19 / 77
19 動乱のお茶会。 上
しおりを挟む
ジュノはフェイスベールをしている。
侍従のお化粧テクで、出ている所は上手くアザが隠れている。
さらに目元に色を入れて、美人系になっている。
衣装は白い中にアドル王子の金と青の刺繍がしてあって、すんごく豪華だ。
これは超高級品!
汚してはいけない!
ジュノはビビりながら心に誓った。
お茶会は回廊から回った庭で開かれた。
主催者側は忙しい。
テーブルの配置からお菓子の選別まで、この日の為に執務室は嵐だった。
今日、この日も仕事は山積みだが、ありがたい宰相閣下の采配のもと、ジュノは借りて来た猫のようにホワンといているだけで良かった。
令嬢達の抑えの為に王妃様が補助としていらっしゃる。
初めてお目見えする王妃様に、ジュノはドキドキが止まらない。
王妃様は早めに会場に入った。
王妃様はジュノが側妃に抜擢された時、王様と外交で諸国を巡っていた。
王子の事に関しては、昔から宰相に丸投げしている。
だから報告だけだったが、全然問題は無い。
ただ、帰って来てから既に5日。
顔合わせも、ご機嫌伺いも、何のリアクションも無かった。
……これって、私、舐められてる?
嫁姑問題に発展するヤツ?
と、内心イラッとしていた。
アドルが既に後宮に足を運んだのは聞いている。
可愛い息子のお相手なんて、ちょっとジャラっても許されるわよね。
そんな感じで、礼をとるジュノに声を掛けた。
何故こんな気持ちのいい昼下がりにフェイスベールなんかつけてるの?
素顔晒す気は無いわけ?
あなた、ちょっと礼儀知らずじゃ無い?
この私にいい度胸だわっ!
と。
可愛い息子の側妃というものに、マウントとってやるわ!
という意気込みは、フェイスベールが外された時に霧散した。
青紫になった頬は、化粧でも誤魔化されない程にまだ腫れている。
誰も何も言わなくても、あの馬鹿息子の仕業で違い無くて…。
一瞬クラッとしたのをジュノが支えてくれて。
さらに申し訳なさそうに、小さくなって…。
ああ、ごめんなさい。
こんな仕事を押し付けて!
もう王妃様の目の中には、同情と慈愛しかない。
そうして二人は手を繋いだまま、
「このお茶会を乗り切りましょうね。
そして可愛い正妃を見つけましょうね!」
と、誓っていた。
侍従のお化粧テクで、出ている所は上手くアザが隠れている。
さらに目元に色を入れて、美人系になっている。
衣装は白い中にアドル王子の金と青の刺繍がしてあって、すんごく豪華だ。
これは超高級品!
汚してはいけない!
ジュノはビビりながら心に誓った。
お茶会は回廊から回った庭で開かれた。
主催者側は忙しい。
テーブルの配置からお菓子の選別まで、この日の為に執務室は嵐だった。
今日、この日も仕事は山積みだが、ありがたい宰相閣下の采配のもと、ジュノは借りて来た猫のようにホワンといているだけで良かった。
令嬢達の抑えの為に王妃様が補助としていらっしゃる。
初めてお目見えする王妃様に、ジュノはドキドキが止まらない。
王妃様は早めに会場に入った。
王妃様はジュノが側妃に抜擢された時、王様と外交で諸国を巡っていた。
王子の事に関しては、昔から宰相に丸投げしている。
だから報告だけだったが、全然問題は無い。
ただ、帰って来てから既に5日。
顔合わせも、ご機嫌伺いも、何のリアクションも無かった。
……これって、私、舐められてる?
嫁姑問題に発展するヤツ?
と、内心イラッとしていた。
アドルが既に後宮に足を運んだのは聞いている。
可愛い息子のお相手なんて、ちょっとジャラっても許されるわよね。
そんな感じで、礼をとるジュノに声を掛けた。
何故こんな気持ちのいい昼下がりにフェイスベールなんかつけてるの?
素顔晒す気は無いわけ?
あなた、ちょっと礼儀知らずじゃ無い?
この私にいい度胸だわっ!
と。
可愛い息子の側妃というものに、マウントとってやるわ!
という意気込みは、フェイスベールが外された時に霧散した。
青紫になった頬は、化粧でも誤魔化されない程にまだ腫れている。
誰も何も言わなくても、あの馬鹿息子の仕業で違い無くて…。
一瞬クラッとしたのをジュノが支えてくれて。
さらに申し訳なさそうに、小さくなって…。
ああ、ごめんなさい。
こんな仕事を押し付けて!
もう王妃様の目の中には、同情と慈愛しかない。
そうして二人は手を繋いだまま、
「このお茶会を乗り切りましょうね。
そして可愛い正妃を見つけましょうね!」
と、誓っていた。
28
お気に入りに追加
1,770
あなたにおすすめの小説

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。


転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話
鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。
この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。
俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。
我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。
そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる