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工房の親方衆 ガラス
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親方のミロスは苛立っていた。
ザイロから提示されたのは、百合と斎王と翼竜という、美しく繊細なデザインだった。
一目見た途端、飾られた大広場が浮かんだ。
いや、神殿の窓すら浮かんだ。
色が頭の中をぐるぐる回る。
これをステンドグラスにしたい。
軽い銅のハンダより、これなら鉛桟だ。
見るものから言葉を奪い、圧倒させる美しいモノが、もう頭の中に浮かんでいる。
これは一世一代のモノになる。
自分の名前が後世に残るモノになる。
そう確信するのに充分な物だった。
……なのに。
あの、魔法相の第三部隊。
王国の防衛を担ってるとか大口を叩いて、いつも人を見下しているアイツら。
奴らがクソ面倒くさいガラス瓶をつくれと言う。
しかも、ああだこうだといろいろ注文をつけてくる。
その上、以前割れたのは、おまえのせいだと言ってきた!
バカを言え!
私はいい加減な仕事をしない。
言われた瓶は、完璧に仕上げた。
おまえ達の扱い方が悪かったんだ。
だいたい、アレで何をしてるんだ。
いつも見張りを置いて、こそこそしてやがる。
腐った匂いをぷんぷんさせて、中に籠ってやがる。
薄気味悪くてしょうがない。
おかげで、隣あったウチの工房に、人が居付かない。
せっかくの見習いも、薄気味悪くて辞めていく。
今度来たぼうっとした金髪の奴も、いったいいつまで持つか…。
とりあえず、怒鳴って仕事を教え込む。
早く使い物になってくれ。
俺はあのステンドグラスが作りたい。
夢のようなあの美しいモノを作りたい。
それを見上げて、斎王が、人々が称賛するのが待ち遠しい。
ザイロから提示されたのは、百合と斎王と翼竜という、美しく繊細なデザインだった。
一目見た途端、飾られた大広場が浮かんだ。
いや、神殿の窓すら浮かんだ。
色が頭の中をぐるぐる回る。
これをステンドグラスにしたい。
軽い銅のハンダより、これなら鉛桟だ。
見るものから言葉を奪い、圧倒させる美しいモノが、もう頭の中に浮かんでいる。
これは一世一代のモノになる。
自分の名前が後世に残るモノになる。
そう確信するのに充分な物だった。
……なのに。
あの、魔法相の第三部隊。
王国の防衛を担ってるとか大口を叩いて、いつも人を見下しているアイツら。
奴らがクソ面倒くさいガラス瓶をつくれと言う。
しかも、ああだこうだといろいろ注文をつけてくる。
その上、以前割れたのは、おまえのせいだと言ってきた!
バカを言え!
私はいい加減な仕事をしない。
言われた瓶は、完璧に仕上げた。
おまえ達の扱い方が悪かったんだ。
だいたい、アレで何をしてるんだ。
いつも見張りを置いて、こそこそしてやがる。
腐った匂いをぷんぷんさせて、中に籠ってやがる。
薄気味悪くてしょうがない。
おかげで、隣あったウチの工房に、人が居付かない。
せっかくの見習いも、薄気味悪くて辞めていく。
今度来たぼうっとした金髪の奴も、いったいいつまで持つか…。
とりあえず、怒鳴って仕事を教え込む。
早く使い物になってくれ。
俺はあのステンドグラスが作りたい。
夢のようなあの美しいモノを作りたい。
それを見上げて、斎王が、人々が称賛するのが待ち遠しい。
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