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リラクの進む道

2 咲き誇る

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シーシャの舌が生き物のように絡んだ。
べしゃりと唾液がまぶされて、覆うように伝っていく。
口腔が飢えたように、その熱い唾液を吸い上げていく。
焦らすようにぬめぬめと舌が蠢いて、絡んだ唾液にシーシャのマナが沁みていった。


ぱ・ぱ・ぱぱぱっ。

咲く。

開く。

乱れる。

自分の脳裏で花が暴れる。


どくどくと快感を拾い上げる血管が、あっという間に全身を巡る
爪先も、膝裏も、会陰すらも、大輪の花が火花を散らす。
その眩しさと愉悦に叫びながらリラクはシーシャにしがみついた。

かつて。
マナを流された令息も、第二王子も。
はぁはぁと喘いで嬌声を上げていた。
それを醒めた目で観ていたはずなのに。
今、リラクはその蕩ける快感を身をもって味わっていた。


シーシャのマナが巡る。
細胞の一つ一つに駆け巡る。
全身が沸き立って沸騰していく。
火花だ。それがスパークして、次々に咲く。
赤も青も金色も、とりどりに甘く咲く。

疼く。

腹の底だけじゃ無い。
指先も尻肉も肘ですら。
細胞が勝手に騒めいて甘さに酔っていく。

リラクはあっあっと仰け反りながら腰を振っていた。
早く。 早く。
もっと。 もっと。

侵入してくるシーシャのものは大きかった。
めきっという破壊音が頭の中に響く。
痛みよりも先走りで濡れたソレが腸壁をこじあけて、リラクは叫びながら達していた。
狭い腸壁に先走りが滲むたびに、じんと熱い花が咲く。
抽挿で花の跡がじんじんと巻き上がるように全身に広がる

「あっ…ああぁぁ…っ…」

身体の中に血流が巡る。
それに乗ってマナが巡る。
自分のではない熱が流れに揺れて、甘い沼へと沈んでいく。

広げられた脚の間に挿さった身体を逃がさないように、リラクは脚を絡めた。
気持ちいい。
震えて、溶けて合わさっていく。

リラクは何度も放った自分のものが力無く揺れるだけになっても、ひたすら快感に捕まったままだった。



何度か放ったことでシーシャの酔った頭は状況を悟った。
魔力酔いだ。
許容を超えて吸い上げて、ありえないくらいに酔った。

第二王子のマナは発酵していた。
マナは使わないと枯れるか澱む。
王子であるが故に使う事は殆ど無く、訓練さえしていなかった。
つまり圧倒的な量のマナは外に放たれる事なく、内でぐつぐつと泡をあげる、いわば酒のような物になっていた。
野生の猿がさるなしを木のウロに入れたものが発酵して酒に変わるように。
それは時間をかけて煮えたぎっていた。
下衆な性格のままに、安酒のようにツンと尖ったものだったが
その量はシーシャの脳を前後不覚にするには充分だった。


左肩に脚を掛けて、ひしゃげた後孔に突っ込む。
狭くてきつくて痛いくらいだが気持ちよくて止められない。
自分の放ったものが、リラクの身体に波紋のように広がっていく。
リラクのマナがそれに絡んで甘い。
たまらない。

リラクの喉が仰反る。
絡んだマナが昂らせる。
もっと。 もっとだ。

誰の邪魔も入らないようにした自室で。
シーシャは明け方まで止まれなかった。

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