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家族になりますね

3 共同戦線、押され気味

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もともとファンドール家にホワルーを持ち込んだのは、ナルディルの山奥にいたガルゼだ。
ノウハウも分かっているから手配も早い。

鳩舎も作って、スタッフも決めた。
そして卵は孵化を待って、暖炉の脇で眠っている。


「この崖の土質って、どう?」

ジオラマを指でつつきながらキリルが聞く。

「ああ、いける。手配した。」

手配済みの返事ににっこりするのに、ほっと安堵する。

今は待機場や避難所を、絶賛整備中だ。
アルベルトはキリルのスピーディーさに負けないように日々頑張っている。
『まだやってないの?』という蔑んだ目にはならないように、絶賛大車輪の仕事中だった。

キリルはシャキシャキと手を打ってくる。

有能さはとても心強いけれど。
仲間を見る目なのが心地よいけれど。

一滴もLoveという色が混じって無いことに、ちょっともやっとする。

ルーアの前限定という但し書きが付いているけれど。
ちゅう♡したり、されたりしている最近ですが。
演技派なキリルはルーアの前で、可愛く甘えて抱きついてくるのに。いなくなった途端に塩の塊となって、すん。と、お疲れ様。となる。

~~今朝だって…。


キリルが膝を折ってジオラマを覗き込んでいる。
手でぎゅっと掴めそうな腰だ。
鈍色の髪は緩く纏めて編まれて前に流れている。
おかげで白い首が覗いていた。

無防備な背中は小さくて。
片手で抱き込んでもまだ余裕があったな。
手が感触を思い出してムズムズする。
あぁ、あの腰を抱えたんだ…。

ぼんやりと今朝を思い出す。



「おきゃえりなしゃい‼︎」

ゴム毬のように跳ねたルーアが、兄上の広げた腕のないに飛び込んでいく。
ルーアの弾けるような笑顔と、義姉上の蕩ける笑顔を思い出して。

あ、ソレいいなぁ。
と、思った。

だからアルベルトは、出迎えたルーアに、
「ただいまぁ!」と、満面の笑みで両腕を広げて、腰を屈めてウェルカムしたのだ。

ルーアはでっかい目を見開いて。
ちょっと口を開けてフリーズしてから、もじもじした。
"行きたいのに行けません"
そんな心が読めるような真っ赤な頬ともじもじで。
アルベルトと目が合うと、キリルの脚の後ろに逃げ込んだ。
それでも気になって脚の背後から覗き見ている。

いや、俺。
思いっきり挙動不審だし。

広げた腕をどう始末していいか分からず。
脚の持ち主へと目を移した。

キリルの菫色は、微笑ましい♡とルーアに落ちている。
……ちりっと、何処が燃えた気がした。
キリルがこちらを向く。

目と目がぶつかった。

『なんとかして下さいよ!』
この膠着をどうにかしてくれ!
アイコンタクトでそう訴える。
ルーアが飛びつきたいのは見え見えだ。

『了解‼︎』菫色が返事する。
そう、互いに目指すのはルーアの安心安全な甘々生活だ。

キリルはにっこりと笑った。


「おっかえり、なさぁいっ♡」

甘さを含んだ声で叫ぶ。(演技派なので)
そしてそのまま両腕を翼のように広げると、ルーアを取り残して飛び込んで来た。

まるで鳥だ。
本当に翼の様に、光の羽根がふわりと舞う(様に見えた)そして天使と言われた笑顔のままで、こっちに駆けてくる。

なんか後光がみえて。
アルベルトの心はふわっとした。


キリルは、本当に飛び込んで来た。
義姉上の様に抱き付くのではなく。
本当に飛び込んで来たのだ。
アルベルトという木に停まる蝉のように、両腕と両脚を広げて、アルベルトの胴体にがっと飛び付いた。

う”ひっ‼︎

飛び付かれた衝撃で、ぐひっと息を吐き出して。
飛び付いたキリルが落ちないように、尻を。
そう、尻を。
片手で固定する。

落ちないようにだ!
咄嗟だから、下心は無い‼︎
でもそのまま掌に尻っぺたをぎゅっと握ったまま。
アルベルトは固まった。

ふわりとした香りがストレートに来る。
挟まれた両脚で密着した熱が!
俺の脇腹にキリルの股間がっ!
しかも逃がさないようにがっちり挟み込んでくる。

アルベルトの頭が急激に沸騰して。
ぴーーっ‼︎ と叫びそうになった時。
キリルはくっ付いていた胸元から顔をぐるんと離して、笑顔で叫んだ。

「ルーちゃん!早くっ♡」

そしてちび天使も蝉のように飛んで来た。
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