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ルツ、頑張る
11 A寮の生活
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さすが上級貴族用のA寮。
さすが王子の部屋。
ルツは肩掛けカバンに自分の私物を突っ込んでアメデオ様について行った。
万が一試用期間でサヨナラしてもなんとかなるように、元のD寮の部屋は抑えてもらっている。
A寮は入り口からしてゴージャスで、エレベーターまであった。
そこの最上階の八階に部屋がある。
「右手の2号室は私の部屋だから。
困ったことがあったらいつでもノックしてね」
そういやアメデオ様も上級のお貴族様だった。
部屋はデカかった。
応接室あり、居間あり。
バスタブなんか猫足だし、ついでと言うなら小さな台所があって、なんとオーブンまで付いている。
ルツの控えの間は、ベッドの横にテーブルもソファも、書棚に執務机もある程にでっかかった。
これだけでD寮の部屋の倍はある。
いや、ハウスキーパーさんがいて良かった。
こんな高級品を自分で毎日掃除するなら泣くわ‼︎
と、いう顔色をどう読んだのか、
「客人は二階のグランドフロアやゲストルームを使うから心配しないでね。」
とアメデオ様がおっしゃるので、
とりあえず。「良かったです」
と、答えておいた。
……わかって無いけど。
今までぼーっと見ていた制服にも手間をかけないといけないのがわかった。
クリーニングから帰って来ても、朝はシャツの襟に火熨斗を当ててピンとさせ、ズボンにもきっちり折り目を立てて、靴にはテカリがあるように。
そして胸ポケットにチーフ。
授業の為の教科書や筆記道具も揃えておく…と
僕、薬学で良かった。
同じ授業なら、鞄持ちになってたよねー
僕のワードローブには、すでに四着ほど服が入っていた。
何故かサイズがドンピシャで。
ちょっとアメデオ様に引いたのは内緒だ。
そんな訳でA寮の生活が始まった。
まず、ラッシュ様の帰宅をお待ちする。
おかえりなさいませ。
で、ラッシュ様が脱ぎ散らかした(自分で脱げた!感涙‼︎)制服を拾ってブラシをかけて仕まう。
用意しておいた部屋着に着替えられる。
(どうも意地でも僕に着替えさせないつもりみたい。ありがたいけどね。)
その間に沸かしてたお湯でお茶を入れてお出しする。
ラッシュ様、眉間の皺が深い。
口がへの字のままだ。
気に入りませんを前面に出してるが、気にしません。
ティーカップを持ち上げて香りを嗅ぐと、ふうっと縦皺が消えた。
多分、第一関門突破な感じ?
さすが初日。
そのまま会話も無く。
僕はどう立ち位置を取ったらいいのか分からず。
呼ばれたら来ればいいのか。
部屋の隅で待機しているのか。
身の振り方をどうしたらいいかわからないのでとりあえず部屋の隅に立っていた。
やがて部屋がトントンとノックされ、食堂のワゴンが押されてきた。
見ればカトラリーがずらりと並んで光っている。
やばい。わけわかんない。
「申し訳ありません。僕は作法も手順もわからないので、並べ方を教えて下さい。」
ワゴンを押す人に頭を下げると、その人はびっくりした様に目を上げた。
「おい。」
不機嫌そうなラッシュ様が唸る。
「なんでそいつに頼む。俺に頭を下げるのが筋だろうがぁ」
そんなラッシュ様に頭を下げる。
「申し訳ありません。教えて下さい。」
頭なんかいくら下げてもタダだしね。
ラッシュ様はフン‼︎と息を吐いて、カテラリーの並べ方を教えてくれた。
やってもらうだけだから、知らないと思ってたんだよね。
いや、田舎ではフォークとスプーン一本づつで食事してたし。
一度で覚える自信が無いので、アメデオ様に講習をしてもらおう。
さすが王子の部屋。
ルツは肩掛けカバンに自分の私物を突っ込んでアメデオ様について行った。
万が一試用期間でサヨナラしてもなんとかなるように、元のD寮の部屋は抑えてもらっている。
A寮は入り口からしてゴージャスで、エレベーターまであった。
そこの最上階の八階に部屋がある。
「右手の2号室は私の部屋だから。
困ったことがあったらいつでもノックしてね」
そういやアメデオ様も上級のお貴族様だった。
部屋はデカかった。
応接室あり、居間あり。
バスタブなんか猫足だし、ついでと言うなら小さな台所があって、なんとオーブンまで付いている。
ルツの控えの間は、ベッドの横にテーブルもソファも、書棚に執務机もある程にでっかかった。
これだけでD寮の部屋の倍はある。
いや、ハウスキーパーさんがいて良かった。
こんな高級品を自分で毎日掃除するなら泣くわ‼︎
と、いう顔色をどう読んだのか、
「客人は二階のグランドフロアやゲストルームを使うから心配しないでね。」
とアメデオ様がおっしゃるので、
とりあえず。「良かったです」
と、答えておいた。
……わかって無いけど。
今までぼーっと見ていた制服にも手間をかけないといけないのがわかった。
クリーニングから帰って来ても、朝はシャツの襟に火熨斗を当ててピンとさせ、ズボンにもきっちり折り目を立てて、靴にはテカリがあるように。
そして胸ポケットにチーフ。
授業の為の教科書や筆記道具も揃えておく…と
僕、薬学で良かった。
同じ授業なら、鞄持ちになってたよねー
僕のワードローブには、すでに四着ほど服が入っていた。
何故かサイズがドンピシャで。
ちょっとアメデオ様に引いたのは内緒だ。
そんな訳でA寮の生活が始まった。
まず、ラッシュ様の帰宅をお待ちする。
おかえりなさいませ。
で、ラッシュ様が脱ぎ散らかした(自分で脱げた!感涙‼︎)制服を拾ってブラシをかけて仕まう。
用意しておいた部屋着に着替えられる。
(どうも意地でも僕に着替えさせないつもりみたい。ありがたいけどね。)
その間に沸かしてたお湯でお茶を入れてお出しする。
ラッシュ様、眉間の皺が深い。
口がへの字のままだ。
気に入りませんを前面に出してるが、気にしません。
ティーカップを持ち上げて香りを嗅ぐと、ふうっと縦皺が消えた。
多分、第一関門突破な感じ?
さすが初日。
そのまま会話も無く。
僕はどう立ち位置を取ったらいいのか分からず。
呼ばれたら来ればいいのか。
部屋の隅で待機しているのか。
身の振り方をどうしたらいいかわからないのでとりあえず部屋の隅に立っていた。
やがて部屋がトントンとノックされ、食堂のワゴンが押されてきた。
見ればカトラリーがずらりと並んで光っている。
やばい。わけわかんない。
「申し訳ありません。僕は作法も手順もわからないので、並べ方を教えて下さい。」
ワゴンを押す人に頭を下げると、その人はびっくりした様に目を上げた。
「おい。」
不機嫌そうなラッシュ様が唸る。
「なんでそいつに頼む。俺に頭を下げるのが筋だろうがぁ」
そんなラッシュ様に頭を下げる。
「申し訳ありません。教えて下さい。」
頭なんかいくら下げてもタダだしね。
ラッシュ様はフン‼︎と息を吐いて、カテラリーの並べ方を教えてくれた。
やってもらうだけだから、知らないと思ってたんだよね。
いや、田舎ではフォークとスプーン一本づつで食事してたし。
一度で覚える自信が無いので、アメデオ様に講習をしてもらおう。
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