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過疎地は牧歌的では無い

27 夏休みが始まる

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大鎌が二丁!
小鎌が五丁!
しかも塩。
ライフラインの根源の塩が一俵も‼︎
さらに新改良した地下茎が太くて食べられるようになった苗が。
いつもの種とかもある。
コレをチョイスした人は、わかってる♡

ずらずら並べられた商品に、ルツは目を輝かせた
オベリオ老が結構な金額を負けてくれた。
そしてその荷をヘルシュベル伯の一行に託すために、きちんと目録をとっているのだ。


オベリオ老は、引退した行商人で薬草に興味が有ります。という体でやって来た。
もともと薬学研究科にパトロンとしての付き合いはあったようで。
アクィラ教授はルツにハーブティーを淹れさせてもてなした。

そうして話し込んで。
海千山千の商人は、何気に村のようすを聞き出していた。

薬草を多く植えていること。
でもそれは二束三文にしかならないこと。
貧しくて過疎地だということ。
魔女の薬のおかげで死亡率が低いこと。
隣の村とは交流が無いこと。
そして薬師になる為にルツが来ている事。

薬師になって。
薬草畑を作って。
村の活性化を目指している事…。


ルツの真面目で純朴そうな地味顔が老人脳にヒットしたのか。
アクィラ教授の前でオベリオ老は
『じいちゃん♡と、呼んでええんよっ‼︎』
と、迫っていた。

案内が終わった後。
アメデオにも、
『ルツちゃんを応援しますわ‼︎なんか、きな臭いやんか。ルツちゃんを護るで!』
と、宣言していた。
もう老人という括りには相応しく無い。
オベリオ老はふてぶてしい顔をしていた。

そうして、ヘルシュベル伯の一行の中に、オベリオとアメデオの手のものが紛れ込んだのは秘密だった。



夏休み。

ルツは元気にその一行を見送り。
実家に帰る(王宮だけど)ラッシュを見送り。
人の少なくなったA寮に、ただただほっこりした



そして人目が無くなったころ。
学園の裏ての森に"精霊の道"をこじ開けると、その中に滑り込んだ。

精霊の道は、偉い魔導師がナニやら行う転移とはまた別だ。
AとBを繋いで道を作る。
それが短距離で直線になるだけだ。

転移はAとBを重ねて同じ点にする。
だから時間をかけずに移動できる。

精霊の道は結局AからBまで歩く。
近くはなる。
時間も少しにはなる。
でも、やはりその中で歩くので結構かかる。

そうして、村のはずれの木こり小屋の近くの森へと抜け出した。
もちろん、見かけは戻っている。

直ぐに黄色っぽくぼんやりとした魔法を纏った。
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