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リラクの最低な日々

7 お茶会の波乱 下

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リラクは子供だ。
言っておくが、決してチビではない。
まだ発展途上なだけだ。コレからぐんと伸びるのだ。
毎日、牛乳だって飲んでいる。コレから成果が現れるのだ。
ぐんぐん育って、じいちゃんのように巨体なマッチョになるのだ。
でも今は、大柄な衛士の意識を狩るには重さが足りない。
護衛だから、一撃必殺でやらなくてはいけないのに。

リラクは靴下を持ってひゅんひゅんと回した。

リラクは田舎でこういう武器で狩をした事がある。

靴下は振り回されて、徐々に速くなっていく。
裸足のまま、リラクはそっと衛士の背後に回り込んだ。
びゅんびゅんという風切り音は、お茶会場の演奏に掻き消されている。
衛士は心を飛ばしたままで、無防備な後頭部が丸見えだ。
そのまま狙いを定めると、躊躇なく後頭部に叩き付けた。


がっ!

衛士の体が傾いて、影が流れていく間に。
四阿に飛び込んで見張り役を殴り飛ばした。
え?
と、王子が顔を上げた時には、拳が鼻にめり込んでいた。

あ、靴底です。見栄を張りました。
拳ではありません。
素手で殴ったら、自分の手にダメージが来ますし証拠が残りますから、使える物を使いますよ。

リラクは確実に闘う意志を消す為に、まず鼻を潰した。
痛さでつぶった目のままに、手刀で首筋を叩いて意識を刈った。

「デイド。」

姿は見えないがいるはずだ。
表の衛士を戦闘不能にしてくれてるはずだ。
呼ぶと、デイドは影の様に沸いて出た。
そして自分のフロットコートを脱いで、床に転がる子を包む。
そう、デイドはちら見しただけで以心伝心出来る素敵侍従なのだ。

意識の無い第二王子は、ポロ出ししたまま転がっている。
だからガーターベルトと靴下だけを残して、下着もズボンも剥ぎ取った。
そのズボンで縛り上げる。

以下同文のお仲間達が、ううっと呻くので、自分のぱんつを口に突っ込んでやった。

ざまぁ♡
どうせコレは表に出ない。
レイプしようとして、殴られて、フルチンで転がされた。
なんて、言えるわけがない。

転がるフルチン三人組に、くすっと笑いが漏れる。
少しは懲りれば良いけどね♡


振り向いて、デイドにお姫様抱っこされてる子を見た。
白金の髪が緩やかに波打ち、煙る様にほんのりと輝いている。
縹色の瞳が見開かれて真っ直ぐこっちを見ている。
銀のまつ毛に覆われた瞳は水の中みたいだ。
飲み込まれそうだ。
その目の中に自分がいた。
それも口をあんぐり開けて。

すっごい美人。

こんな綺麗な人、見たことない!
お茶会場にもいなかったよ‼︎

「大丈夫です!安全な所にお送りしますから!」

慌てて声が上擦った。
その人はこくりと頷いた。
そういえば声が出ないんだっけ。

デイドに『送って』と合図する。『僕は会場に戻るから』

気まずいだろうから名乗らず、聞かず。
無かったことにするのが一番。
デイドなら、保護者を探し出してくれるだろう。


デイドの背中を見送って。
フルチン三人組を一瞥してから靴下を履く。
逆さにしても、残った土がジャリって言うけど我慢する。
そんな訳で、軽い散歩してきましたぁの顔で会場に戻って、うふふあははを続けた。


んな出来事からほぼ一週間。
リラクはいきなり第二王子の婚約者に指名されたのだ。
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