【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら

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家族になりますね

1 べろちゅう

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ルーアは幼いながらも、父様も母様も死んでしまったのを理解していた。
立場的に、それを嘆いてばかりいてはいけないのだとわかっていた。

でも怖くて。寂しくて。
どうしていいのかわからなくて、隠れていたら。
キリル様が抱き上げてくれて、ママになってくれた。
アルベルトおじさんがパパになったそうだ。

キリルママは優しくて甘くて大好きだけど。
時々寂しくてたまらなくなる。




キリルは、ルーアが今はいない両親に自分達を重ねているのが分かってた。
アルベルトは兄弟だ。似ているだろう。
今まで必死に我慢して来た子だ。
その子を喜ばす為ならば、手を握る気も無いアルベルトだけど。
ルーアの前では「おはよう」とハグとキスをする。


その日。
いつも頬や額で済ますのに。
アルベルトがぐっと抱き締めて、唇を合わせた。
舌がねろりと上唇を舐める。

……ナニしてやがるんですか。

額にちょっと血管を浮かせたキリルは、視線でルーアを探した。

廊下の端っこからこっちを見るルーアの青空の目がキラキラしている。
~~なるほど。両親は子供の前でもべろちゅうでいちゃいちゃしてた訳ですか。
たまにはべろちゅうもするべき♡って事なのね。

ルーアの目の輝きに、キリルは即座に腹を括った。


アルベルトの舌が口蓋を撫で上げたので。
背中に腕を回して引き寄せると、こっちの舌も絡めてやった。

『‼︎⁉︎』

アルベルトの目が見開かれて。
舌が驚いてる引っ込むのを、追いかけて追い詰めて、舐め回してやる。

はっはっはぁ。
びびってやがるぜ‼︎

言っとくけどキスの場数はあんたより上だ!
(多分。当社比だけどね。)

学園では、恋の真似事を散々した。


貴族は家庭教師を家に招いて勉強する。
だいたいは領地で暮らして、冬の社交シーズンに民族大移動となる。
そして夜会だお茶会だのと社交を繰り広げて。
優良物件を手に入れるのだ。

領地で暮らしていると、親や親戚が持ってくる縁談しかない。
社交力も無く、金も無い貴族の場合。
二男三男はしょぼい縁談さえ見つからないのだ。


学園に行くのは、貧しくて教師を雇えない者。
専門的にやりたいことが有る者。(就職の為に)
そして社交を磨いて相手を探す者。だ。

さらに言うなら厄介な親族から離れて、はっちゃける者が実は大半をしめていた。


キリルは家柄も良く、天使の様に見てくれも良かった。
だから学園に行くと言い出した時、周りは仰天した。

キリルは正直、目の前で弟と護衛騎士が端同士でぶら下がる赤い糸を見る事に膿んでいた。
妬心というものを持て余していた。

知らない人間がわちゃわちゃいる学園なら。
自分と同じ様なや、父親と同じ様な糸切れがいるかもしれないと、考えた。

基本、こっちに興味の無い父親がOKを出し。
キリルはガルゼを連れて入学した。
同じ年の護衛騎士候補のディナスは自動的に入学する。だから学園という、自分とディナスしかない毎日に夢を見ていた。


キリルとアレルは双子と言われるほどに似ている。
家から離れて。
自分をアレルに被せて見ているのが身に沁みた。
そう、絶望的に身に染みた。

あわあわしているディナスに、当て付けるように付き合った。
目の前でいちゃつくカップルにイラッとして秋波を送ってやった。

澄ました顔で。
キスして、キスして、キスしてやった。
もちろんボタンは一つも外させるて無い。
そこまでしたらガルゼが怖い。


当て付けのラヴはすぐ飽きた。
まぁ、思春期の迷い。とか、
若気の至り。って奴かな。

そんな訳でキスの回数と人数は、多分、きっと僕の方が上だ。


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