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その後のリラク
6 約束の地
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リラクはすんなり受け入れられた。
意気込んでたのに、むっちゃ肩透かしな程だ。
下働き。それも頭に"見習い"という但し書きが付いているリラクは、いわゆる下級使用人で。
雇用にも雇主との面接のある上級使用人とは違うから、ぬるっと入り込めたのかも知れない。
書簡を手渡した家令のジャーマ様は、ピシッと背筋を伸ばしたお堅そうな人だったが、じいちゃんくらいの歳でじいちゃんと同じ匂いがした。
屋敷の使用人は少なかった。
しかも割とご年配ばかりで、若いリラクは歓迎された。
(多分、力仕事と賑やかしの為だろう。)
庭師と料理人の兼用の手伝いに配置された。
そりゃ風光明媚な野趣溢れる屋敷だから庭師は大事だ。
湖のマナでやたら成長してくる木と対峙する為か、庭師のおっちゃんはめちゃゴツかった。
当たり前だが何していいのかわからない。
ので無駄に走り回ってたら、周りは孫を愛でるようにみている。
リラクは自他共に認めるじいちゃん子だから、それはそれでそのポジションは嬉しかった。
教えてください‼︎ というリラクに皆ニコニコしてくれる。
そうやってなんとか仕事を覚えていった。
島には橋が三本ある。
うち一本が下働きが通る浮き橋で、リラクが通った道だ。
街道から続く正面の橋は石で出来ていて、勿論馬車もすれ違える程に大きい。
前庭や正面玄関へのストロークにつづいている。
そして裏の木で出来た橋は、荷馬車で商人が使うそうだ。
湖のおかげで、水のマナが立ち込めていてむちゃくちゃ体調が良い。
ここは"約束の地"と言われる場所で、王都より前からあったそうだ。
ジャガイモの皮剥きをしながら、料理人のおっちゃんとダベる。
時々、従者のおじちゃんも来て賑やかだ。
お館様は護衛を兼ねた従者と出掛けて今はいないそうだ。
暖炉の掃除に屋敷を回ったら、シーシャ様を見かけた。
白金の髪が緩く辺りに広がって、発光してるみたいだ。
眩しい。やっぱ美人だ。
そう言ったら、
「お館様もスゲェぜ。」
「そりゃ、宝だしなぁ。」
そう言われて、ハテナ?と なった。
正直歴史書は丸暗記で、註釈なんてじいちゃんのトコしか覚えてないし。戦争勃発の宝って、すんごい宝石?とか由緒正しい宝飾?とか思ってたけど…
なんと人でした!
大丈夫、大丈夫。人だったなんて公にしてないんだから知らなくて当たり前だよ。今時の子にはバッチリ隠してるしねぇ。と、おっちゃんズは笑った。
かつて美しい人間を神がみそめた。
その人間を嫁に出す事で、一族は王となり建国する。
それが我が国だ。
神の嫁となった人は白金に輝いて神の力を手に入れた。
人としての寿命が尽きたとき、神は約束の地を与えた。
その土地に彼は眠る。
彼の力で癒しの水が湧き出して、そこは湖となった。
『子孫がそこにいる限り見守ろう。』
その約束のおかげで国は平穏無事だ。
その子孫は宝と呼ばれ、それぞれに神の力を持っていた。
他国や傲慢な貴族から隠す為に、子孫は静かに隠遁する様になっていく。
なんでもかつては国中に一人で結界を張っていたそうだ。
~~いや。一人でって無理ゲーだわっ!
リラクはおっちゃんの言葉を止めた。
他の一般ピープルは何してたんだ?
手伝いくらいはしたのかっ!?
今は魔道具で結界が張れるから良かったぁ!
リラクの指摘に、おっちゃんは
「その通り‼︎」と拳を握った。
んで、従者のおじちゃんも
「いい子じゃあ。いい子じゃなぁ。」
と頭をがしがし撫でて、飴ちゃんをくれた。ラッキー
あの戦争は、たった一人で結界を張ってた先先代が亡くなって無防備になった国で、子供が攫われたそうだ。
それが今のお館様で、その力は治癒。
それ以来、魔道具の開発が進んだそうだけど。
遅いよっ!
攫われたお館様を救出したのは、もちろんじいちゃんだ。
リラクは誇らしさに胸が一杯になった。
じいちゃん、でかした!
じいちゃん、頑張ったね‼︎
リラクは心の中でそう連呼した。、
意気込んでたのに、むっちゃ肩透かしな程だ。
下働き。それも頭に"見習い"という但し書きが付いているリラクは、いわゆる下級使用人で。
雇用にも雇主との面接のある上級使用人とは違うから、ぬるっと入り込めたのかも知れない。
書簡を手渡した家令のジャーマ様は、ピシッと背筋を伸ばしたお堅そうな人だったが、じいちゃんくらいの歳でじいちゃんと同じ匂いがした。
屋敷の使用人は少なかった。
しかも割とご年配ばかりで、若いリラクは歓迎された。
(多分、力仕事と賑やかしの為だろう。)
庭師と料理人の兼用の手伝いに配置された。
そりゃ風光明媚な野趣溢れる屋敷だから庭師は大事だ。
湖のマナでやたら成長してくる木と対峙する為か、庭師のおっちゃんはめちゃゴツかった。
当たり前だが何していいのかわからない。
ので無駄に走り回ってたら、周りは孫を愛でるようにみている。
リラクは自他共に認めるじいちゃん子だから、それはそれでそのポジションは嬉しかった。
教えてください‼︎ というリラクに皆ニコニコしてくれる。
そうやってなんとか仕事を覚えていった。
島には橋が三本ある。
うち一本が下働きが通る浮き橋で、リラクが通った道だ。
街道から続く正面の橋は石で出来ていて、勿論馬車もすれ違える程に大きい。
前庭や正面玄関へのストロークにつづいている。
そして裏の木で出来た橋は、荷馬車で商人が使うそうだ。
湖のおかげで、水のマナが立ち込めていてむちゃくちゃ体調が良い。
ここは"約束の地"と言われる場所で、王都より前からあったそうだ。
ジャガイモの皮剥きをしながら、料理人のおっちゃんとダベる。
時々、従者のおじちゃんも来て賑やかだ。
お館様は護衛を兼ねた従者と出掛けて今はいないそうだ。
暖炉の掃除に屋敷を回ったら、シーシャ様を見かけた。
白金の髪が緩く辺りに広がって、発光してるみたいだ。
眩しい。やっぱ美人だ。
そう言ったら、
「お館様もスゲェぜ。」
「そりゃ、宝だしなぁ。」
そう言われて、ハテナ?と なった。
正直歴史書は丸暗記で、註釈なんてじいちゃんのトコしか覚えてないし。戦争勃発の宝って、すんごい宝石?とか由緒正しい宝飾?とか思ってたけど…
なんと人でした!
大丈夫、大丈夫。人だったなんて公にしてないんだから知らなくて当たり前だよ。今時の子にはバッチリ隠してるしねぇ。と、おっちゃんズは笑った。
かつて美しい人間を神がみそめた。
その人間を嫁に出す事で、一族は王となり建国する。
それが我が国だ。
神の嫁となった人は白金に輝いて神の力を手に入れた。
人としての寿命が尽きたとき、神は約束の地を与えた。
その土地に彼は眠る。
彼の力で癒しの水が湧き出して、そこは湖となった。
『子孫がそこにいる限り見守ろう。』
その約束のおかげで国は平穏無事だ。
その子孫は宝と呼ばれ、それぞれに神の力を持っていた。
他国や傲慢な貴族から隠す為に、子孫は静かに隠遁する様になっていく。
なんでもかつては国中に一人で結界を張っていたそうだ。
~~いや。一人でって無理ゲーだわっ!
リラクはおっちゃんの言葉を止めた。
他の一般ピープルは何してたんだ?
手伝いくらいはしたのかっ!?
今は魔道具で結界が張れるから良かったぁ!
リラクの指摘に、おっちゃんは
「その通り‼︎」と拳を握った。
んで、従者のおじちゃんも
「いい子じゃあ。いい子じゃなぁ。」
と頭をがしがし撫でて、飴ちゃんをくれた。ラッキー
あの戦争は、たった一人で結界を張ってた先先代が亡くなって無防備になった国で、子供が攫われたそうだ。
それが今のお館様で、その力は治癒。
それ以来、魔道具の開発が進んだそうだけど。
遅いよっ!
攫われたお館様を救出したのは、もちろんじいちゃんだ。
リラクは誇らしさに胸が一杯になった。
じいちゃん、でかした!
じいちゃん、頑張ったね‼︎
リラクは心の中でそう連呼した。、
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