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58 王子のいない夜
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アドル王子は出向している。
以前、ダムの決壊が懸念されてたグラナード領。
豪雨が止んで、無事にダムは守られたけど。
いろいろ被害があって、領主は国に緊急支援を要請していた。
食料も医療も建材も。
無事に送って復興している。
でも、弱った人を狙って賊が現れた。
自警団と領の騎士団とでソレを捕縛した。
そういう報告は数日前に執務室に届いていた。
が、その賊の頭は王都から指名手配されていた者だったらしい。
引き渡しの際に、復興への労いと激励を王子自らと言う話に決まり。
大急ぎで旅立ったという。
「置いてかれちゃいましたねぇ。」
寂しげにヤルターシ様が呟いた。
ああ、王子の護衛の騎士団員だし。
うまうまと取り込もうとしている宰相の執務室の面々は、同情している顔で内心ウッヒッヒだ。
「グラナード領なら、行って、囚人を護送して帰るとちょうど一週間って感じですね。」
一週間。
王子のいない一週間か。
ジュノはふぅと息を吐いたり
後宮の中で王子の気配がないなんて。
気を遣ってる侍従ちゃん達にも、執務室の先輩達にも、元気に返事をするけれど…。
なんか、落ち着かない。
ひょっとして帰ってきた時、俺がわからなかったらどうしよう。
おまえなんか知らないって言われたらどうしよう。
~~考えたらどんどん怖くなって、ジュノは眠れなくなってきた。
布団の中ですんすんと匂いを嗅ぐ。
あたりまえだが、王子の匂いはしない。
出来る侍従さんは、毎日シーツもカバーも取り替えてお掃除してくれるから、お日様と爽やかなアロマの香りしかしない。
それは心地よいけれど、何か足りない気がする。
ゆっくり眠りに誘ってくれるものが、足りない気がする。
落ち着かなくてひりひりする。
王子は甘い声で好きだと言ってくれる。
王子はぐっと抱き締めてくれる。
王子は……
うつらうつら考えているうちに火照ってきた。
ああ、ここも…
布団の中で乳首に触れる。
恐る恐る触ってみたけれど、物足りなくてきゅっと捻ってみた。
「んっ。」
痛い甘さがじん、と、響いてどくんどくんと広がっていく。
あぁ… 吐く域が熱くてドキドキする。
下穿きの中に手を滑らせて自身を握った。
もう、硬くなっている。
差擦って欲しい。
王子のそれと重ねて弄りたい。
「あっ、んんっ、あぁ…ん」
ゆるゆると擦っていた手の動きが早くなる。
痛いくらいに強く、かさのまわりを握って裏筋から親指でぐりぐりとなぞる。
そう、王子はこうやってた…。
ぱくぱくと空気を求めて口を開ける。
キスして欲しい。
有無を言わさず塞いで欲しい。
もっと、
もっとして欲しい。
いつのまにか腰が動いていた。
頭の中で王子が笑う。
頭の中で王子がキスする。
王子の手がなぞってくる。
「あっ!あっ!んんっ‼︎」
性感が高まり、目の前が涙で霞んでいく。
そのうちに大きく反り上がると、白濁を吐き出した。
はぁはぁと肩で息をするが、涙で前が滲んでいる。
のろのろと起き上がると、洗面所に向かった。
自身を掴んだ手をそのままに、のろのろとズボンを脱ぐ。
下穿きも、漏れるのを防いで掴んでいる手も、もうベトベトだ。
そおっと洗う。
生臭い匂いが水と一緒に流れていく。
証拠隠滅の為に下穿きもズボンも洗う。
何やってんのぉ…。
賢者タイムは嫌悪タイムに変わってしまった。
そうやって昂りを吐き出したにも関わらず。
気怠い気分が体を浸したにも関わらず。
なかなか眠りは訪れなかった。
以前、ダムの決壊が懸念されてたグラナード領。
豪雨が止んで、無事にダムは守られたけど。
いろいろ被害があって、領主は国に緊急支援を要請していた。
食料も医療も建材も。
無事に送って復興している。
でも、弱った人を狙って賊が現れた。
自警団と領の騎士団とでソレを捕縛した。
そういう報告は数日前に執務室に届いていた。
が、その賊の頭は王都から指名手配されていた者だったらしい。
引き渡しの際に、復興への労いと激励を王子自らと言う話に決まり。
大急ぎで旅立ったという。
「置いてかれちゃいましたねぇ。」
寂しげにヤルターシ様が呟いた。
ああ、王子の護衛の騎士団員だし。
うまうまと取り込もうとしている宰相の執務室の面々は、同情している顔で内心ウッヒッヒだ。
「グラナード領なら、行って、囚人を護送して帰るとちょうど一週間って感じですね。」
一週間。
王子のいない一週間か。
ジュノはふぅと息を吐いたり
後宮の中で王子の気配がないなんて。
気を遣ってる侍従ちゃん達にも、執務室の先輩達にも、元気に返事をするけれど…。
なんか、落ち着かない。
ひょっとして帰ってきた時、俺がわからなかったらどうしよう。
おまえなんか知らないって言われたらどうしよう。
~~考えたらどんどん怖くなって、ジュノは眠れなくなってきた。
布団の中ですんすんと匂いを嗅ぐ。
あたりまえだが、王子の匂いはしない。
出来る侍従さんは、毎日シーツもカバーも取り替えてお掃除してくれるから、お日様と爽やかなアロマの香りしかしない。
それは心地よいけれど、何か足りない気がする。
ゆっくり眠りに誘ってくれるものが、足りない気がする。
落ち着かなくてひりひりする。
王子は甘い声で好きだと言ってくれる。
王子はぐっと抱き締めてくれる。
王子は……
うつらうつら考えているうちに火照ってきた。
ああ、ここも…
布団の中で乳首に触れる。
恐る恐る触ってみたけれど、物足りなくてきゅっと捻ってみた。
「んっ。」
痛い甘さがじん、と、響いてどくんどくんと広がっていく。
あぁ… 吐く域が熱くてドキドキする。
下穿きの中に手を滑らせて自身を握った。
もう、硬くなっている。
差擦って欲しい。
王子のそれと重ねて弄りたい。
「あっ、んんっ、あぁ…ん」
ゆるゆると擦っていた手の動きが早くなる。
痛いくらいに強く、かさのまわりを握って裏筋から親指でぐりぐりとなぞる。
そう、王子はこうやってた…。
ぱくぱくと空気を求めて口を開ける。
キスして欲しい。
有無を言わさず塞いで欲しい。
もっと、
もっとして欲しい。
いつのまにか腰が動いていた。
頭の中で王子が笑う。
頭の中で王子がキスする。
王子の手がなぞってくる。
「あっ!あっ!んんっ‼︎」
性感が高まり、目の前が涙で霞んでいく。
そのうちに大きく反り上がると、白濁を吐き出した。
はぁはぁと肩で息をするが、涙で前が滲んでいる。
のろのろと起き上がると、洗面所に向かった。
自身を掴んだ手をそのままに、のろのろとズボンを脱ぐ。
下穿きも、漏れるのを防いで掴んでいる手も、もうベトベトだ。
そおっと洗う。
生臭い匂いが水と一緒に流れていく。
証拠隠滅の為に下穿きもズボンも洗う。
何やってんのぉ…。
賢者タイムは嫌悪タイムに変わってしまった。
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気怠い気分が体を浸したにも関わらず。
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