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結婚が降りかかってきました
15 王宮の中へおデート
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王宮の上は飛行禁止区域だ。
当たり前だが、王家の城だからな。
軍事施設も中枢があるし。
多重に結界が張られて、許可の無い飛竜は弾かれる。
だから王宮へは馬車で行くし、王家の飛竜部隊は割と謎に包まれている。
そんな訳でルカも行ったことが無い。
父様は竜騎士見習いを自領に受け入れたりする為に出入りしているが、ただの物見遊山では入れてもらえる筈も無く。
ルカは許可されなかった。
それがデートという物見遊山で許可、だとぉ!
竜騎士棟へと馬車を走らせながらも、どことなく納得出来ない気分だ。
なんてゆるいんだ王宮。
それでいいのか、王宮。
ばっかじゃ無いのか、王宮。
紋章付きの馬車は、兵達の勢揃いで人目をガンガンひきながら正門を通った。
そしてそのまま右側にそれて城壁沿いに進んで行く。
見慣れないコースにドキドキ。
王宮は広い。
このままだと、目立つ正門潜らずに北門の方が近かったのに。と、考えて。
あぁ見せつける為だった。と、思った。
苦虫を噛み潰したようなルカに、ちょいちょい甘めなセリフをぶつけるマデウスに、面倒くさくて、まぁいろいろ吐いた。
主に毒を。
「そんな訳で、結婚はごめんなんだ。」
「王族との結婚は"処女改め"があるから、とにかくやっちまおうって考えたのか」
「そうそう。」
なんて短絡的な。と、顔が言っている。
でもそのアクアマリンの目が、興味深そうに煌めいている。
二人の話を、マルロは内心ハラハラと見守っていた。
「そんな訳だから、このピアス外してくれ。
他人の紐付きなんてごめんなんだ。」
「このまま婚約しちゃうって事は?」
「100パー無い‼︎」
キッパリと胸を張るルカに、マデウスはぷふっと唇を緩めた。
「ソレを付けてるといい事があるぞ。」
マデウスは商人の様に、大きな手を広げて前に突き出す。
「まず、他の奴らが近づいて来ない。」
親指を折る。
「俺がいるとわかっているから王様達が狙って来ない。」
人差し指を折る。
「見ての通り俺はモテモテイケメンだ。」
中指を折る。
「しかも俺は百戦錬磨な床上手だ。」
薬指を折る。
「さらに言うなら俺と君は体の相性が良い」
指を折ろうとする手に、ルカががしっと飛び付いた。
顔が真っ赤だ。
髪の紅さと相待って、まるでフルーツの妖精だ。
「違ーう‼︎ソレは数えないっ‼︎」
怒鳴るルカにマデウスはくすくす笑う。
……これが百戦錬磨と初戦したばかりの者(それも敗戦気味)の差って奴だな。コノヤロウ。
マルロは冷静に見ていた。
赤くなったルカは、まったく美味しそうで。
それを本人が気付いていない事に、残念さが滲んでいる。
駄目じゃん。
押され気味だぞ。
やがて大きな石造りの建物と、それに連なる塀が見えて来た。
空気の中に日向っぽい竜の匂いが漂ってる気がする。
噛み付いても翻弄されて、ちょっと不貞腐れていたルカは敏感にその匂いに反応して顔を上げた。
目がキラキラと光っている。
もう視界の中にマデウスは入っていなかった。
口元を緩めて窓から外を見つめる。
そんなルカの横顔をマデウスは不思議そうに見つめていた。
当たり前だが、王家の城だからな。
軍事施設も中枢があるし。
多重に結界が張られて、許可の無い飛竜は弾かれる。
だから王宮へは馬車で行くし、王家の飛竜部隊は割と謎に包まれている。
そんな訳でルカも行ったことが無い。
父様は竜騎士見習いを自領に受け入れたりする為に出入りしているが、ただの物見遊山では入れてもらえる筈も無く。
ルカは許可されなかった。
それがデートという物見遊山で許可、だとぉ!
竜騎士棟へと馬車を走らせながらも、どことなく納得出来ない気分だ。
なんてゆるいんだ王宮。
それでいいのか、王宮。
ばっかじゃ無いのか、王宮。
紋章付きの馬車は、兵達の勢揃いで人目をガンガンひきながら正門を通った。
そしてそのまま右側にそれて城壁沿いに進んで行く。
見慣れないコースにドキドキ。
王宮は広い。
このままだと、目立つ正門潜らずに北門の方が近かったのに。と、考えて。
あぁ見せつける為だった。と、思った。
苦虫を噛み潰したようなルカに、ちょいちょい甘めなセリフをぶつけるマデウスに、面倒くさくて、まぁいろいろ吐いた。
主に毒を。
「そんな訳で、結婚はごめんなんだ。」
「王族との結婚は"処女改め"があるから、とにかくやっちまおうって考えたのか」
「そうそう。」
なんて短絡的な。と、顔が言っている。
でもそのアクアマリンの目が、興味深そうに煌めいている。
二人の話を、マルロは内心ハラハラと見守っていた。
「そんな訳だから、このピアス外してくれ。
他人の紐付きなんてごめんなんだ。」
「このまま婚約しちゃうって事は?」
「100パー無い‼︎」
キッパリと胸を張るルカに、マデウスはぷふっと唇を緩めた。
「ソレを付けてるといい事があるぞ。」
マデウスは商人の様に、大きな手を広げて前に突き出す。
「まず、他の奴らが近づいて来ない。」
親指を折る。
「俺がいるとわかっているから王様達が狙って来ない。」
人差し指を折る。
「見ての通り俺はモテモテイケメンだ。」
中指を折る。
「しかも俺は百戦錬磨な床上手だ。」
薬指を折る。
「さらに言うなら俺と君は体の相性が良い」
指を折ろうとする手に、ルカががしっと飛び付いた。
顔が真っ赤だ。
髪の紅さと相待って、まるでフルーツの妖精だ。
「違ーう‼︎ソレは数えないっ‼︎」
怒鳴るルカにマデウスはくすくす笑う。
……これが百戦錬磨と初戦したばかりの者(それも敗戦気味)の差って奴だな。コノヤロウ。
マルロは冷静に見ていた。
赤くなったルカは、まったく美味しそうで。
それを本人が気付いていない事に、残念さが滲んでいる。
駄目じゃん。
押され気味だぞ。
やがて大きな石造りの建物と、それに連なる塀が見えて来た。
空気の中に日向っぽい竜の匂いが漂ってる気がする。
噛み付いても翻弄されて、ちょっと不貞腐れていたルカは敏感にその匂いに反応して顔を上げた。
目がキラキラと光っている。
もう視界の中にマデウスは入っていなかった。
口元を緩めて窓から外を見つめる。
そんなルカの横顔をマデウスは不思議そうに見つめていた。
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