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天然、マジ最強なり
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アルレインの乱暴な性交が終わった。
聖女の回復魔法を浴びながら、クリストファはゆっくりと考える。
何故だろう。
本物は何処に行ったんだろう。
にこにこと笑顔仮面の聖女に聞いても何も知らないみたい。
大神官に聞いたら、
『アルレイン様は神に一番近くなったのですよ。』と、諭すように訳のわかんなこと言われた。
アルレインのセックスってマジ最悪。
噛んだり叩いたりしてくる。
そしてその目がこっちの反応を伺ってるみたいで、気持ちが追いつかない。
以前のアルレインは何処行ったんだろう。
……って、クヨクヨしてもムダだよね。
セックスして、ぶっ倒れて、回復される。
セックスして、ぶっ倒れて、回復される。
それを繰り返して、ダメだこりゃって思った。
ちっとも気持ちよくないし。
施療院の仕事が忙しい。
神子様にお願いしたいと、わざわざ来るから。
魔力が少なくなったので、ポーション飲んで横になった。
うとうとして、もう食欲無いからご飯断ってベッドにいたら、凄く深く寝ちゃった。
あぁ、疲れた。
なんか寒い。と思って夢の中で丸くなってたら、あれ、背中があったかい。
ああ、あったかくて気持ちいい。
うっとり目を開けたら、振り向いたそこにアルレインがいた。
「ん…あったかい。ありがとう。」
そう言いながら半転して抱きつく。
きゅっと抱きしめながら胸に擦り寄る。
「来てくれて嬉しい。なんか一人が嫌だったの。」
そう言ったら体がビクッと強張った。
あれ?って思ったけど、素知らぬ顔で腕の中にいた。
なんか今日は眠くて、あったかさが幸せで、もうどうでも良くなっちゃった。
ああ、ぽかぽかして、幸せ。
朝、クリストファは一人で目を覚ました。
あれ?って考える。
昨夜アルレインがいた気がする。
…夢?
まあ、いいか。
あんまり考えるとキャパオーバーで頭がぱーんってなっちゃうし。
施療院で仕事をしていたら、だんだんお腹が痛くなって来た。
ムカムカと酸っぱいものが上がってくる。
冷や汗がダラダラ流れて寒くなって来た。
力が抜けて、立ってるのにぶるぶるしてくる。
「神子様‼︎大丈夫ですか!」
「お顔の色がっ!」
聖女達の声と患者さん達の声が、わーんと頭の中で木霊する。
痛いよぉ。
気持ち悪いよぉ。
と膝をついて、クリストファは転がった。
胚珠が流れました。
そう言われて涙が止まらない。
だってここにいたんだ。
まだ脈動も気付かなかったけど、ここにいたんだ。
僕の子供が。
「回復させて次の胚珠を。」
「しばらく開けた方が。」
「時間がないだろう」
声が何処かでするけれど、布団を被ってクリストファは泣いていた。
返事だってしない。
食事をするように聖女が促したが、布団虫から出ないからね。
泣きすぎて、眠って、起きた時、アルレインがいた。
「アル‼︎」
叫んで飛びつく。
「死んじゃったよぉ。僕らの子供が死んじゃったよぉ‼︎」
たとえ望んで無くても、たとえ本物の夫婦では無くても、二人の子供が流れちゃった。
アルレインはびっくりした目で少し体を引いた。
「あ、アル?」
「だってあんたはアルレインじゃないんだろう。だったらアルって呼んでいいじゃない。」
クリストファがちょっと拗ねたように唇を尖らせた。
「それより僕らの子供が死んじゃったんだよ。」
クリストファは抱きついたまま言い募った。
まだ自覚さえなかったのだ。
それなのに流れてしまった。
覚えてもあげられないほどに小さな子供。
「大事ない。再び胚珠を仕込めばいい。」
「もうっ!違うよっ‼︎」
クリストファは叫んだ。
抱きついたアルレインの体をぐんぐん揺らす。
「次の子が育っても、死んじゃった子じゃ無いよっ‼︎アルとアルレインが違うように、別な子なんだよっ!」
貧乏子沢山って言われたけれど、子供はいつだって大事なもの。
あの子もこの子もいらない子なんてないんだよ。
クリストファの琥珀色の瞳がじっとアルレインを見つめていた。
ピンと上向いたまつ毛には、涙の珠が乗っている。
擦って紅く腫れたまぶたと、ぐずぐずに濡れたほほがアルレインを貫くように見つめていた。
『アルとアルレインは違う。』
その言葉が、福音のように頭のなかを揺らし、アルレインは驚愕のままに固まっていた。
聖女の回復魔法を浴びながら、クリストファはゆっくりと考える。
何故だろう。
本物は何処に行ったんだろう。
にこにこと笑顔仮面の聖女に聞いても何も知らないみたい。
大神官に聞いたら、
『アルレイン様は神に一番近くなったのですよ。』と、諭すように訳のわかんなこと言われた。
アルレインのセックスってマジ最悪。
噛んだり叩いたりしてくる。
そしてその目がこっちの反応を伺ってるみたいで、気持ちが追いつかない。
以前のアルレインは何処行ったんだろう。
……って、クヨクヨしてもムダだよね。
セックスして、ぶっ倒れて、回復される。
セックスして、ぶっ倒れて、回復される。
それを繰り返して、ダメだこりゃって思った。
ちっとも気持ちよくないし。
施療院の仕事が忙しい。
神子様にお願いしたいと、わざわざ来るから。
魔力が少なくなったので、ポーション飲んで横になった。
うとうとして、もう食欲無いからご飯断ってベッドにいたら、凄く深く寝ちゃった。
あぁ、疲れた。
なんか寒い。と思って夢の中で丸くなってたら、あれ、背中があったかい。
ああ、あったかくて気持ちいい。
うっとり目を開けたら、振り向いたそこにアルレインがいた。
「ん…あったかい。ありがとう。」
そう言いながら半転して抱きつく。
きゅっと抱きしめながら胸に擦り寄る。
「来てくれて嬉しい。なんか一人が嫌だったの。」
そう言ったら体がビクッと強張った。
あれ?って思ったけど、素知らぬ顔で腕の中にいた。
なんか今日は眠くて、あったかさが幸せで、もうどうでも良くなっちゃった。
ああ、ぽかぽかして、幸せ。
朝、クリストファは一人で目を覚ました。
あれ?って考える。
昨夜アルレインがいた気がする。
…夢?
まあ、いいか。
あんまり考えるとキャパオーバーで頭がぱーんってなっちゃうし。
施療院で仕事をしていたら、だんだんお腹が痛くなって来た。
ムカムカと酸っぱいものが上がってくる。
冷や汗がダラダラ流れて寒くなって来た。
力が抜けて、立ってるのにぶるぶるしてくる。
「神子様‼︎大丈夫ですか!」
「お顔の色がっ!」
聖女達の声と患者さん達の声が、わーんと頭の中で木霊する。
痛いよぉ。
気持ち悪いよぉ。
と膝をついて、クリストファは転がった。
胚珠が流れました。
そう言われて涙が止まらない。
だってここにいたんだ。
まだ脈動も気付かなかったけど、ここにいたんだ。
僕の子供が。
「回復させて次の胚珠を。」
「しばらく開けた方が。」
「時間がないだろう」
声が何処かでするけれど、布団を被ってクリストファは泣いていた。
返事だってしない。
食事をするように聖女が促したが、布団虫から出ないからね。
泣きすぎて、眠って、起きた時、アルレインがいた。
「アル‼︎」
叫んで飛びつく。
「死んじゃったよぉ。僕らの子供が死んじゃったよぉ‼︎」
たとえ望んで無くても、たとえ本物の夫婦では無くても、二人の子供が流れちゃった。
アルレインはびっくりした目で少し体を引いた。
「あ、アル?」
「だってあんたはアルレインじゃないんだろう。だったらアルって呼んでいいじゃない。」
クリストファがちょっと拗ねたように唇を尖らせた。
「それより僕らの子供が死んじゃったんだよ。」
クリストファは抱きついたまま言い募った。
まだ自覚さえなかったのだ。
それなのに流れてしまった。
覚えてもあげられないほどに小さな子供。
「大事ない。再び胚珠を仕込めばいい。」
「もうっ!違うよっ‼︎」
クリストファは叫んだ。
抱きついたアルレインの体をぐんぐん揺らす。
「次の子が育っても、死んじゃった子じゃ無いよっ‼︎アルとアルレインが違うように、別な子なんだよっ!」
貧乏子沢山って言われたけれど、子供はいつだって大事なもの。
あの子もこの子もいらない子なんてないんだよ。
クリストファの琥珀色の瞳がじっとアルレインを見つめていた。
ピンと上向いたまつ毛には、涙の珠が乗っている。
擦って紅く腫れたまぶたと、ぐずぐずに濡れたほほがアルレインを貫くように見つめていた。
『アルとアルレインは違う。』
その言葉が、福音のように頭のなかを揺らし、アルレインは驚愕のままに固まっていた。
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