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結果オーライで帳尻が合う

34 金策

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奴隷商と娼館。
どちらが手っ取り早く稼げるだろうか。

借金奴隷は期日が決められる。
そう考えると安心だ。
閨の相手はしない。とか、
条件も細かく決める事が出来る。
ただ、条件を出せば出すほど。
あまり前だが、安い。

でも娼館なら。
初めの契約以外にも、チップが貰えるって聞いた。
来年の税の為にもお金が稼げた方がいい。

……僕の純潔など。
この非常時になんの価値があるっていうんだ…


ルツは悶々と悩みながら。
店の並ぶ通りをうろうろと歩いた。
どちらにもなかなか入ってみる勇気が湧かない。
自分の不甲斐なさと情けなさに泣けてくる。

がたぶるしながら店を覗っていると、声を掛けられた。
娼館の男衆から呼ばれて店主が出てくる。
糸目のふっくらした中年男は、ルツの上から下まで粘つく視線を向けた。

「ふぅん。王立学園の生徒か。いいね、その制服。平民の旦那衆が大好きな奴だ。
しかも森人かい。いいじゃないか。」

おどおどと、すぐに金が必要だというルツを遮って、ストレートに聞く。

「いくらだ?」

「金貨10枚。」

その値段を聞いて。
その男は馬鹿にした様に笑った。

「お初だということはわかった。
だがその見てくれで、なんてぇ強気な値段なんだ!せいぜい3枚がいいとこだろう」

その言葉に。
ルツは焦ったあまりに、いつもの地味フィルターのままにここに来たのを思い出した。

ここは見てくれを売り買いする所だ。
美しい者ほど高額になる。
今のルツの様にぱっとしない者は安く買い叩かれる。

ああ、路地でこの姿を元に戻してこよう。
そうしたら…


ぺこりと頭を下げて行きかけるルツを、店主は慌てて止めた。
森人は貴重だ。
しかも学園の制服を着ている。

「待て待て。訳ありなんだろう。
そうだなぁ。地味でも森人だ。客はつく。
~後、森人の血はありがたいって話じゃないか。たまに血を分けてくれるなら。すぐに金貨10枚で契約してやってもいいぜ。」

「血‼︎血を?」

「勿論、死ぬほど絞りゃしないぜ。
~~まぁ、話は店の中でしようか。すぐに金貨の用意もできしね。さぁ、」



気がつくとルツの後ろと両脇に店の男衆がいた。

「あ、あの…」

ルツは外見を元に戻す為に、ちょっとその場を外したかった。
が、身動き取れない。
壁のように人がいる。

「さぁ、店に行くよぅ!」

「いえ、ちょっと考えたいので…」

「はあ⁉︎あんたみたいな地味に金貨10枚出そうって言うのはウチくらいだぜ!」

「そうそう、勿体ぶってんじゃねぇよ‼︎」

ぐいと背中を押されて驚いて棒立ちになった。
いつのまにかぴったりと両腕を掴まれている。

「さぁ、入った!入った!」

「行くよっ!」

ずるずると人の壁に引き摺られる。

「あ…の、待ってください‼︎」

ルツの声は男衆の威勢の良い声に消されて周りに聞こえない。
逃がさない様にと掴まれた腕が痛いほどだ。

「待ってください…」

店の入り口へと押されて、ルツは必死で振りかぶった。





「おい。」

いつもの"おい"が響いた。
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