なぜか側妃に就職しました。これは永久就職じゃございません。

たまとら

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33 テンプレか⁉︎

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部屋の中の王子は頭に白い包帯を巻いていた。
白い布の狭間から金髪が溢れるようにはみ出している。
開け放たれた窓からの日差しで、金髪が柔らかく光っている。

薄くたなびくカーテンは目に優しい薄いグリーン。
気持ちの良い風が、少し薬っぽさと、強烈な花の香りをかき混ぜながら運んでくる。

侍従の誰かだと思っているのか、ちらともせずに本を読んでいる。
おずおずと近づくジュノは居心地悪く、ベッドに座る王子を見つめた。
水色のパジャマからちらりと見える胸元にも、包帯が見えている。

病室には、すでに届けられた見舞いの花が溢れ、まるで花園の中にベッドが浮かんでいるようだ。
ベッドと小さなヘッドテーブルだけが、花の海に浮かんだ王子の拠り所に見えた。

きっと五月蝿い見舞いが途切れなかったのだろう。
ノックに応えても、当たり前のように本を読んで顔を上げない。
そのとりつくしまのない無い感じが王子らしくて、
ああ、元気なんだな。
って、ちょっとホッとした。



ずっと無言のままの侵入者に、ちらりと視線を寄越した王子は、バッと顔を向けた。

驚いて見開かれた空色の瞳がこっちを真っ直ぐ見る。
口元がぽかんと開いて、顔全体がコッチを向いた。
一瞬、その目が眩しいものでも見るように細められた。

ああ、頬にもすり傷がある。
王子の青空色の目は、キラキラと輝きながら真っ直ぐコッチを見ている。
空というより、深い湖面に躍る光のように輝いている。


夢見るようなその目付きのまま、王子は本をばさりと落とした。
口をあんぐりと開けたまま上半を起こすと、両手を付いて身を乗り出した。


なんだろう。
その瞳に絡め取られて動けない。

王子は ほおぉっ。と、息を吐いた。
熱い。
どこか熱いその息は、ジュノの何処かにずくんと響いた。

うっとりと見上げる王子は、と尋ねた。


「君の名前を教えて下さい。」
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