恋するじゃがいもと、先輩とボケナス

たまとら

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学園生活

10 カラド(下)

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庭の片隅でルイン君が囲まれている。

シグルド様にすり寄ろうとする者は、ルイン君の自由な姿が勘に障るようだ。
不満がぐつぐつと溶岩のように煮え滾って、嫌がらせをしている。
ルイン君なら易々返り討ちをするだろうがもしもがある。
カラドは気配を殺して近寄った。

令嬢は三名。
よくみるとアルヴィン家の近くの領地の令嬢達だ。
さっすが辺境付近の領地。
直接行動に出たのか、血の気が多いな。

「シグルド様から離れないとアルヴィン家がどうなっても知りませんわよ」

おいおい、ナニ言っちゃってくれてんのぉ。血の気が多いにも程がある。

従者は人を近寄らせないようにしてる。護衛はいない。
だよねぇ、護衛は上級貴族の一握りしか連れていない。
もしいればアルヴィン家に物申す事に青くなって、引き摺っても離すだろうに

しかもしかもご丁寧に魔道具を空に浮かべている。
それがLiveの赤に点滅しているのに、カラドは目眩さえ感じた。

終わった。
あの娘達。

あの魔道具は最近流行ってる。
音や映像を映して、登録した魔道具に送ってるのだ。
高級品なら遠い領地と会話も出来る。
自分の食事や小物やワードローブを友達に見せて楽しむのに、最近人気だ。

生意気な色黒をやり込めるから見てね♡ってライブしてるんだろう。

こんな証拠を残してどうする。
馬鹿なの?
いや、身から出た錆って事だよね。

ルイン君はニッコニコでその映像コピーさせてね♡って魔道具だしてる。
おい、それ煽りだぞ。
ほら、令嬢達がきぃと震え上がった。

『貧乏なアルヴィン家がお金が欲しくてウチの領地に魔獣狩にくる』
『我が家には立派な騎士団がいるのだけれど、お情けで許してる』
『我が家でも困ったもんだと嗤ってる。』
『もっと感謝しなさいよ!』

ああ、本当に馬鹿だ。

アルヴィン家は森から出て来る魔獣から国土を護っている。
王国は農業大国だからありがたい。
森は国境に面してて、アルヴィン領以外でも接している。
王命で討伐に遠征していると聞くが…

ルイン君は赤い三つ編みの先をぴこぴこ上下させながら、ほうほうなるほどなるほどと笑顔だ。
よく見ると笑顔は綻びて、眉間がキリキリしている。
その笑顔のまま相手にペラペラと喋らせている。

~~~以外だ。

純朴なカントリーボーイだと思ってたルイン君は、中々な策略家だったようだ。しかもちょっと腹黒い。

……うん、良い。
無茶苦茶、良い。
シグルド様と並ぶには、単純な可愛い嫁では無理に決まってる。

ルイン君はそばかすを消したいと言った。
そのまま色白へと移行したら、大団円間違いなしだ。
カラドはロイド達とルインの美白計画を立ち上げる事を決意した。

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