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3 王子は挫折する。
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学園に入学した。
もちろん俺が王子という事は知られている。
でも学園は平等。
そんな緩い建前の中で、派閥や癒着が組み上がっていく。
もちろん俺は優秀だ。
幼い頃から家庭教師が付いて学んだ。
ちゃんと王子としての自覚があったから、結構真面目に頑張った。
学園でもトップ……の、はずだった。
忖度がなくてもトップになる実力はあるんだぞ。本当に。
でも貼り出された一位は、
ジュノ・カルナンという名前。
~~誰?
そんな奴知らない。
次の試験にも、ジュノ・カルナン。
その次もジュノ・カルナン。
ちょっとピリついたら、周りは青褪めてワタワタしていた。
ジュノは貧乏男爵家の三男だという。
お目見えも出来ない男爵じゃ、そりゃ名前も顔も知らないよな。
うん。
周りの友人にジュノについて聞いてみた。
「いやぁ。可愛いんですよねー。いつもクルクル動いてて、リスみたいな。」
これは騎士団長の息子のヤルターシだ。
「可愛いというより綺麗?本人はわかってないみたいですが人気がありますね。とにかく家が貧乏で、生活費を稼ぐ為にいつも働いてるみたいです。」
これは財務大臣の息子のラングーナだ。
「王宮に就職する為に、とにかく手を抜かずに頑張ってるみたいです。」
法務大臣の息子のナヨロだ。
~~つまり、可愛いくて綺麗で。貧乏で。
いつも働いている頑張り屋さん。…ってこと?
無茶苦茶褒められてるじゃないか。
どんな奴なんだ。
興味を持ったが、割とすぐに見る機会があった。
食堂の皿を洗ってる子に、
「ジュノ。今日は下町のバイトにでるのか?」
と、誰かが声をかけたのだ。
ぱっと上げた顔は、なるほど可愛い。
エメラルド色の目がキラキラしながら、
「行きます!二便なんで早上がりです!」
と笑っている。
その後じっと見てたら、皿を洗い終わって賄いを貰っていた。
…貧乏おそるべし。
まぁ、対岸の火事。
関わりのない奴。
そう思ってた。
ただ…一年経って情勢は変わった。
俺の心が変わった。
いつまでも、俺の名前の上にジュノ・カルナンがある。
どれだけ頑張ってもジュノ・カルナンがいる。
しだいに人の目の中に何かが入るようになった。
父上にも母上にも、家庭教師にも、俺が手を抜いていると言われた。
~~違う。
手を抜いていない。
正々堂々とやってる。
周りも"ジュノにいい就職口を渡す為に一位を譲る優しい王子"という目で見られる。
俺の中で劣等感が積み上がっていく。
しかも、ただただ真っ直ぐに進むジュノが、
『第一王子?…えっ⁉︎同じ学年にいらっしゃったんですか!』
とマジで驚くのを見て、俺の中の何かがボキッと折れた音がした。
もちろん俺が王子という事は知られている。
でも学園は平等。
そんな緩い建前の中で、派閥や癒着が組み上がっていく。
もちろん俺は優秀だ。
幼い頃から家庭教師が付いて学んだ。
ちゃんと王子としての自覚があったから、結構真面目に頑張った。
学園でもトップ……の、はずだった。
忖度がなくてもトップになる実力はあるんだぞ。本当に。
でも貼り出された一位は、
ジュノ・カルナンという名前。
~~誰?
そんな奴知らない。
次の試験にも、ジュノ・カルナン。
その次もジュノ・カルナン。
ちょっとピリついたら、周りは青褪めてワタワタしていた。
ジュノは貧乏男爵家の三男だという。
お目見えも出来ない男爵じゃ、そりゃ名前も顔も知らないよな。
うん。
周りの友人にジュノについて聞いてみた。
「いやぁ。可愛いんですよねー。いつもクルクル動いてて、リスみたいな。」
これは騎士団長の息子のヤルターシだ。
「可愛いというより綺麗?本人はわかってないみたいですが人気がありますね。とにかく家が貧乏で、生活費を稼ぐ為にいつも働いてるみたいです。」
これは財務大臣の息子のラングーナだ。
「王宮に就職する為に、とにかく手を抜かずに頑張ってるみたいです。」
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~~つまり、可愛いくて綺麗で。貧乏で。
いつも働いている頑張り屋さん。…ってこと?
無茶苦茶褒められてるじゃないか。
どんな奴なんだ。
興味を持ったが、割とすぐに見る機会があった。
食堂の皿を洗ってる子に、
「ジュノ。今日は下町のバイトにでるのか?」
と、誰かが声をかけたのだ。
ぱっと上げた顔は、なるほど可愛い。
エメラルド色の目がキラキラしながら、
「行きます!二便なんで早上がりです!」
と笑っている。
その後じっと見てたら、皿を洗い終わって賄いを貰っていた。
…貧乏おそるべし。
まぁ、対岸の火事。
関わりのない奴。
そう思ってた。
ただ…一年経って情勢は変わった。
俺の心が変わった。
いつまでも、俺の名前の上にジュノ・カルナンがある。
どれだけ頑張ってもジュノ・カルナンがいる。
しだいに人の目の中に何かが入るようになった。
父上にも母上にも、家庭教師にも、俺が手を抜いていると言われた。
~~違う。
手を抜いていない。
正々堂々とやってる。
周りも"ジュノにいい就職口を渡す為に一位を譲る優しい王子"という目で見られる。
俺の中で劣等感が積み上がっていく。
しかも、ただただ真っ直ぐに進むジュノが、
『第一王子?…えっ⁉︎同じ学年にいらっしゃったんですか!』
とマジで驚くのを見て、俺の中の何かがボキッと折れた音がした。
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