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シーシャ・ヴェルバック
4 おっちゃんズ
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太い根っこが飛び出した歩き難い地面を進む。
柔らかい土の足跡を踏まないように、根っこの上を渡って行く。
リラクはこの森の地図を頭に浮かべた。
調理場で、アレコレと共に地図が貼ってあった。
それは公爵家で兄様と見た、絵の様な地図じゃ無くて
じいちゃん達が使ってた陣地を簡略化した物に似ていた。
その地図は湖の外の森の地図で、頭に叩き込んだ。
訓練がてら回ろうと思ってたら、料理人のおっちゃんに
「息抜きに山菜を採っておいで。
森は深くまで入ったら危ないから、浅く入るんだよ」
と、弁当を渡されてるんるんだ。
そして足跡を見つけて、肉‼︎肉がいる!
と、狩人になったのだ。
そんなリラクを見守る幾つかの目に、リラクは気付いていなかった。
背負子には山菜と薬草が入っている。
そして見つけた足跡に、心が向いていた。
『小型だから野菜で量増ししてミートパイかなぁ♡』
既に仕留めて解体して持ち帰って、皿に乗ってる事を考えている。
潜んだ影はそんなリラクに
"注意力散漫""訓練ならマイナスポイント"と、腹の中でメモしながらも、ウキウキした様子を微笑ましく見守っていた。
デイドから繋ぎが来た時。
使用人のおっちゃんズは息をするのも忘れるほどに驚いた。
テオロパ様のお孫ちゃんが。
可愛がってるお孫ちゃんが、逃亡者だとっ!
使用人一同、鈍らないように数年に一度は休みを貰って鍛えてもらいに聖地詣に行っていた。
訓練施設は新米騎士団員がブートキャンプのようにやってくる。
ヴェルバック家の者が出入りすれば、要らない勘繰りをされる。
だから気配を殺して過ごすことを課題にしていた。
だからリラクちゃんを可愛がる姿は見ていたが、リラクちゃんには見られていなかったはずだ。
「クソ王子‼︎タマを潰してやろうかっ!」
庭師はヘビーでダークで劇画調だ。
ある日森の中で出会ったら、死んだふりをしないと逃げられない程に怖い(顔が)。
初日にリラクがにこにこと挨拶した事で既に心は掴まれている。
(そりゃ、劇画調と言えばサリニャの特産だ)
「まぁ待て。泳がしてるって事は、何か使い道があるんだろうぜ」
そう言いながら料理人は下処理にニンニクをバンとして。
肉の筋を切っていたが
「おい。それはミンチだ!」
とジャーマはやめさせた。
「てめぇら、そうやって物騒な気を撒き散らすんじゃ無いっ!
村の人がこの気に当たったら、ただじゃ済まねえぞっ‼︎」
不満そうにほっぺたを膨らますおっさん達(可愛くない)に指示を出す。
「リラクちゃんに気取られ無い事。
静観して見守る事。がデイドからの指示だ。
いいか!可愛いからって抱っこしたり餌付けは禁止だからなっ!」
「えええっ‼︎よく出来ましたの撫で撫でや飴ちゃんくらいは良いよなっ?」
「何っ!抜け駆けかっ!」
はい‼︎
はい‼︎
おっさん達は片手をあげてアピールする。
「気分転換の為に山菜採りとかに行ってもらって、特製弁当は有りだよなっ⁉︎」
「「「「ずるいっ‼︎」」」」
従者達はその反則技に色めきたった。
「俺らだって。俺らだって。
リラクちゃんを可愛がりたいっ!」
「へん!何言ってやがる。見習いが取れたら、シーシャ様の従者になって、24時間指導できるじゃねぇかっ!」
「そうだぞっ!今ぐらい先輩に譲れ」
「この歳で先輩後輩は無いだろうがっ‼︎」
家令のジャーマは頭を抱えた。
あまりにも低俗な言い合いだ。
「いい。もう、バレなきゃいい。なんとでもしてくれ…」
言質を取ったおっちゃんズは、いきいきつやつやでキャピキャピするのだった。
柔らかい土の足跡を踏まないように、根っこの上を渡って行く。
リラクはこの森の地図を頭に浮かべた。
調理場で、アレコレと共に地図が貼ってあった。
それは公爵家で兄様と見た、絵の様な地図じゃ無くて
じいちゃん達が使ってた陣地を簡略化した物に似ていた。
その地図は湖の外の森の地図で、頭に叩き込んだ。
訓練がてら回ろうと思ってたら、料理人のおっちゃんに
「息抜きに山菜を採っておいで。
森は深くまで入ったら危ないから、浅く入るんだよ」
と、弁当を渡されてるんるんだ。
そして足跡を見つけて、肉‼︎肉がいる!
と、狩人になったのだ。
そんなリラクを見守る幾つかの目に、リラクは気付いていなかった。
背負子には山菜と薬草が入っている。
そして見つけた足跡に、心が向いていた。
『小型だから野菜で量増ししてミートパイかなぁ♡』
既に仕留めて解体して持ち帰って、皿に乗ってる事を考えている。
潜んだ影はそんなリラクに
"注意力散漫""訓練ならマイナスポイント"と、腹の中でメモしながらも、ウキウキした様子を微笑ましく見守っていた。
デイドから繋ぎが来た時。
使用人のおっちゃんズは息をするのも忘れるほどに驚いた。
テオロパ様のお孫ちゃんが。
可愛がってるお孫ちゃんが、逃亡者だとっ!
使用人一同、鈍らないように数年に一度は休みを貰って鍛えてもらいに聖地詣に行っていた。
訓練施設は新米騎士団員がブートキャンプのようにやってくる。
ヴェルバック家の者が出入りすれば、要らない勘繰りをされる。
だから気配を殺して過ごすことを課題にしていた。
だからリラクちゃんを可愛がる姿は見ていたが、リラクちゃんには見られていなかったはずだ。
「クソ王子‼︎タマを潰してやろうかっ!」
庭師はヘビーでダークで劇画調だ。
ある日森の中で出会ったら、死んだふりをしないと逃げられない程に怖い(顔が)。
初日にリラクがにこにこと挨拶した事で既に心は掴まれている。
(そりゃ、劇画調と言えばサリニャの特産だ)
「まぁ待て。泳がしてるって事は、何か使い道があるんだろうぜ」
そう言いながら料理人は下処理にニンニクをバンとして。
肉の筋を切っていたが
「おい。それはミンチだ!」
とジャーマはやめさせた。
「てめぇら、そうやって物騒な気を撒き散らすんじゃ無いっ!
村の人がこの気に当たったら、ただじゃ済まねえぞっ‼︎」
不満そうにほっぺたを膨らますおっさん達(可愛くない)に指示を出す。
「リラクちゃんに気取られ無い事。
静観して見守る事。がデイドからの指示だ。
いいか!可愛いからって抱っこしたり餌付けは禁止だからなっ!」
「えええっ‼︎よく出来ましたの撫で撫でや飴ちゃんくらいは良いよなっ?」
「何っ!抜け駆けかっ!」
はい‼︎
はい‼︎
おっさん達は片手をあげてアピールする。
「気分転換の為に山菜採りとかに行ってもらって、特製弁当は有りだよなっ⁉︎」
「「「「ずるいっ‼︎」」」」
従者達はその反則技に色めきたった。
「俺らだって。俺らだって。
リラクちゃんを可愛がりたいっ!」
「へん!何言ってやがる。見習いが取れたら、シーシャ様の従者になって、24時間指導できるじゃねぇかっ!」
「そうだぞっ!今ぐらい先輩に譲れ」
「この歳で先輩後輩は無いだろうがっ‼︎」
家令のジャーマは頭を抱えた。
あまりにも低俗な言い合いだ。
「いい。もう、バレなきゃいい。なんとでもしてくれ…」
言質を取ったおっちゃんズは、いきいきつやつやでキャピキャピするのだった。
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