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39 食堂デート
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朝、ジュノは何故か抱き枕と化していた。
就寝時間になると王子がやって来る。
そしてうやむやの内に、習慣の様に手を繋ぐと布団に入る。
腕枕から逃れる為の攻防を繰り広げている内に、うとうとと夢の国に…。
朝方、猫のように頭を撫でられ。
たまに何処かにちゅっというリップ音がして。
慌て頭をもたげるけれど、現行犯逮捕に至っていない。
安眠妨害されていない。
という事もあって、ズルズルとソレが続いている。
いつのまにか国境の丸まった布団も無くなり、
添い寝されることへの違和感も無くなり始めている。
ついでと言うなら侍従ちゃん達の目が生暖かい。
流されるな俺‼︎
と、喝を入れても止まらない。
護衛係になったのか、通学班の班長の様にヤルターシが迎えに来る。
後宮の一階でジュノと王子が朝食を摂った後、
「じゃあ、行ってくる。」
と、王子はにこにこと朝練に行く。
側から見てると新婚さんのようだ。
…何故。
しかも遠征からの王子は、朝練も真面目に出ている。
周りからは高評価だ。
さらに王宮に勤めている者達は、日々自分の目を疑っていた。
ジュノは書類を経理部に届けて来た。
宰相閣下の執務室のある棟と、他の部署の棟は配置上は隣で距離的には近い。
しかし各々の独立性だの機密性だのと言うことで、各部署の棟の間には庭をぐるりと回る回廊がある。
回廊の周りは庭園や四阿があってとても素敵だ。
でも急ぐ時はまどろっこしくて、突っ切りたくなる。
書類を渡したので、この後はランチだ。
職員の食堂で食べ放題だ。
いそいそと四阿の横を突っ切って、庭師さんに挨拶をする。
秘技、ショートカット。
ソレには挨拶は必須だ。
そうやって声を掛けられながら歩いて行くと
「ジュノ♡」
あ、見つかった。
向こうから金色の大型犬が走ってくる。
……勿論ウソです。王子です。
訓練の後、シャワーを浴びて、髪を乾かす時間も惜しいと走って来ます。
顔に、間に合った♡のドヤが溢れています。
後ろからヤルターシ様が見えた。
けど、俺がいるのを見てふっと消えた。
なんだよー。
最後までリードを持っててくれよ。
二人きりにすんじゃ無いよー。
気まずいだろうがっ!
「これからランチかな。一緒してもいいか?」
「…ハイ。」
すっと手をとられ、エスコートされる。
もたもたしてたら、腰を引き寄せるリードになるから、まあ、まし。
~~なのか?
いつもガン混みの食堂。
時間に寄っては、自分の席を確保するのが難しいほどだ。
それが、まあ、なんと言うことでしょう。
あそこにポッカリと空間がございます!
誰も王子に近寄りません。
ジュノと王子はトレイと皿を持つ。
王子は次々と肉を載せて行く。
「あ、駄目ですよ。ちゃんとスープや野菜もとらなくちゃ。」
王子の皿に飾り切りされた野菜を載せる。
え~っと言いながら、嬉しそうだ。
かまってもらってる喜びが、ぶんぶんと放出されている。
そうして皿に盛り上げると脇にパンを置いて。
トレイを持って日当たりの良い窓際に行く。
~~もちろん、モーゼの十戒で海が割れるように人が割れていく。
陽射しのさした窓際は、王子の金髪がキラキラと映える。
ジュノを見つめる青空の中もキラキラして、美貌が何割か増している。
~~目立ってるやん。
笑顔の下で、ジュノはため息をついた。
初め、王子の出現に食堂は沸いた。
驚愕の眼差しでが一点集中してきて、せっかくの肉の味がわからなかった。
こうやって毎日、二人で表れることで、
この席が予約席になり。
見学者が向こうの壁際に増えている。
『ジュノ。王子に狙われてるってよ。』
そんなセリフがあちこちであぶくのように沸いていた、
就寝時間になると王子がやって来る。
そしてうやむやの内に、習慣の様に手を繋ぐと布団に入る。
腕枕から逃れる為の攻防を繰り広げている内に、うとうとと夢の国に…。
朝方、猫のように頭を撫でられ。
たまに何処かにちゅっというリップ音がして。
慌て頭をもたげるけれど、現行犯逮捕に至っていない。
安眠妨害されていない。
という事もあって、ズルズルとソレが続いている。
いつのまにか国境の丸まった布団も無くなり、
添い寝されることへの違和感も無くなり始めている。
ついでと言うなら侍従ちゃん達の目が生暖かい。
流されるな俺‼︎
と、喝を入れても止まらない。
護衛係になったのか、通学班の班長の様にヤルターシが迎えに来る。
後宮の一階でジュノと王子が朝食を摂った後、
「じゃあ、行ってくる。」
と、王子はにこにこと朝練に行く。
側から見てると新婚さんのようだ。
…何故。
しかも遠征からの王子は、朝練も真面目に出ている。
周りからは高評価だ。
さらに王宮に勤めている者達は、日々自分の目を疑っていた。
ジュノは書類を経理部に届けて来た。
宰相閣下の執務室のある棟と、他の部署の棟は配置上は隣で距離的には近い。
しかし各々の独立性だの機密性だのと言うことで、各部署の棟の間には庭をぐるりと回る回廊がある。
回廊の周りは庭園や四阿があってとても素敵だ。
でも急ぐ時はまどろっこしくて、突っ切りたくなる。
書類を渡したので、この後はランチだ。
職員の食堂で食べ放題だ。
いそいそと四阿の横を突っ切って、庭師さんに挨拶をする。
秘技、ショートカット。
ソレには挨拶は必須だ。
そうやって声を掛けられながら歩いて行くと
「ジュノ♡」
あ、見つかった。
向こうから金色の大型犬が走ってくる。
……勿論ウソです。王子です。
訓練の後、シャワーを浴びて、髪を乾かす時間も惜しいと走って来ます。
顔に、間に合った♡のドヤが溢れています。
後ろからヤルターシ様が見えた。
けど、俺がいるのを見てふっと消えた。
なんだよー。
最後までリードを持っててくれよ。
二人きりにすんじゃ無いよー。
気まずいだろうがっ!
「これからランチかな。一緒してもいいか?」
「…ハイ。」
すっと手をとられ、エスコートされる。
もたもたしてたら、腰を引き寄せるリードになるから、まあ、まし。
~~なのか?
いつもガン混みの食堂。
時間に寄っては、自分の席を確保するのが難しいほどだ。
それが、まあ、なんと言うことでしょう。
あそこにポッカリと空間がございます!
誰も王子に近寄りません。
ジュノと王子はトレイと皿を持つ。
王子は次々と肉を載せて行く。
「あ、駄目ですよ。ちゃんとスープや野菜もとらなくちゃ。」
王子の皿に飾り切りされた野菜を載せる。
え~っと言いながら、嬉しそうだ。
かまってもらってる喜びが、ぶんぶんと放出されている。
そうして皿に盛り上げると脇にパンを置いて。
トレイを持って日当たりの良い窓際に行く。
~~もちろん、モーゼの十戒で海が割れるように人が割れていく。
陽射しのさした窓際は、王子の金髪がキラキラと映える。
ジュノを見つめる青空の中もキラキラして、美貌が何割か増している。
~~目立ってるやん。
笑顔の下で、ジュノはため息をついた。
初め、王子の出現に食堂は沸いた。
驚愕の眼差しでが一点集中してきて、せっかくの肉の味がわからなかった。
こうやって毎日、二人で表れることで、
この席が予約席になり。
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