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ギルドと依頼とジャダと俺
4 繋がる出会い
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レンは籠を持って歩いている。
脇にジャダがいるけれど、全意識は前方に向いているのでほぼ小走りだ。
だって早く行かないと、売り切れるのだから!
木の日は限定商品が並ぶ。開店時間目前でレンはいそいそと歩く。
王宮でクロワッサンも食パンもバゲットも食べてたから、ソレはごく普通に売ってると思ってた。
でも下町のパン売りは平べったい無発酵のパンとか、ライ麦の重たい黒パンとか、トルティーヤを10枚纏めて縛った物を売っている。
正直むっちゃくちゃ固くて不味くて飲み込みにくかった。
なにせ普通の男子高生はそれなりに料理は出来るが、パンだのケーキだのはエベレストの頂きのように遥か遠い存在なのだ。
どれだけ頑張っても自分の食卓を残念なモノに貶める主食。
ソレがレンの悩みだった。
トルティーヤもどきは自分で焼ける。
トウモロコシ粉と小麦粉は台所に常備している。
パンケーキだって作れる。でもパンは焼けない。
トライしても、ごつんと固まった味のない非常食もどきが出来るだけだ。
それがジャダから土産だとクロワッサンを渡された‼︎
パイ生地を何層にも重ねるその手間は、一般ピープルには夢の世界だと思っていたのに、なんか貴族街の近くの裏路地にひっそり売店があるらしい。
貴族街は基本近寄らないようにしていた。
しかも平民が入り込まないように、壁で囲われている。
その近くの街だって推して然るべきで、踏み込んでいなかった。
勿論、行く!
すぐ行く‼︎
行ってみたら成る程、せっまい裏路地にひっそりとおしゃれパン屋がありました
どう見ても実益よりも趣味100%のパン屋が。
木造りのこぢんまりした店内に平籠に乗ったパン達。
種類は少ない。
でもロールパンもブリオッシュも、イギリス食パンまで置いてある!
今までトルティーヤで野菜や肉を巻いた物がレン達の弁当だったのが、サンドイッチやホットドッグとレパートリーが増えた。
自然、レンの意気込みはぐんと上がる。
木の日は限定商品が出るので、その日は依頼の休憩日として買いに行く様になった。
ブリオッシュと食パンを買って、籠にハンカチを掛けて店を出る。
もう、にこにこだ。
路地の入り口に、うずくまっている人影があった。
女性だ。壁にもたれている。
咄嗟に籠をジャダにパスして走る。
勿論後で叱られないように風を纒っている。
白い髪だからおばあちゃんだと思ってたのに、近づくと銀髪だった。
壁にもたれて下を向いている。
肩が大きく上下しているから、具合が悪くなったんだと思う。
足元に杖と籠が転がっていた。
辺りを見渡したが、こっちを向いてる人はいない。
ジャダが背後にいる気配を感じるから、安心して膝を付いた。
小さな顔は青褪めていた。
アラサーくらいの綺麗な女の人だ。
青紫色の服は、レンの暮らす街ではあまりみないような上等なものだ。
その人が顔を上げる。
銀のまつ毛に縁取られたラベンダー色の目が、驚いたようにレンを見た。
目の中の銀粉がひらりと舞う。
その目がレンを見つめた。
あ。
レンの中に何ががちかりと繋がった。
脇にジャダがいるけれど、全意識は前方に向いているのでほぼ小走りだ。
だって早く行かないと、売り切れるのだから!
木の日は限定商品が並ぶ。開店時間目前でレンはいそいそと歩く。
王宮でクロワッサンも食パンもバゲットも食べてたから、ソレはごく普通に売ってると思ってた。
でも下町のパン売りは平べったい無発酵のパンとか、ライ麦の重たい黒パンとか、トルティーヤを10枚纏めて縛った物を売っている。
正直むっちゃくちゃ固くて不味くて飲み込みにくかった。
なにせ普通の男子高生はそれなりに料理は出来るが、パンだのケーキだのはエベレストの頂きのように遥か遠い存在なのだ。
どれだけ頑張っても自分の食卓を残念なモノに貶める主食。
ソレがレンの悩みだった。
トルティーヤもどきは自分で焼ける。
トウモロコシ粉と小麦粉は台所に常備している。
パンケーキだって作れる。でもパンは焼けない。
トライしても、ごつんと固まった味のない非常食もどきが出来るだけだ。
それがジャダから土産だとクロワッサンを渡された‼︎
パイ生地を何層にも重ねるその手間は、一般ピープルには夢の世界だと思っていたのに、なんか貴族街の近くの裏路地にひっそり売店があるらしい。
貴族街は基本近寄らないようにしていた。
しかも平民が入り込まないように、壁で囲われている。
その近くの街だって推して然るべきで、踏み込んでいなかった。
勿論、行く!
すぐ行く‼︎
行ってみたら成る程、せっまい裏路地にひっそりとおしゃれパン屋がありました
どう見ても実益よりも趣味100%のパン屋が。
木造りのこぢんまりした店内に平籠に乗ったパン達。
種類は少ない。
でもロールパンもブリオッシュも、イギリス食パンまで置いてある!
今までトルティーヤで野菜や肉を巻いた物がレン達の弁当だったのが、サンドイッチやホットドッグとレパートリーが増えた。
自然、レンの意気込みはぐんと上がる。
木の日は限定商品が出るので、その日は依頼の休憩日として買いに行く様になった。
ブリオッシュと食パンを買って、籠にハンカチを掛けて店を出る。
もう、にこにこだ。
路地の入り口に、うずくまっている人影があった。
女性だ。壁にもたれている。
咄嗟に籠をジャダにパスして走る。
勿論後で叱られないように風を纒っている。
白い髪だからおばあちゃんだと思ってたのに、近づくと銀髪だった。
壁にもたれて下を向いている。
肩が大きく上下しているから、具合が悪くなったんだと思う。
足元に杖と籠が転がっていた。
辺りを見渡したが、こっちを向いてる人はいない。
ジャダが背後にいる気配を感じるから、安心して膝を付いた。
小さな顔は青褪めていた。
アラサーくらいの綺麗な女の人だ。
青紫色の服は、レンの暮らす街ではあまりみないような上等なものだ。
その人が顔を上げる。
銀のまつ毛に縁取られたラベンダー色の目が、驚いたようにレンを見た。
目の中の銀粉がひらりと舞う。
その目がレンを見つめた。
あ。
レンの中に何ががちかりと繋がった。
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