24 / 31
パルスの血族
24
しおりを挟む
パルスがシーシュス領に溶け込んで約一年。
ライサンダーに執務室に呼ばれた。
「いろいろ待たせたね。」
そう言われてソファに案内され、ぽかんとする。
王がシルフィを連れ去ってから、パルスへの追及を防ぐために足取りを消した。
ほとぼりが冷めるまで様子を見た。
監視されていないか、念には念を入れ。
~~そして、
「君を俺の養子にしても良い。だか辺境の貴族の子弟では、王城でシルフィ様へと迫れない。だからもっと強固な後ろ盾をと思ってラルーナ様の実家を探していたんだ。そして、やっと探し当てた。」
「ラルーナ様?」
「君のお祖母様だよ。」
オベロン王の正妃であったラルーナはタイタニアという国の王女だった。
タイタニアは幻の王国と呼ばれて、外交している国は無い。
そして場所さえはっきりとわかっていない。
タイタニアは今では御伽か、吟遊詩人の語りの無いでのみ存在している国だった。
遥か昔。
まだタングル国やカルシュ国ができる前。
オラベア皇国と小さな国の連合が敵対していた。
タイタニアは戦いを望まず、他国と距離をとって中立を貫いていた。
しかし魔道を使うとして両サイドから付け狙われた事により、世界大戦に巻き込まれて愛する妃を失う。
それでも戦いを拒絶して、タイタニアは霧の向こうに消えていったと言われる。
その話は子供の寝物語として知られていた。
そのタイタニアが、お祖母様の国?
若かりしころ、オベロン王は自国の背後を守っているザダム・ラタムの切り立った山々に疑問を持った。
何故竜も飛べないと言われている?
竜なぞこの百年あまりと見てもいないのに。
その山の脇から溢れ出る泉は、ロダ川の源流となって国を潤している。
山の精気をたっぷり落とし込んだようなその水は、他の川よりも豊かさを育んでくれる。
畑も森も全てが豊かだ。
そして毎日眺めていたオベロンは、ある日高い崖に小さな洞窟を見出した。
あんなに切り立った遥かな崖は、ヤギの獣人ですら登れませんから。
そう言う周りを跳ね除けて登り始めた。
そしてついにその洞窟に辿り着いた。
その中で彷徨いながら、タイタニアを見つけたと言われている。
実に一月後、サダム・ラタムでは無く、ルザの樹海に現れたオベロンは、ラルーナ様を連れていた。
ラルーナ様は美しい雪豹の獣人だった。
絶滅したと言われていた雪豹に、王宮は沸いたが、二人は言わずの誓いを立てたと言うだけで何も答えなかった。
そしてあの洞窟も、オベロンが入ってからすぐに見当たらなくなっていた。
オベロンとラルーナは伴侶となり、国をおさめてきた。
そして二人の間に生まれたのが、パルスとシルフィの母のロクサーヌだ。
ライサンダーに執務室に呼ばれた。
「いろいろ待たせたね。」
そう言われてソファに案内され、ぽかんとする。
王がシルフィを連れ去ってから、パルスへの追及を防ぐために足取りを消した。
ほとぼりが冷めるまで様子を見た。
監視されていないか、念には念を入れ。
~~そして、
「君を俺の養子にしても良い。だか辺境の貴族の子弟では、王城でシルフィ様へと迫れない。だからもっと強固な後ろ盾をと思ってラルーナ様の実家を探していたんだ。そして、やっと探し当てた。」
「ラルーナ様?」
「君のお祖母様だよ。」
オベロン王の正妃であったラルーナはタイタニアという国の王女だった。
タイタニアは幻の王国と呼ばれて、外交している国は無い。
そして場所さえはっきりとわかっていない。
タイタニアは今では御伽か、吟遊詩人の語りの無いでのみ存在している国だった。
遥か昔。
まだタングル国やカルシュ国ができる前。
オラベア皇国と小さな国の連合が敵対していた。
タイタニアは戦いを望まず、他国と距離をとって中立を貫いていた。
しかし魔道を使うとして両サイドから付け狙われた事により、世界大戦に巻き込まれて愛する妃を失う。
それでも戦いを拒絶して、タイタニアは霧の向こうに消えていったと言われる。
その話は子供の寝物語として知られていた。
そのタイタニアが、お祖母様の国?
若かりしころ、オベロン王は自国の背後を守っているザダム・ラタムの切り立った山々に疑問を持った。
何故竜も飛べないと言われている?
竜なぞこの百年あまりと見てもいないのに。
その山の脇から溢れ出る泉は、ロダ川の源流となって国を潤している。
山の精気をたっぷり落とし込んだようなその水は、他の川よりも豊かさを育んでくれる。
畑も森も全てが豊かだ。
そして毎日眺めていたオベロンは、ある日高い崖に小さな洞窟を見出した。
あんなに切り立った遥かな崖は、ヤギの獣人ですら登れませんから。
そう言う周りを跳ね除けて登り始めた。
そしてついにその洞窟に辿り着いた。
その中で彷徨いながら、タイタニアを見つけたと言われている。
実に一月後、サダム・ラタムでは無く、ルザの樹海に現れたオベロンは、ラルーナ様を連れていた。
ラルーナ様は美しい雪豹の獣人だった。
絶滅したと言われていた雪豹に、王宮は沸いたが、二人は言わずの誓いを立てたと言うだけで何も答えなかった。
そしてあの洞窟も、オベロンが入ってからすぐに見当たらなくなっていた。
オベロンとラルーナは伴侶となり、国をおさめてきた。
そして二人の間に生まれたのが、パルスとシルフィの母のロクサーヌだ。
0
お気に入りに追加
87
あなたにおすすめの小説
ニケの宿
水無月
BL
危険地帯の山の中。数少ない安全エリアで宿を営む赤犬族の犬耳幼子は、吹雪の中で白い青年を拾う。それは滅んだはずの種族「人族」で。
しっかり者のわんことあまり役に立たない青年。それでも青年は幼子の孤独をゆるやかに埋めてくれた。
異なる種族同士の、共同生活。
※本作はちいさい子と青年のほんのりストーリが軸なので、過激な描写は控えています。バトルシーンが多めなので(矛盾)怪我をしている描写もあります。苦手な方はご注意ください。
『BL短編』の方に、この作品のキャラクターの挿絵を投稿してあります。自作です。
この恋は無双
ぽめた
BL
タリュスティン・マクヴィス。愛称タリュス。十四歳の少年。とてつもない美貌の持ち主だが本人に自覚がなく、よく女の子に間違われて困るなぁ程度の認識で軽率に他人を魅了してしまう顔面兵器。
サークス・イグニシオン。愛称サーク(ただしタリュスにしか呼ばせない)。万年二十五歳の成人男性。世界に四人しかいない白金と呼ばれる称号を持つ優れた魔術師。身分に関係なく他人には態度が悪い。
とある平和な国に居を構え、相棒として共に暮らしていた二人が辿る、比類なき恋の行方は。
*←少し性的な表現を含みます。
苦手な方、15歳未満の方は閲覧を避けてくださいね。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
孤独を癒して
星屑
BL
運命の番として出会った2人。
「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、
デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。
*不定期更新。
*感想などいただけると励みになります。
*完結は絶対させます!
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
どうやら生まれる世界を間違えた~異世界で人生やり直し?~
黒飴細工
BL
京 凛太郎は突然異世界に飛ばされたと思ったら、そこで出会った超絶イケメンに「この世界は本来、君が生まれるべき世界だ」と言われ……?どうやら生まれる世界を間違えたらしい。幼い頃よりあまりいい人生を歩んでこれなかった凛太郎は心機一転。人生やり直し、自分探しの旅に出てみることに。しかし、次から次に出会う人々は一癖も二癖もある人物ばかり、それが見た目が良いほど変わった人物が多いのだから困りもの。「でたよ!ファンタジー!」が口癖になってしまう凛太郎がこれまでと違った濃ゆい人生を送っていくことに。
※こちらの作品第10回BL小説大賞にエントリーしてます。応援していただけましたら幸いです。
※こちらの作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる