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学園
25 サモエドの楽しみ
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夜、サモエドの一日はその日録画したデーターを編集することで終わる。
サモエドはセバスティンの依頼、そして自分の趣味と、一石二鳥の気分で王都のあちこちに録画の魔道具を放している。
ソレは固定のものだけじゃ無く、たとえば温室では虫として飛んでいる。
個人を特定して付けている物もある。
ソレを夜、編集する。
画として空中にぱっぱっと映し出して、保存するものをピックアップする。
会議室の議事録や、魔導師達の汚職や贈賄は、もちろん大好物だ。
ちゃんと個人に振り分けて保存している。
(もしもの為の保険として)
王宮の片隅に映るものの中に、"小さな恋の物語""愛と欲望の狭間"と、勝手に銘打ったシリーズがある。
まあ、侍女や騎士の恋のあれこれだったりするが。
今日もそれのファイルにデータが増えることをにんまりして、ワインを注いだ。
他人の本気は自分の愉しみ。
こうやって日の終わりにワイン片手に愉しむのはとても心地良い。
たまに、とても心を寄り添わせたて応援している健気な娘と、町ですれ違ったりするとドキマギする。
向こうはもちろん自分の事をこれっぽっちも知らない事が、さらに背徳感を満足させる。
そんな罪悪感さえ日々を彩るスパイスとして、サモエドは楽しんでいた。
「ん”っ⁉︎」
画像を流していた右手の人差し指をピクリと止める。
そこには眼鏡を外したレリアと、ザラド王子が一つのベンチに座っていた。
何だコレ。
思わず拡大する。
音もボリュームをあげていく。
「残された人は幸せに暮らしているとずっと思ってました。」
レリアの言葉にザラドは目を見開いている。
「いつまでもいつまでも悪役にさせられているなんて惨めすぎる。」
その言葉はザラドだけじゃ無く、サモエドの心も鷲掴んだ。
驚いた。
ザラド王子があけすけに告解している。
そりゃ、そういう効果のものをベンチに付加したけれどね。
それでも王子として、これだけ魔力が高ければちんけな付加魔道具に抗えるはずだ。
それなのに腹の中を素直に吐き出している。
そしてレリア。
本音を吐く姿は久しぶりに見た。
………この二人。
どういう化学反応が起こるんだろう。
コレで状況が変わるのか?
サモエドは、ぼんやりしていて人肌に温まったワインをぐいっとあおった。
そしてそのデータを、自分以外は開けられない収納空間に押し込んだ。
サモエドはセバスティンの依頼、そして自分の趣味と、一石二鳥の気分で王都のあちこちに録画の魔道具を放している。
ソレは固定のものだけじゃ無く、たとえば温室では虫として飛んでいる。
個人を特定して付けている物もある。
ソレを夜、編集する。
画として空中にぱっぱっと映し出して、保存するものをピックアップする。
会議室の議事録や、魔導師達の汚職や贈賄は、もちろん大好物だ。
ちゃんと個人に振り分けて保存している。
(もしもの為の保険として)
王宮の片隅に映るものの中に、"小さな恋の物語""愛と欲望の狭間"と、勝手に銘打ったシリーズがある。
まあ、侍女や騎士の恋のあれこれだったりするが。
今日もそれのファイルにデータが増えることをにんまりして、ワインを注いだ。
他人の本気は自分の愉しみ。
こうやって日の終わりにワイン片手に愉しむのはとても心地良い。
たまに、とても心を寄り添わせたて応援している健気な娘と、町ですれ違ったりするとドキマギする。
向こうはもちろん自分の事をこれっぽっちも知らない事が、さらに背徳感を満足させる。
そんな罪悪感さえ日々を彩るスパイスとして、サモエドは楽しんでいた。
「ん”っ⁉︎」
画像を流していた右手の人差し指をピクリと止める。
そこには眼鏡を外したレリアと、ザラド王子が一つのベンチに座っていた。
何だコレ。
思わず拡大する。
音もボリュームをあげていく。
「残された人は幸せに暮らしているとずっと思ってました。」
レリアの言葉にザラドは目を見開いている。
「いつまでもいつまでも悪役にさせられているなんて惨めすぎる。」
その言葉はザラドだけじゃ無く、サモエドの心も鷲掴んだ。
驚いた。
ザラド王子があけすけに告解している。
そりゃ、そういう効果のものをベンチに付加したけれどね。
それでも王子として、これだけ魔力が高ければちんけな付加魔道具に抗えるはずだ。
それなのに腹の中を素直に吐き出している。
そしてレリア。
本音を吐く姿は久しぶりに見た。
………この二人。
どういう化学反応が起こるんだろう。
コレで状況が変わるのか?
サモエドは、ぼんやりしていて人肌に温まったワインをぐいっとあおった。
そしてそのデータを、自分以外は開けられない収納空間に押し込んだ。
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