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リラクの進む道

6 シーシャは籠る

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好き。
リラクの言葉が耳に残る。
それが胸を震わせて、抽挿を急かして止められない。

掴んだ腰に自分の指跡が痣になって散っている。
深く抉ると反り上がる身体を捕まえる為だ。

リラクの身体は敏感で、マナを流すと反り上がる。
唾液も精液もねっとりとマナを含んで、リラクの内で広がっていく。


今まで、いつだって、マナを流すと相手は我を忘れた。
自分の内で他人の異物が拡がるのが、たえようもなく良いらしい。
第二王子だって絶頂のままに気を失っていた。

リラクとは、酔いに任せて関係を持った。
マナを吹き込むだけでなく、セックスまでしてしまった。

「好き」

きっとリラクも他の者達のように、マナの動く快感に溺れて好きだと思い込んでいるんだろう。
好きは勘違いだよ、と思う。教えてあげたい。
教えたい。憐れだ。そんな罪悪感がしんしんと積もるけど。
リラクを抱くのを止められない。

マナを巡らせて混ぜ込むと、溶け合う。
やがて流したマナはこっちにも帰ってきて、やはり強烈な快感が湧き上がる。

それが。
リラクにかき回されたマナは甘いのだ。
マナ同士にも相性があるようだ。

その人の絶望や焦燥や欲望の混ざった物は、土にめり込む程に重くて吐き気がするほどに不味い。
そんなものを胸焼けに耐えながら魔道具に流していく。
魔道具はそのマナが澄んだものか澱んだものかを選別しない。
ただ魔力として受け取ってくれる。

そんな訳で俺は他人との交流は大嫌いだ。
他人の妬みも嫉みも憧れも幻想も、これっぽっちも欲しくない。

だがリラクは、なんだろう、透明になっていく。
湖面に風が吹くように。
日向臭い干し草のように。
雨上がりの空のように。
溢れたマナが軽くて羽根がはえそうだ。
リラクのマナは甘くて、うっとりする。


「好き」

蕩けた目でリラクが見上げる。
エメラルドの目がキラキラと俺に好きと囁く。

だめだよ、リラク。
信じちゃダメだ。

マナを交流する時に沸く『好き』という言葉の
なんて嘘まみれで、妄想で、思い込みに満ちた物なのか。
ペラペラで風に飛ばされるそれは、口先で息をするように簡単に交わされて流されていく。

そんなものを信じちゃいけない。
そんなものに縛られてはいけない。
リラク、君はそんなものを大事にしてはいけない。

やめてくれ。
俺の心に囁かないでくれ。
そんなものを刻んだら、二度と独りで立てなくなる。

君は好きに生きればいい。

俺なんかどれだけ祀られたって、此処という保護地に縛られている絶滅危惧種の生き物なんだから。
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