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結婚が降りかかってきました

11 会いたく無かった!

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いきなり抱き込まれてディサロから引き剥がされた。


敵っ‼︎

と、思う前に体が反応した。

ヒールのある踵で相手の甲を踏み潰す。
肘で鳩尾を撃つ。
緩んだ手から一歩ずれると、左足を軸に相手に回し蹴りを喰らわせた。

がっつりと右脚が止まる。

男がルカの右脚を脇で抱えて笑っていた。


きゃぁぁーっ
何処かで叫びが上がる。

ガチャーン
と、焦ったボーイが何かを落とした音がした。

音が消えてシーンとした会場に、笑い声だけが響く。


ルカは目の前の男をぽかんと見上げていた。
眩しい金髪にアクアマリンの目。
満面の笑顔がそこにある。
マデウス。
なんでお前がそこにいる⁉︎



「ルカ様っ!」

遠くからマルロの叫びがした。

「…ルカ……」

父様の這いずる様な声で、ルカは自分がやっちまった事を知った。

いやぁ、警備の人のいるお上品なパーティーで
回し蹴りって、
回し蹴りって、


「申し訳ございません。つい咄嗟に、」

脚を引き抜こうと突っ張ったけど。
マデウスは抱えたままで笑ってる。
真っ赤になって睨みつけると、背後の王様から笑い声が上がった。


「久しぶりにやって来たと思ったら。
困ったをするのか。」

「違いますよ兄上。
に逢えた喜びでふざけただけです。」


はあぁぁっ⁉︎

口を開けたルカの脚を離すと、素早く抱き込まれた。

「ここで会えるなんて思わなくって。
嬉しくてね。つい。」

な、何?
何⁉︎

「叔父上。ルカ様とお知り合いなのですか?」

「ああ、恋人だ。」

呆然と色を無くしたディサロに、マデウスはしれっと答える。

ん、叔父上?

いや、それよりも恋人って⁉︎


父様のギラつく目とばっちこいと合った。
いや。
いや。
いや。
慌てて頭を振る。

「ほう、お前はルカ殿と付き合ってたのか?」

王よそれは違います。

父様の目が不審を込めて威圧してくる。
違う。
違うから。

首振り人形となったルカの腰を抱き寄せて、マデウスはにかりと笑った。

「そう。もう互いの色を着けてるぞ。
  ほら。」

金髪をかきあげると耳に金とラピスラズリで出来た竜のピアス。

げっ‼︎

一瞬で血が下がり、目の前が暗くなる。
駆けつけるマルロを顎で示して

「従者にも確認してもらっていいぞ。
ドラグランの町で一緒だったし。」

しれっと言うマデウスに言葉を失う。


…‥間違っちゃいねぇ。
間違っちゃいねぇが。

父様の目がギンギンと怖いです。

色を身につけるのは、ずぶずぶに離れられない間柄を見せつけているわけで。
ルカもマルロも、何故かピアスが変わっている事に今の今まで気付いて無かった。


「そうか。そうか。
お前もようやくか。」

頷く王様に、マデウスは

「いやぁ、逆ナンされまして…」

と陽気に答えている。


……父様。
魔王のようです。
はい、逆ナンしました。

確かに逆ナンしたのは自分です。

~~もう、父様を見れません。

ディサロ王子は石像の様に固まって。
限界まで開かれた目玉がこっちを見ている。
いや、すいません。

マルロが埴輪になってるのがわかる。

~居た堪れない。


がっしり抱えられている、相手の筋肉の生温い体温に目眩がしそうだ。
なんで、なんでこうなった。


「いやいや。ルカ殿。
不出来な弟だが、よろしく頼むよ。」

そんな王様の言葉に

「ハイ、コチラコソ」

そう答えるしか無かった。
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