なぜか側妃に就職しました。これは永久就職じゃございません。

たまとら

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そしてリターンする?

72 修行。実験て感じ?

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ダークブラウンの髪が流れとなって、薄桃色に染まったうなじを覗かせている。
二手に分かれたその流れは、さらに鎖骨からシーツへと滝を作るものと、レースの様に繊細な小川となって背中を滑るものになる。

ジュノがぎゅっとシーツを握ると、肩甲骨が浮き出てきた。
~~なんて綺麗なんだろう。
この、背中で対になっている三角の骨は…
きっと人間は昔、天使だったに違いない。
これは天使の翼が抜け落ちた痕なんだ…

でろりと舌でなぞると、
くすぐったいよぉ。
と、ジュノが笑った。

浮きでる骨の周りを甘噛み混じりにしゃぶる。
髪の小川が笑いに揺れて、ふぁさふぁさと流れを変えていく。

ああ、ジュノ。
この脇腹に手を這わせた肋骨の当たり具合も。
すっと真っ直ぐに飾られている背骨のあとも。
みんな、みんな愛しくてたまらない。

もっと笑って。
もっと抱きついて。
ちょっと拗ねたその頬をうみゅっと潰してやりたい…



何処かねっとりと甘く、嗅いだことのない匂いの中で、アドルはジュノを求めていた。

手が人の体温に触れる。

見つけた喜びでぎゅっと抱き込む。
自分の腕にすっぽり収まるその愛しさで、すんすんと匂いを嗅ぐ。
~甘くスパイシーな香りがする。

抱きしめた体を撫でさする。
裸だ。

受け入れようと待っている!

喜びが股間を硬くして、熱が全身を巡った。
いつもの双丘をぐっと掴む。
まだ硬い果物のように丸いそれを、手のひらで回すように揉みながら指をひらひらと優しく動かす。


~~あれ?
艶やかで、滑らかで。

~~なんだろう?
何かが違う。

ジュノ、どうしたんだ。
いつもと違う。

ジュノ、匂いも手触りも。
いつもと違う。


「…ジュノ‼︎」

叫んだ途端に目が覚めた。

腕の中の体をじっと見る。
ダークブラウンの髪の男の娘が、グリーンアイを見開いていた。

「だっ!誰だっ‼︎」

寝起きの頭は死んでいる。
何がなんだかわからない。



「成る程、こう言う事なのか。」

「はい。そう言う事ですよ。」

「夜会でナニやらぶち上げていたそうだが。
 成る程…」

うん。
成る程としか言えないね。


寝起きで抱えていた者が見知らぬ者であった事に、はっとアドルは飛び起きた。
さっと枕を掴んで、反り上がった股間を隠す。


「はい。終了ぉ~。」

パンパンと手を叩いて、ガーディヴ二世はベッドの中の少年を部屋から出した。

えっえっと、現状認識してないアドルが壁に張り付いたままだ。
~中心地点に枕を押し当てて。

礼をして去っていく裸の少年を呆然と見送ったあと、アドルはソファにすわる二人に目を止めた。
そう、ヤルターシとガーディヴ二世が居る。
少年と入れ替わりに侍従達がカートを押して入ってきて、テーブルにお茶と軽食が饗されていく。

ひっぺがしたシーツをトガのように巻き付けて、アドルもソファに座る。
ちょっとおどおどと見上げてくるので、

「大丈夫。未使用です。」

と、ヤルターシは保証してやった。

「チッ。甘いな。しばらく浮気者だと弄って楽しめばいいのに。」

馬鹿を言え。
そんなことしたら、ただただ、面倒なんだよ。


ガーディヴ二世は、学園に留学していたから顔馴染みだ。
ちょっと(媚薬的な?)も、ジュノじゃないとわかっちゃうかと言う可愛い実験というか、かけをしちゃったわけで。

本当は王家にはお年頃の従姉妹なんかいたりしたんだけど、まあ、平和的外交の為に

「うん、邪魔はしないよ。馬に蹴られちゃうし。」

と、落ち着いた。
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