8 / 59
いきなり辺境
6 進展してるよね
しおりを挟む
ティーカップをテーブルに置くのを見計らって。
「では城へ御案内させて頂きます」
と、エルダスが礼をした。
キリルはまるで重力が無いようにすっと立つ。
ぶれない軸を見て、あちこちから簡単の声が上がる
重力が無いように見せるのは貴族の作法。
そしてぶれない軸は脳筋にとって戦いの基本。
そうだよ弱々のアニマだって、貴族社会でおほほと戦っているのだ。
舐めんなよ‼︎と、かましてみたのさ。
アルベルトがすっと手を差し出すので、にっこりと手を乗せた。
うん。
コレは契約しまっせ!の確認事項。
好敵手もしくはパートナーと認められたようだ。
宿の人も街の人も、目玉落ちちゃうよ。って感じに見開いている。
キリルはとっておきの微笑みを惜しげもなく振り撒いた。
状況を見て、瞬時に猫を被る技は熟練している。
もう達人の域だ。
いつでも"天使の様な""良い人"を演じるぞ!
正直。
見栄を張って家から出てきた。
どのツラ下げて、すごすごと帰れるんだ‼︎
って感じ。
契約万々歳♡
ぜひお願いしたい‼︎
***
この話は。
ぼっちの苦しさにもがき悲しむ青年が。
人生の山あり谷ありをかき分けて、自分の生きる指標を探していく物語である。
***
って、事だよねー☆
(ジャン ジャン ジャーン♪とBGMで)
馬車の中でキリルは考える。
あれ?そういえば後継の子供って名前はなんだろう、幾つなんだろう。
すんごく抜けてた‼︎
ったく、トイレットペーパーの銘柄よりもそっちの方が大事だろうがぁ!
何故そっちを掘り下げなかった!
…あいつら趣味が偏りすぎてる。
覚えてろよ、おまえら…
そんなサスペンス&スプラッタな思いを微塵も感じさせず、お澄まし顔でキリルは外を見る。
城。
屋敷では無い。
地方領主はどれだけ豪華でも屋敷だ。
城門がばーんとあっても、城壁に囲まれていても、地方のしがない領主の屋敷は城では無い。
ファンドール公爵家も、豊かで広大な領地だが屋敷だ。
それが城。
何代か前の王弟が辺境の守りの為に臣籍降下した上に、先代の王弟が嫁いだ。
そんな訳で今の王様とは、従兄弟とかなんかと絡まってる。
…エルダスめ。
受けたダメージのお返しに、わざとその辺をピックアップしやがったな。
城の周りは深い堀に囲まれていた。
門から雷の様な音で引き倒された橋がそこに掛かる。
馬車は巨大な門を抜けて行った。
両側の壁がとても厚い。
キリルは王宮やファンドールの屋敷を知っているが、比較にならないほど厚い。
そして高い。
コレはもう城というより要塞の様だった。
これが辺境。
有事の際には民に庭や建物を開放して、城壁を閉めて籠城するための城。
戦う城だ。
先程馬車が通りましたのは、見栄とびびらせる為の正門です。
普通に民が行き来する様な、橋のかかった通用門はけっこう御座いますからね。
抜け出して街に行くのも容易でございますよ。
と、ガルゼが囁く。
~いや、家の諜報機関とはレベルが違うその情報。
ネタ元が知りたいよ。
絶対教えちゃくれないだろうけどね。
お行儀悪く、キリルは身を乗り出した。
馬車の進む前庭はひたすら広い。
物見櫓のある塔は城壁と一体化して、翼の様に広がっている。
そして木々の向こうに、ぼんやりと城が見えていた。
「では城へ御案内させて頂きます」
と、エルダスが礼をした。
キリルはまるで重力が無いようにすっと立つ。
ぶれない軸を見て、あちこちから簡単の声が上がる
重力が無いように見せるのは貴族の作法。
そしてぶれない軸は脳筋にとって戦いの基本。
そうだよ弱々のアニマだって、貴族社会でおほほと戦っているのだ。
舐めんなよ‼︎と、かましてみたのさ。
アルベルトがすっと手を差し出すので、にっこりと手を乗せた。
うん。
コレは契約しまっせ!の確認事項。
好敵手もしくはパートナーと認められたようだ。
宿の人も街の人も、目玉落ちちゃうよ。って感じに見開いている。
キリルはとっておきの微笑みを惜しげもなく振り撒いた。
状況を見て、瞬時に猫を被る技は熟練している。
もう達人の域だ。
いつでも"天使の様な""良い人"を演じるぞ!
正直。
見栄を張って家から出てきた。
どのツラ下げて、すごすごと帰れるんだ‼︎
って感じ。
契約万々歳♡
ぜひお願いしたい‼︎
***
この話は。
ぼっちの苦しさにもがき悲しむ青年が。
人生の山あり谷ありをかき分けて、自分の生きる指標を探していく物語である。
***
って、事だよねー☆
(ジャン ジャン ジャーン♪とBGMで)
馬車の中でキリルは考える。
あれ?そういえば後継の子供って名前はなんだろう、幾つなんだろう。
すんごく抜けてた‼︎
ったく、トイレットペーパーの銘柄よりもそっちの方が大事だろうがぁ!
何故そっちを掘り下げなかった!
…あいつら趣味が偏りすぎてる。
覚えてろよ、おまえら…
そんなサスペンス&スプラッタな思いを微塵も感じさせず、お澄まし顔でキリルは外を見る。
城。
屋敷では無い。
地方領主はどれだけ豪華でも屋敷だ。
城門がばーんとあっても、城壁に囲まれていても、地方のしがない領主の屋敷は城では無い。
ファンドール公爵家も、豊かで広大な領地だが屋敷だ。
それが城。
何代か前の王弟が辺境の守りの為に臣籍降下した上に、先代の王弟が嫁いだ。
そんな訳で今の王様とは、従兄弟とかなんかと絡まってる。
…エルダスめ。
受けたダメージのお返しに、わざとその辺をピックアップしやがったな。
城の周りは深い堀に囲まれていた。
門から雷の様な音で引き倒された橋がそこに掛かる。
馬車は巨大な門を抜けて行った。
両側の壁がとても厚い。
キリルは王宮やファンドールの屋敷を知っているが、比較にならないほど厚い。
そして高い。
コレはもう城というより要塞の様だった。
これが辺境。
有事の際には民に庭や建物を開放して、城壁を閉めて籠城するための城。
戦う城だ。
先程馬車が通りましたのは、見栄とびびらせる為の正門です。
普通に民が行き来する様な、橋のかかった通用門はけっこう御座いますからね。
抜け出して街に行くのも容易でございますよ。
と、ガルゼが囁く。
~いや、家の諜報機関とはレベルが違うその情報。
ネタ元が知りたいよ。
絶対教えちゃくれないだろうけどね。
お行儀悪く、キリルは身を乗り出した。
馬車の進む前庭はひたすら広い。
物見櫓のある塔は城壁と一体化して、翼の様に広がっている。
そして木々の向こうに、ぼんやりと城が見えていた。
284
お気に入りに追加
589
あなたにおすすめの小説
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
王子様から逃げられない!
白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる