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19 動乱のお茶会。 上
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ジュノはフェイスベールをしている。
侍従のお化粧テクで、出ている所は上手くアザが隠れている。
さらに目元に色を入れて、美人系になっている。
衣装は白い中にアドル王子の金と青の刺繍がしてあって、すんごく豪華だ。
これは超高級品!
汚してはいけない!
ジュノはビビりながら心に誓った。
お茶会は回廊から回った庭で開かれた。
主催者側は忙しい。
テーブルの配置からお菓子の選別まで、この日の為に執務室は嵐だった。
今日、この日も仕事は山積みだが、ありがたい宰相閣下の采配のもと、ジュノは借りて来た猫のようにホワンといているだけで良かった。
令嬢達の抑えの為に王妃様が補助としていらっしゃる。
初めてお目見えする王妃様に、ジュノはドキドキが止まらない。
王妃様は早めに会場に入った。
王妃様はジュノが側妃に抜擢された時、王様と外交で諸国を巡っていた。
王子の事に関しては、昔から宰相に丸投げしている。
だから報告だけだったが、全然問題は無い。
ただ、帰って来てから既に5日。
顔合わせも、ご機嫌伺いも、何のリアクションも無かった。
……これって、私、舐められてる?
嫁姑問題に発展するヤツ?
と、内心イラッとしていた。
アドルが既に後宮に足を運んだのは聞いている。
可愛い息子のお相手なんて、ちょっとジャラっても許されるわよね。
そんな感じで、礼をとるジュノに声を掛けた。
何故こんな気持ちのいい昼下がりにフェイスベールなんかつけてるの?
素顔晒す気は無いわけ?
あなた、ちょっと礼儀知らずじゃ無い?
この私にいい度胸だわっ!
と。
可愛い息子の側妃というものに、マウントとってやるわ!
という意気込みは、フェイスベールが外された時に霧散した。
青紫になった頬は、化粧でも誤魔化されない程にまだ腫れている。
誰も何も言わなくても、あの馬鹿息子の仕業で違い無くて…。
一瞬クラッとしたのをジュノが支えてくれて。
さらに申し訳なさそうに、小さくなって…。
ああ、ごめんなさい。
こんな仕事を押し付けて!
もう王妃様の目の中には、同情と慈愛しかない。
そうして二人は手を繋いだまま、
「このお茶会を乗り切りましょうね。
そして可愛い正妃を見つけましょうね!」
と、誓っていた。
侍従のお化粧テクで、出ている所は上手くアザが隠れている。
さらに目元に色を入れて、美人系になっている。
衣装は白い中にアドル王子の金と青の刺繍がしてあって、すんごく豪華だ。
これは超高級品!
汚してはいけない!
ジュノはビビりながら心に誓った。
お茶会は回廊から回った庭で開かれた。
主催者側は忙しい。
テーブルの配置からお菓子の選別まで、この日の為に執務室は嵐だった。
今日、この日も仕事は山積みだが、ありがたい宰相閣下の采配のもと、ジュノは借りて来た猫のようにホワンといているだけで良かった。
令嬢達の抑えの為に王妃様が補助としていらっしゃる。
初めてお目見えする王妃様に、ジュノはドキドキが止まらない。
王妃様は早めに会場に入った。
王妃様はジュノが側妃に抜擢された時、王様と外交で諸国を巡っていた。
王子の事に関しては、昔から宰相に丸投げしている。
だから報告だけだったが、全然問題は無い。
ただ、帰って来てから既に5日。
顔合わせも、ご機嫌伺いも、何のリアクションも無かった。
……これって、私、舐められてる?
嫁姑問題に発展するヤツ?
と、内心イラッとしていた。
アドルが既に後宮に足を運んだのは聞いている。
可愛い息子のお相手なんて、ちょっとジャラっても許されるわよね。
そんな感じで、礼をとるジュノに声を掛けた。
何故こんな気持ちのいい昼下がりにフェイスベールなんかつけてるの?
素顔晒す気は無いわけ?
あなた、ちょっと礼儀知らずじゃ無い?
この私にいい度胸だわっ!
と。
可愛い息子の側妃というものに、マウントとってやるわ!
という意気込みは、フェイスベールが外された時に霧散した。
青紫になった頬は、化粧でも誤魔化されない程にまだ腫れている。
誰も何も言わなくても、あの馬鹿息子の仕業で違い無くて…。
一瞬クラッとしたのをジュノが支えてくれて。
さらに申し訳なさそうに、小さくなって…。
ああ、ごめんなさい。
こんな仕事を押し付けて!
もう王妃様の目の中には、同情と慈愛しかない。
そうして二人は手を繋いだまま、
「このお茶会を乗り切りましょうね。
そして可愛い正妃を見つけましょうね!」
と、誓っていた。
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