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学園生活
9 カラド (上)
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いきなり木の陰に引っ張り込まれて
「僕、そばかすが消えるでしょうか?」とおずおず聞いたルイン君は、きゅんと保護欲をそそった。
ルイン君といえば素直で明るくて負けず嫌いなゴーイングマイウェイな子だ。
陽に焼けるのも平気で、何と言われようと色白顔面揃いの中でしれっとしてたのに、自分の色黒そばかすが気になって来たらしい。
それは私の主のシグルド様に関係あるだろうか?
木の陰に二人というシチュに、ちょっとシグルド様を伺ってしまった。
そうだ私は小心者なのだ。
この園芸部はシグルド様の実験農場として立ち上げた。
ヴィンターベルク家として土地と温室を寄付して、学園と共に魔法を農業にどう活用すれば良いか考えている。
新品種はもちろん、薬も魔道具も研究している。
だから迂闊な者や婚約狙いの者は入部出来ないようにした。
おかげで部員は少ない。
もっとも土仕事に耐えられる貴族はまずいないから、仮入部の耐久レースで脱落していく。
二年生はもっさり熊系が揃った。
どう見てもシグルド様の嫁になり得ないおかげで、色目を使って付き纏う者達が落ち着いていたが今年はルイン君が入部した。
そしてシグルド様の表情が柔らかいせいで、学園が騒ついている。
私の家はヴィンターベルク家に代々使える家令の家だ。
シグルド様と同じ年に生まれたので、専用侍従という役を頂きこの学園に学友として入った。
シグルド様は幼い頃からなんでも出来るちょっとスカした醒めたお子様だった。身内には割と抜けた素をみせるが、外での常設装備はアルカイックスマイルで『完璧超人』と呼ばれている。
そのシグルド様がルイン君にデレているのだ。
あの日、作業着長靴というファーマースタイルのルイン君が
「あ♡」とみみずを優しくつまんだ。
「大っきいなぁ。美味しい土なんだねぇ」とそばかすだらけの顔で笑った。
おうっ‼︎
貴族のお子様がみみず持っちゃうぅ!
と思うより、身を乗り出したシグルド様にすっげぇビビった。
てゆうか、その食い付きに正直引いた。
そしてその目を見て驚いた。
あぁぁっ!そっちだったかぁ‼︎
その時ようやく納得出来た。
今まで直撃して来た令嬢令息に無関心だったシグルド様。
美人も儚いのも色々揃ってた。
なのにノーリアクションだから、母上の腹の中に恋愛を置いて来たのかと思ってた。
好きなタイプがこっちだったんだ。
いや、ルイン君はとても可愛い。
そのザリガニの尻尾の様な三つ編みを揺らしてシグルド様の後を着いて歩く様は、なんかきゅんとする。
シグルド様の口元も微妙にデレている。
そんな二人はなんかむず痒くて甘酸っぱくて、あと一歩で恋になるって感じだ。
よく見ると二年生達も微笑ましげにみている。
ただルイン君は日に焼けてそばかすがある。
シグルド様から見ればとてもチャーミングだろうが、貴族社会では受け入れられない。
今の貴族社会では陽にあたらない色白がステータスなのだ。
おかげで私は魔法が使える様になった時、風を結界に育てて紫外線が透過出来ない様にする方法を叩き込まれた。
日に焼けるのは下層な平民だと差別意識さえあると聞く。
このまま二人が恋に落ちても、たかが皮一枚の色で報われないかもしれない。
幼い頃から側にいたカラドは、そんな訳で多分コレがシグルド様の初恋だろうと思った。
だからここしばらくハラハラと見守っていたのだ。
「僕、そばかすが消えるでしょうか?」とおずおず聞いたルイン君は、きゅんと保護欲をそそった。
ルイン君といえば素直で明るくて負けず嫌いなゴーイングマイウェイな子だ。
陽に焼けるのも平気で、何と言われようと色白顔面揃いの中でしれっとしてたのに、自分の色黒そばかすが気になって来たらしい。
それは私の主のシグルド様に関係あるだろうか?
木の陰に二人というシチュに、ちょっとシグルド様を伺ってしまった。
そうだ私は小心者なのだ。
この園芸部はシグルド様の実験農場として立ち上げた。
ヴィンターベルク家として土地と温室を寄付して、学園と共に魔法を農業にどう活用すれば良いか考えている。
新品種はもちろん、薬も魔道具も研究している。
だから迂闊な者や婚約狙いの者は入部出来ないようにした。
おかげで部員は少ない。
もっとも土仕事に耐えられる貴族はまずいないから、仮入部の耐久レースで脱落していく。
二年生はもっさり熊系が揃った。
どう見てもシグルド様の嫁になり得ないおかげで、色目を使って付き纏う者達が落ち着いていたが今年はルイン君が入部した。
そしてシグルド様の表情が柔らかいせいで、学園が騒ついている。
私の家はヴィンターベルク家に代々使える家令の家だ。
シグルド様と同じ年に生まれたので、専用侍従という役を頂きこの学園に学友として入った。
シグルド様は幼い頃からなんでも出来るちょっとスカした醒めたお子様だった。身内には割と抜けた素をみせるが、外での常設装備はアルカイックスマイルで『完璧超人』と呼ばれている。
そのシグルド様がルイン君にデレているのだ。
あの日、作業着長靴というファーマースタイルのルイン君が
「あ♡」とみみずを優しくつまんだ。
「大っきいなぁ。美味しい土なんだねぇ」とそばかすだらけの顔で笑った。
おうっ‼︎
貴族のお子様がみみず持っちゃうぅ!
と思うより、身を乗り出したシグルド様にすっげぇビビった。
てゆうか、その食い付きに正直引いた。
そしてその目を見て驚いた。
あぁぁっ!そっちだったかぁ‼︎
その時ようやく納得出来た。
今まで直撃して来た令嬢令息に無関心だったシグルド様。
美人も儚いのも色々揃ってた。
なのにノーリアクションだから、母上の腹の中に恋愛を置いて来たのかと思ってた。
好きなタイプがこっちだったんだ。
いや、ルイン君はとても可愛い。
そのザリガニの尻尾の様な三つ編みを揺らしてシグルド様の後を着いて歩く様は、なんかきゅんとする。
シグルド様の口元も微妙にデレている。
そんな二人はなんかむず痒くて甘酸っぱくて、あと一歩で恋になるって感じだ。
よく見ると二年生達も微笑ましげにみている。
ただルイン君は日に焼けてそばかすがある。
シグルド様から見ればとてもチャーミングだろうが、貴族社会では受け入れられない。
今の貴族社会では陽にあたらない色白がステータスなのだ。
おかげで私は魔法が使える様になった時、風を結界に育てて紫外線が透過出来ない様にする方法を叩き込まれた。
日に焼けるのは下層な平民だと差別意識さえあると聞く。
このまま二人が恋に落ちても、たかが皮一枚の色で報われないかもしれない。
幼い頃から側にいたカラドは、そんな訳で多分コレがシグルド様の初恋だろうと思った。
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