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馬鹿者の夢の跡
2 エルダス 上
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アルベルトは馬鹿だと思う。
いきなり前領主が身罷られて、あわあわしていた。
元々兄上の手助けとして武を仕切っていた。
おかげで奴の脳みそは、もうそっちで一杯一杯で。
"領地経営"という方に舵を取れない。
幸い家令が代々支えてくれているベテランで。
もう奴に出来ることと言ったら、領地を仕切ってくれる伴侶を手に入れるのがベストでグッドだということだ。
それなのに「嫁は要らん‼︎次期領主はルーアにする」
頑なにそう宣言しても、
「子供の扱いはわからん!任せたぞ‼︎」
と、近寄らない。
もう、目も当てられない。
さらに前領主の奥方の実家が、何やら蠢き始めた。
アルベルトは正直イケメンだ。
その見てくれの上、領主という地位になったものだから、あっちからもこっちからも思惑の毒蔦が延びてくる。
元々ねっとりした令息達が苦手だったアルベルトは、その思惑に見向きもしなかった。
家令も執事も私も。必死で進言したが耳を傾けない。
まぁ、ただの頑固な馬鹿野郎だった。
皆んなが頑張ってくれたから持ったんだぞ!
胸ぐらを掴んで揺すぶってやりたかった。
王によって"見合い"とか言うドタバタが起こった。
田舎の辺境だから、賊や道の不備による事故とかどうすんだ⁉︎
と慌てたら
「勝手に来るんだ。放っておけ。」と、吐いた。
そんな訳行かんだろうっ‼︎
…と、思ってたのに。
何故か上手く行っちまった。
脱落しない者には、最終兵器ビーチェ様が降臨して。
その我儘な傍若無人っぷりで蹴散らしたのだ。
見合いが消し飛んだ成功体験に気をよくして。
「放っとこう。上手くいくさ」
と、ビーチェ様の出入りを認めた時。
ちょっと意識が飛びかけた。
わかってる?
そう言うの、やがて自分に返ってくるぜ!
そんな周りが悶々している時に、王による最終兵器としてキリル様がいらした。
キリル様は今までの有象無象とは違った。
ルーア様を抱き上げて、一番だと宣言した。
そしてだらけた城をあっという間に叩き直した。
(主にガルゼ様が♡)
なあなあを許すのは怠惰な事だと指摘された。
(ガルゼ様に♡)
ビーチェ様はもう慢心し、城で自分が一番偉いと振る舞っていた。執事長がキャットファイトに持って行ったのは理解できる。
めためたに負けて泣いて帰ったビーチェ様の家へ、
今まで立て替えた宝石や服や靴の明細と、商店からの販売証明書と本人のサインの写しを纏めて送った。
(もちろん、ガルゼ様の指示で♡)
ついでに王の認める次期領主であるルーア様へと暴行を、
反論の出来ないように教会での証言書式にして送ってやった。
もう、王と公爵家と辺境伯という三方に囲まれて、異議申し立ても出来ないくらいに追い込んでやった。
おかげで実家はおとなしくなった。
(ガルゼ様のおかげで♡)
そしてアルベルト。
露骨だ。
本人は分かってないみたいだが、その目はキリル様を追っている。
あの天使の様な微笑み一つで、ぐるぐると気分が乱高下している。
~~それをなんと言うか、自分でわかってないんだろう。
城の者は生暖かく二人を見守っている。
(もちろん、ガルゼ様も♡)
面目上は、夫夫なんだよあの二人。
キリル様はちょっとおきゃんで、ちょっと抜けてて実に可愛い人だ。
そして本当にルーア様を可愛がっている。
二人が上手く行けば良い。
城の者はそう願っていた。
いきなり前領主が身罷られて、あわあわしていた。
元々兄上の手助けとして武を仕切っていた。
おかげで奴の脳みそは、もうそっちで一杯一杯で。
"領地経営"という方に舵を取れない。
幸い家令が代々支えてくれているベテランで。
もう奴に出来ることと言ったら、領地を仕切ってくれる伴侶を手に入れるのがベストでグッドだということだ。
それなのに「嫁は要らん‼︎次期領主はルーアにする」
頑なにそう宣言しても、
「子供の扱いはわからん!任せたぞ‼︎」
と、近寄らない。
もう、目も当てられない。
さらに前領主の奥方の実家が、何やら蠢き始めた。
アルベルトは正直イケメンだ。
その見てくれの上、領主という地位になったものだから、あっちからもこっちからも思惑の毒蔦が延びてくる。
元々ねっとりした令息達が苦手だったアルベルトは、その思惑に見向きもしなかった。
家令も執事も私も。必死で進言したが耳を傾けない。
まぁ、ただの頑固な馬鹿野郎だった。
皆んなが頑張ってくれたから持ったんだぞ!
胸ぐらを掴んで揺すぶってやりたかった。
王によって"見合い"とか言うドタバタが起こった。
田舎の辺境だから、賊や道の不備による事故とかどうすんだ⁉︎
と慌てたら
「勝手に来るんだ。放っておけ。」と、吐いた。
そんな訳行かんだろうっ‼︎
…と、思ってたのに。
何故か上手く行っちまった。
脱落しない者には、最終兵器ビーチェ様が降臨して。
その我儘な傍若無人っぷりで蹴散らしたのだ。
見合いが消し飛んだ成功体験に気をよくして。
「放っとこう。上手くいくさ」
と、ビーチェ様の出入りを認めた時。
ちょっと意識が飛びかけた。
わかってる?
そう言うの、やがて自分に返ってくるぜ!
そんな周りが悶々している時に、王による最終兵器としてキリル様がいらした。
キリル様は今までの有象無象とは違った。
ルーア様を抱き上げて、一番だと宣言した。
そしてだらけた城をあっという間に叩き直した。
(主にガルゼ様が♡)
なあなあを許すのは怠惰な事だと指摘された。
(ガルゼ様に♡)
ビーチェ様はもう慢心し、城で自分が一番偉いと振る舞っていた。執事長がキャットファイトに持って行ったのは理解できる。
めためたに負けて泣いて帰ったビーチェ様の家へ、
今まで立て替えた宝石や服や靴の明細と、商店からの販売証明書と本人のサインの写しを纏めて送った。
(もちろん、ガルゼ様の指示で♡)
ついでに王の認める次期領主であるルーア様へと暴行を、
反論の出来ないように教会での証言書式にして送ってやった。
もう、王と公爵家と辺境伯という三方に囲まれて、異議申し立ても出来ないくらいに追い込んでやった。
おかげで実家はおとなしくなった。
(ガルゼ様のおかげで♡)
そしてアルベルト。
露骨だ。
本人は分かってないみたいだが、その目はキリル様を追っている。
あの天使の様な微笑み一つで、ぐるぐると気分が乱高下している。
~~それをなんと言うか、自分でわかってないんだろう。
城の者は生暖かく二人を見守っている。
(もちろん、ガルゼ様も♡)
面目上は、夫夫なんだよあの二人。
キリル様はちょっとおきゃんで、ちょっと抜けてて実に可愛い人だ。
そして本当にルーア様を可愛がっている。
二人が上手く行けば良い。
城の者はそう願っていた。
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