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家族になりますね
5 定期報告
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「~~以上でございます。」
エルダスはガルゼに定期報告をしている。
基本の報・連・相は大事だ。
これは通常業務が終わった後に
(手のかかる主を寝かしつけた後に)
ガルゼが手ずからお茶を入れてくれるというご褒美付きの、脳内デロ甘なうっとりタイムなのだ。
アルベルトの無言の肯定を受けて、(目を逸らしたとも言う)きっちりと報告書を書き上げている。
"一歩引いて、出来る腹黒侍従"
"ぬらりひょん的な影の支配者"
そんなものに若い時イキって目指してたけど。
今はガルゼに"犬"と呼ばれたいエルダスだ。
今回の報告書は厚い。
そして表と裏がある。
領主夫夫が、結婚のお披露目をかねて領地の視察に回ったからだ。
領主一族は万が一の為に同乗したり同じ行程は取らない。今回はキリルのお披露目があるので、夫夫で一つ馬車で出掛けた。
血の存続というのが前提で、ルーアは留守番だ。
もちろんルーアはぎゃん泣きだった。
キリルはガルゼを付ける事でなんとか説得した。
そんな訳でガルゼは同行出来なかったので、エルダスに報告書を提出させたのだ。
キリルは瞬時に可愛い猫を被る。
熱烈歓迎を受けながら、人前でいちゃついて領地安泰を見せつけていたようだ。
表は鳥便や避難所についての報告が書かれている。ホワルーは順調に卵を温めているようだ。
そして、裏は…
ぺらりと紙をめくって、ガルゼの頬はピクリと震えた。
ちらりと視線を流すと、へっへっへっと撫でられるのを待つ大型犬がいた。
目がキラキラしている。
じっくり読み上げてから、ガルゼはにっこりと微笑んだ。
でしょう♡
でしょう♡
と擦り寄るエルダスに、すっと手を差し出す。
さっと跪いて手の下に頭を差し込んでくるので。
ぐりぐりと撫で上げた。
前領主夫夫は人目も憚らずいちゃいちゃだったらしい。
アルベルト達が泊まる寝室は、当然領主用の部屋だ。
たとえ砦と言えど、最上階にその寝室はあった。
何の指示もしなくても、全自動でそこに流される夫夫は。大きなベッドと花束と、わざわざ用意されている寝衣に出迎えられたという訳だった。
ガルゼは想像して頬が緩んでしまった。
うん。
充分に想像できる。
薄く透ける、ムーディーな閨着を着て。
仁王立ちしているキリル。
挙動不審なアルベルトに、不思議そうな目を向けながら、「ほら。明日もスケジュール詰まってんだから。ちゃっちゃ寝るよ‼︎」
と、ためらいも無くベッドに入り込むキリル。
そしてギンギンと充血した目で寝付けないアルベルトの横で、爆睡するキリル。
……なんて笑える残酷話だ。
キリルは幼い頃から赤い糸が見えてたおかげで、人間同士の繋がりに疎い。
こと恋愛に至っては、何処かに停止ボタンがある様だ。
それが忌避ではなく自嘲になったら、その危うさが下手したらヤリマンになる事を考えて。
ガルゼはそっち方面を念入りに封じた。
おかげでキリルは、ディナスという初恋を滅した今。
無敵の悪戯ボーイでしかないのだった。
出来る事ならこの目で見たかった。
ぐぐぐっと、指に力が入って。
エルダスの髪はぐしゃぐしゃと立ち上がる。
想像上の尻尾は、ふっふっふっといつもより激しく振り回された。
エルダスはガルゼに定期報告をしている。
基本の報・連・相は大事だ。
これは通常業務が終わった後に
(手のかかる主を寝かしつけた後に)
ガルゼが手ずからお茶を入れてくれるというご褒美付きの、脳内デロ甘なうっとりタイムなのだ。
アルベルトの無言の肯定を受けて、(目を逸らしたとも言う)きっちりと報告書を書き上げている。
"一歩引いて、出来る腹黒侍従"
"ぬらりひょん的な影の支配者"
そんなものに若い時イキって目指してたけど。
今はガルゼに"犬"と呼ばれたいエルダスだ。
今回の報告書は厚い。
そして表と裏がある。
領主夫夫が、結婚のお披露目をかねて領地の視察に回ったからだ。
領主一族は万が一の為に同乗したり同じ行程は取らない。今回はキリルのお披露目があるので、夫夫で一つ馬車で出掛けた。
血の存続というのが前提で、ルーアは留守番だ。
もちろんルーアはぎゃん泣きだった。
キリルはガルゼを付ける事でなんとか説得した。
そんな訳でガルゼは同行出来なかったので、エルダスに報告書を提出させたのだ。
キリルは瞬時に可愛い猫を被る。
熱烈歓迎を受けながら、人前でいちゃついて領地安泰を見せつけていたようだ。
表は鳥便や避難所についての報告が書かれている。ホワルーは順調に卵を温めているようだ。
そして、裏は…
ぺらりと紙をめくって、ガルゼの頬はピクリと震えた。
ちらりと視線を流すと、へっへっへっと撫でられるのを待つ大型犬がいた。
目がキラキラしている。
じっくり読み上げてから、ガルゼはにっこりと微笑んだ。
でしょう♡
でしょう♡
と擦り寄るエルダスに、すっと手を差し出す。
さっと跪いて手の下に頭を差し込んでくるので。
ぐりぐりと撫で上げた。
前領主夫夫は人目も憚らずいちゃいちゃだったらしい。
アルベルト達が泊まる寝室は、当然領主用の部屋だ。
たとえ砦と言えど、最上階にその寝室はあった。
何の指示もしなくても、全自動でそこに流される夫夫は。大きなベッドと花束と、わざわざ用意されている寝衣に出迎えられたという訳だった。
ガルゼは想像して頬が緩んでしまった。
うん。
充分に想像できる。
薄く透ける、ムーディーな閨着を着て。
仁王立ちしているキリル。
挙動不審なアルベルトに、不思議そうな目を向けながら、「ほら。明日もスケジュール詰まってんだから。ちゃっちゃ寝るよ‼︎」
と、ためらいも無くベッドに入り込むキリル。
そしてギンギンと充血した目で寝付けないアルベルトの横で、爆睡するキリル。
……なんて笑える残酷話だ。
キリルは幼い頃から赤い糸が見えてたおかげで、人間同士の繋がりに疎い。
こと恋愛に至っては、何処かに停止ボタンがある様だ。
それが忌避ではなく自嘲になったら、その危うさが下手したらヤリマンになる事を考えて。
ガルゼはそっち方面を念入りに封じた。
おかげでキリルは、ディナスという初恋を滅した今。
無敵の悪戯ボーイでしかないのだった。
出来る事ならこの目で見たかった。
ぐぐぐっと、指に力が入って。
エルダスの髪はぐしゃぐしゃと立ち上がる。
想像上の尻尾は、ふっふっふっといつもより激しく振り回された。
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