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学園生活
5 入部
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オリエンテーションが終了して、畑行ったら色の洪水だった。
やる気満々なルインは作業着に長靴でタオルを首に巻くという完璧な農民スタイルだったので、眩しさに愕然とした。
よく見ると上級生を含めた令嬢、令息がキラッキラな私服で集まっている。
しかも侍女や従者が日傘やバスケットを持って付いているので集団は膨れ上がっていた。
入部受付はこの時期だけだということで、そりゃもう目の色変えている。
そりゃシグルド先輩がいるんだもん。
お近づきになりたい人はきゃーきゃーだよね。うんうん。
従者達は遅れてきた長靴ルインをチラ見して、輪の中に入り込まれないように背を向けて壁を作っている。
「シグルド様、お飲み物はいかがですぅ」
「休憩のサンドイッチを持ってまいりましたわぁ」と黄色い声が上がる。
もう皆んなの目はギンギラギンだ。
ルインはちょっと離れた外側で、ぶぶぶとひしめくその塊は蜜蜂の熱殺蜂球みたいだと思った。
『仮入部の一週間は耐久レースなんだよ』と昨日二年生の先輩達が笑ってた。
この甲高い声への耐久かと思っていたら、そうじゃ無いのがすぐにわかった。
「部活動は自分の為の活動です。
学園の畑には機密性のある作物も有りますから、学生以外は入れません。」
顧問の先生が、お付きを全員入り口横の待機場に移動させた。
ざわざわと不満の声が上がったが、園芸部の先輩達はお付きを連れていない。
皆んなはぶつぶつと畑に向かった。
そしてすぐに悲鳴が上がった。
そりゃそうだ。普通の貴族のお子様達は土に触った事など無い。
「日に焼けますわぁ。日傘はどこぉ!」
「ぎやゃぁ~っ‼︎みみずぅ!」
「靴が汚れましたわぁ!」
「虫よっ‼︎助けてぇ!気持ち悪いぃ」
そんな阿鼻叫喚が沸き立った。
安心して下さい。風で周りを囲んで音が漏れないようにしています。
カオスの渦を眺めながら、ルインはシグルド先輩がヴィンターベルク公爵家の長子なのを知った。
「ウチの姫様、去年もここに来たけど。結局土仕事ができなくて入部できなかったんだよな」
「ウチの坊ちゃんもシグルド様を落とせって言われてるみたいでさぁ」
そんな護衛達の話をへえぇと聞いていた。
シグルド先輩目指して、畝を踏み潰しながらも頑張る生徒達。
それは日を追う事に減り続け、結局草むしりと収穫の後、残ったのはルイン一人だった。
やる気満々なルインは作業着に長靴でタオルを首に巻くという完璧な農民スタイルだったので、眩しさに愕然とした。
よく見ると上級生を含めた令嬢、令息がキラッキラな私服で集まっている。
しかも侍女や従者が日傘やバスケットを持って付いているので集団は膨れ上がっていた。
入部受付はこの時期だけだということで、そりゃもう目の色変えている。
そりゃシグルド先輩がいるんだもん。
お近づきになりたい人はきゃーきゃーだよね。うんうん。
従者達は遅れてきた長靴ルインをチラ見して、輪の中に入り込まれないように背を向けて壁を作っている。
「シグルド様、お飲み物はいかがですぅ」
「休憩のサンドイッチを持ってまいりましたわぁ」と黄色い声が上がる。
もう皆んなの目はギンギラギンだ。
ルインはちょっと離れた外側で、ぶぶぶとひしめくその塊は蜜蜂の熱殺蜂球みたいだと思った。
『仮入部の一週間は耐久レースなんだよ』と昨日二年生の先輩達が笑ってた。
この甲高い声への耐久かと思っていたら、そうじゃ無いのがすぐにわかった。
「部活動は自分の為の活動です。
学園の畑には機密性のある作物も有りますから、学生以外は入れません。」
顧問の先生が、お付きを全員入り口横の待機場に移動させた。
ざわざわと不満の声が上がったが、園芸部の先輩達はお付きを連れていない。
皆んなはぶつぶつと畑に向かった。
そしてすぐに悲鳴が上がった。
そりゃそうだ。普通の貴族のお子様達は土に触った事など無い。
「日に焼けますわぁ。日傘はどこぉ!」
「ぎやゃぁ~っ‼︎みみずぅ!」
「靴が汚れましたわぁ!」
「虫よっ‼︎助けてぇ!気持ち悪いぃ」
そんな阿鼻叫喚が沸き立った。
安心して下さい。風で周りを囲んで音が漏れないようにしています。
カオスの渦を眺めながら、ルインはシグルド先輩がヴィンターベルク公爵家の長子なのを知った。
「ウチの姫様、去年もここに来たけど。結局土仕事ができなくて入部できなかったんだよな」
「ウチの坊ちゃんもシグルド様を落とせって言われてるみたいでさぁ」
そんな護衛達の話をへえぇと聞いていた。
シグルド先輩目指して、畝を踏み潰しながらも頑張る生徒達。
それは日を追う事に減り続け、結局草むしりと収穫の後、残ったのはルイン一人だった。
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