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ギルドでの討伐
9 別の道 アオニア
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領都から離れた山荘にレンは押し込められた。
侍従達に全身を洗われて、羞恥にギリギリした。
そして健康診断だと医者が来た。
特に腹に子供が潜んで無いかを検査された。
結果、貴重な異世界人のうえに新品だった事に至極ご満悦になった依頼主は、気前良く金貨を払った。
アオニアとナヴァが『暇乞いの挨拶』としてレンに面会したのは2日後だった。
いつもなら引き渡した獲物に興味は残らない。
それがわざわざ声を交わせるようにしたのはちょっとした棘のように刺さってる興味と、重い足取りのせいだった。
ナヴァがこの世界に来てもうすぐ五年。
成長魔法を施術する回復師には五年が最大限だと告げられていた。
つまりこの金貨を持って施術したら、それが最後という事だ。
成長魔法によって細胞は育つ。
ありえないスピードで分裂して増殖していくソレは、体内という限られた居場所を取り合って喰い合う戦争のように体内で弾けていく。
ギチギチと身体中が歯軋りして呻いて歪む。
ソレは奈落に堕ちて永遠に彷徨う様な恐怖と苦痛に満ちている。
痛い。
そして忌まわしい。
施術者が少ない訳がわかる。
気の狂いそうなその成長魔法を、ナヴァは必死に耐えて来た。
「元々小さな身体になるように造られてるようですね」
回復師はなかなか育たないナヴァに、器によって入る臓器は限られていると告げた。
「五年で最大の成長になります。それ以上は不可能です…」
性交出来なくてもいてくれるだけで幸せだというアオニアと、繋がりたいというナヴァの願いの五年がもうすぐ終わりを迎えようとしている。
その恐れと期待で二人は二の足を踏んでいた。
だってナヴァは小さくて細い。
手首はアオニアのペニスよりも細い。
口淫で、素股で、或いは互いのペニスを一緒に握って。
それでも充分だと言葉を尽くしてもナヴァは挿れて欲しがる。
アオニアだってしたい。
ナヴァのナカを埋め尽くしたい。
出来る…とは思う。
この世には子供を性の道具にする奴もいるくらいだ。
でも、もし急激に成長させられた内臓が耐え切れずに裂けたとしたら…
自分のモノを埋め込みながら、苦しんで生き絶えるナヴァを想像してアオニアは踏み出せなかった。
そして最後の施術が終わって、何も変わってない自分を認識したらナヴァはどうするだろう。
失望と悲しみと苦痛を与えたくて無くて、アオニアは時間稼ぎのようにレンに最後の面会を申し込んでいた。
レンは広いベッドの上で力無く横たわっていた。
脱がしやすいキモノを着ている。
腕の魔道具のせいで立つ事も出来ない。
罵られると思ってたのに、レンは静かに見返していた。
レンの目は片方が黒曜石のようだ。
そして片方が紺色で銀河のような光が瞬いている。
そう、レンは他のチキュウ人とは違った。
魔力が単一ではないのだ。
そして見かけも魔道具で変化させたものじゃなかった。
その為に探しても見つけられなかったのだ。
死にかけたというが、上級回復師に施術されたとしてもその回復師の魔力に染まったりしない。
性交して染まったとしても、その魔力は本人と相手の上書きでしか無い。
初めてレンを見つけた時から、この滲んだような魔力はなんなんだろうと思ってた。
二人分のように鼓動とともに変化するこの魔力はなんなんだろうと思ってた。
「君はかなりの損傷で死にかけたと聞いた。
回復師も下級しかいなかったと聞いた。
傷は時間が経つと修復が難しくなるという。
でも君は傷どころか瞳の色も魔力も変化している」
言いながらアオニアは気付いた。
気付いた途端に、ドキドキと鼓動が喉元に響くのがわかった。
アオニアは静かに見返すレンの目の中に、大事な答えが有るのだと悟った。
なんだろう。
上書きでも修復でも無い魔力。
コレが大事なモノだと本能が叫んでいる。
「教えて欲しい。
君の回復はどんな力による物なんだろうか
」
侍従達に全身を洗われて、羞恥にギリギリした。
そして健康診断だと医者が来た。
特に腹に子供が潜んで無いかを検査された。
結果、貴重な異世界人のうえに新品だった事に至極ご満悦になった依頼主は、気前良く金貨を払った。
アオニアとナヴァが『暇乞いの挨拶』としてレンに面会したのは2日後だった。
いつもなら引き渡した獲物に興味は残らない。
それがわざわざ声を交わせるようにしたのはちょっとした棘のように刺さってる興味と、重い足取りのせいだった。
ナヴァがこの世界に来てもうすぐ五年。
成長魔法を施術する回復師には五年が最大限だと告げられていた。
つまりこの金貨を持って施術したら、それが最後という事だ。
成長魔法によって細胞は育つ。
ありえないスピードで分裂して増殖していくソレは、体内という限られた居場所を取り合って喰い合う戦争のように体内で弾けていく。
ギチギチと身体中が歯軋りして呻いて歪む。
ソレは奈落に堕ちて永遠に彷徨う様な恐怖と苦痛に満ちている。
痛い。
そして忌まわしい。
施術者が少ない訳がわかる。
気の狂いそうなその成長魔法を、ナヴァは必死に耐えて来た。
「元々小さな身体になるように造られてるようですね」
回復師はなかなか育たないナヴァに、器によって入る臓器は限られていると告げた。
「五年で最大の成長になります。それ以上は不可能です…」
性交出来なくてもいてくれるだけで幸せだというアオニアと、繋がりたいというナヴァの願いの五年がもうすぐ終わりを迎えようとしている。
その恐れと期待で二人は二の足を踏んでいた。
だってナヴァは小さくて細い。
手首はアオニアのペニスよりも細い。
口淫で、素股で、或いは互いのペニスを一緒に握って。
それでも充分だと言葉を尽くしてもナヴァは挿れて欲しがる。
アオニアだってしたい。
ナヴァのナカを埋め尽くしたい。
出来る…とは思う。
この世には子供を性の道具にする奴もいるくらいだ。
でも、もし急激に成長させられた内臓が耐え切れずに裂けたとしたら…
自分のモノを埋め込みながら、苦しんで生き絶えるナヴァを想像してアオニアは踏み出せなかった。
そして最後の施術が終わって、何も変わってない自分を認識したらナヴァはどうするだろう。
失望と悲しみと苦痛を与えたくて無くて、アオニアは時間稼ぎのようにレンに最後の面会を申し込んでいた。
レンは広いベッドの上で力無く横たわっていた。
脱がしやすいキモノを着ている。
腕の魔道具のせいで立つ事も出来ない。
罵られると思ってたのに、レンは静かに見返していた。
レンの目は片方が黒曜石のようだ。
そして片方が紺色で銀河のような光が瞬いている。
そう、レンは他のチキュウ人とは違った。
魔力が単一ではないのだ。
そして見かけも魔道具で変化させたものじゃなかった。
その為に探しても見つけられなかったのだ。
死にかけたというが、上級回復師に施術されたとしてもその回復師の魔力に染まったりしない。
性交して染まったとしても、その魔力は本人と相手の上書きでしか無い。
初めてレンを見つけた時から、この滲んだような魔力はなんなんだろうと思ってた。
二人分のように鼓動とともに変化するこの魔力はなんなんだろうと思ってた。
「君はかなりの損傷で死にかけたと聞いた。
回復師も下級しかいなかったと聞いた。
傷は時間が経つと修復が難しくなるという。
でも君は傷どころか瞳の色も魔力も変化している」
言いながらアオニアは気付いた。
気付いた途端に、ドキドキと鼓動が喉元に響くのがわかった。
アオニアは静かに見返すレンの目の中に、大事な答えが有るのだと悟った。
なんだろう。
上書きでも修復でも無い魔力。
コレが大事なモノだと本能が叫んでいる。
「教えて欲しい。
君の回復はどんな力による物なんだろうか
」
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