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32 王子の病室
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王位継承者の負傷。
その一言で王宮は蜂の巣をつついたようになった。
日頃水面下でおとなしくしていた輩が、大事な王子を討伐遠征とは何事か!
と気炎をあげる。
そうやって王は鍛えられていくんだろう!
と、他の派閥が叫ぶ。
もう、沸いた沸いたの大騒ぎだ。
後宮にも、よくわからない貴族からの手紙が届き、ジュノは頭を抱えた。
(今までがっちり守られていたんだと実感した。もちろん宰相閣下に。)
王の御前会議に臨んだ宰相閣下は、まずにこりと微笑んだ。
~~正直に言おう。
ジュノはナニがなんだかわからなかった。
御前会議の時、宰相閣下はおろしたての真っ白な手袋をする。
まずその白い手袋が、ぐん、と始まりを告げた。
貴方方は舟に乗ったことない船頭の舟に乗れるものなのか…と。
コロネ爺さんみたいな奴らが赤くなり青くなり、怒号が飛び交う。
白い手袋は、まるでオーケストラの指揮者。
五本の指がパッとひろがる。
人差し指が天を指す。
掌を上にして、指がゆるりと流れていく。
そしてぐん!と力強く握られた。
白手袋は暑苦しいその場で蝶のように舞った。
その向こうにある宰相閣下の顔は拈華微笑だ。
凄く麗しくて。
魂をもってかれた。
終わってみると、文句を言っていた貴族が、何故か村や負傷した団員に見舞金(それもゴッソリ)を出すことに決まり。
宰相閣下に賞賛されて、もう舞い上がらんばかりに上気して胸を張っていた。
なんでやねん。
まあ、いいか。
流石です!
ジュノも拍手をしていたが、上級貴族って、やっぱ怖えーと思った。
そうこうしている内に、騎士団は凱旋した。
王都の人々は熱烈歓迎だ。
ヒョルムのリーダーの固体は、腐敗を考えて皮だけを持ち帰った。
ソレが荷馬車3台をくっつけて運ぶ程にデカい毛皮で。
その映像効果と人喰いということに、人々はものすごく沸いた。
ソレを討伐した騎士団とアドル王子への賞賛と好感度が爆上がりしたのは言うまでもない。
そして王子は入院した。
以前ジュノがいた病室だ。
ヤルターシの無事を抱きついて祝ったジュノに、見舞に行ってほしいと言う。
そりゃ、俺は王子の側妃。
当たり前じゃん。
~~なんか煮え切らない感じ?
周りが奥歯に物が挟まった感じになってる。
どんなケガ?
と聞いても、行けばわかるからとしか言われない。
不安な気持ちで。
とにかくブーケを片手に出かけていく。
なぜか侍従ちゃん達に磨かれて、気恥ずかしいくらいにおめかししている。
護衛も遠くで見守って、ひと気の無い病棟。
ノックすると、
「どうぞ。」
と、声がした。
その一言で王宮は蜂の巣をつついたようになった。
日頃水面下でおとなしくしていた輩が、大事な王子を討伐遠征とは何事か!
と気炎をあげる。
そうやって王は鍛えられていくんだろう!
と、他の派閥が叫ぶ。
もう、沸いた沸いたの大騒ぎだ。
後宮にも、よくわからない貴族からの手紙が届き、ジュノは頭を抱えた。
(今までがっちり守られていたんだと実感した。もちろん宰相閣下に。)
王の御前会議に臨んだ宰相閣下は、まずにこりと微笑んだ。
~~正直に言おう。
ジュノはナニがなんだかわからなかった。
御前会議の時、宰相閣下はおろしたての真っ白な手袋をする。
まずその白い手袋が、ぐん、と始まりを告げた。
貴方方は舟に乗ったことない船頭の舟に乗れるものなのか…と。
コロネ爺さんみたいな奴らが赤くなり青くなり、怒号が飛び交う。
白い手袋は、まるでオーケストラの指揮者。
五本の指がパッとひろがる。
人差し指が天を指す。
掌を上にして、指がゆるりと流れていく。
そしてぐん!と力強く握られた。
白手袋は暑苦しいその場で蝶のように舞った。
その向こうにある宰相閣下の顔は拈華微笑だ。
凄く麗しくて。
魂をもってかれた。
終わってみると、文句を言っていた貴族が、何故か村や負傷した団員に見舞金(それもゴッソリ)を出すことに決まり。
宰相閣下に賞賛されて、もう舞い上がらんばかりに上気して胸を張っていた。
なんでやねん。
まあ、いいか。
流石です!
ジュノも拍手をしていたが、上級貴族って、やっぱ怖えーと思った。
そうこうしている内に、騎士団は凱旋した。
王都の人々は熱烈歓迎だ。
ヒョルムのリーダーの固体は、腐敗を考えて皮だけを持ち帰った。
ソレが荷馬車3台をくっつけて運ぶ程にデカい毛皮で。
その映像効果と人喰いということに、人々はものすごく沸いた。
ソレを討伐した騎士団とアドル王子への賞賛と好感度が爆上がりしたのは言うまでもない。
そして王子は入院した。
以前ジュノがいた病室だ。
ヤルターシの無事を抱きついて祝ったジュノに、見舞に行ってほしいと言う。
そりゃ、俺は王子の側妃。
当たり前じゃん。
~~なんか煮え切らない感じ?
周りが奥歯に物が挟まった感じになってる。
どんなケガ?
と聞いても、行けばわかるからとしか言われない。
不安な気持ちで。
とにかくブーケを片手に出かけていく。
なぜか侍従ちゃん達に磨かれて、気恥ずかしいくらいにおめかししている。
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ノックすると、
「どうぞ。」
と、声がした。
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