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リラクの進む道

5 卒業という失恋

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好き。
白金に輝く頭を抱えて言葉を放つ。

好き。
終わって気怠げな背中にも呪文をかける。

最中の好きという単語は、喘いだ息に消されて無くなる。
自分の胸の中で、ぐるぐるぐつぐつ叫んでいるのに
好きの単語は届いてはいない。
僕の声にシーシャ様は何も言わない。

救護院の離れで患者様の令息が
「好きです」と告白したら、綺麗な笑顔を見せた。
「ありがとう、嬉しいよ。」と答えた。
コレはお約束。
そのまま「貴方を本当に想ってくださる方と幸せになってね」と、続くのだ。

営業用の笑顔が無いだけと思うのか。
営業でも「好き」を受けてもらえて羨ましいと思うのか。
僕の好きは、空の上の風のように木の葉を揺らすこともなく消えていく。

僕の好きは、シーシャ様の耳に入らない。



寝そべったシーシャの上に跨ったまま、リラクは腰を振っていた。
ぐるぐると噴き上がるマナは互いの物が混ざり合って、リラクの理性を吹き荒らす。
どうしようもなく乱れながらも、シーシャの言葉のままに水球を作った。

辺りには何千という銅貨代の水球が浮いている。
シーシャの髪を映した水のレンズは、陽炎のように揺れている。

くんと腰を突き出すと、中の物が奥にぶつかり腸壁に擦れて
それだけでリラクは果てそうになって喘いだ。

裏庭の一角で二人は絡んでいる。
「辺りの木々から少しずつ水を貰ってごらん」と課題を出されたのはキスを交わしている時だった。
にょろりとシーシャのマナが口の粘膜に侵入してきて、すぐに理性は溶けてしまった。
自分で跨って腰を振る。
その動きと共に、集められた水球が踊る。

ああ、好き…

喘ぎと共に湧いた音は、何処かに消えていく。

言われるままにその水球を集めて、大きな水球にしていく。
痺れる快感にのけぞって、なかなかソレは丸くならない。
揺れる心のままに、もじょもじょ震えてぐずぐずだ。
それでも頭より大きな水の塊が幾つか、ぼわんぼわんと宙で踊っていた

リラクの腰を掴んでシーシャは起き上がった。
いきなりの動きに、それはぬぐっと奥を抉り。
不安定な対面座位にリラクは背中に腕をまわした。

「よくできた」
シーシャが乳輪ごと口に含んでいる。
あの日から、互いのマナを混ぜ合わせた。
あの日から、リラクにマナの使い方を教えてきた。
造る、集める、使う、とどんな時でも使えるようになった。
出来のいい生徒だったリラクは容量もかなり増えている。

「うん。これならもう卒業だな。」

嬉しそうな声色が心を撃ち抜いた。
白くなった頭の中で、それでも身体は快楽に溺れる。

卒業。
コレは授業なんだ。
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