半ば強制参加の招待状が来なければ、夜会になんか来たくなかった。
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