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リラクの最低な日々

6 お茶会の波乱 中

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人がいる。
その足の隙間から、白い光がちらちらと見え隠れした。


「そのまま抑えてろよ。」

あ、さっき挨拶した第二王子の声だ。

「どうせ薬で動けないけどな。
抑えさせてやるのは俺の温情だ。
これからのおかずに手触りを思い出せ」

うっひっひ。
その卑劣な笑いにぞくりとして、リラクは身を乗り出した。

仁王立ちした足の持ち主は第二王子。
床に転がる身体の、腕を抑える黒髪の御学友。
そして光は、床の身体から拡がる白金の髪に陽が当たって輝いたものだ。

成る程。
コレの見張り役なんて、衛士としてのプライドはズタボロだよね。


「薬で声が出ないのが残念だな。
せめて涙を流すとかして、俺を楽しませろよ。」

王子が屈んで顎を掬う。
その声は愉悦に塗れていて。
耳にねっとりと絡んで鳥肌がたった。

「お前が城に来る度に、優しく声を掛けていただろう。
馬鹿だよな。俺の手をとっていれば、お前は婚約者として茶会の主人になれたのにな」

力任せにズボンを剥ぎ取る。
白いふとももが四阿を明るく照らした。
白金の髪が陽を反射しているのに。
光を集めた様な肌が、さらに眩しい。
ごくりと言う音が、その明るさを破る。

第二王子の手が上着を両手で掴むと、引きちぎるように開いた。
カランと釦が飛ぶ。

うっひっひ。と声が沸いた。

「心配すんな。俺しか犯らない。
こいつらは立ち合いだ。
犯っちまったらもう逃げられやしないぞ。
お前は俺のモノだ。」

声が甘い。
どろりと粘って甘い。

「安心しろ。楽しんだ後はちゃんと嫁にしてやる。」

毒の様に甘い言葉を吐きながら、第二王子はカチャカチャと自分のベルトを外した。
見慣れたソレが、上着の隙間からぶるんとこんにちはした。
もうソレが臨戦態勢なのに、リラクはげろげろと思った。
しかも赤黒く、結構使い込んでいる。

最低だぁ。

どんな屁理屈言ったって。
コレ、レイプだよね。

自分主催のお茶会で、何してくれてんのあんた‼︎

リラクは頭を抱えたくなった。
目立っちゃいけない。
目立ちたく無い。
だけど。
…コレを見て、見ぬふりが出来るのか自分。

ほんのちょっと考えた。
多分0.05秒くらい。

いや、無理。
ぜってぇ無理。

そんな訳でリラクは動き出した。


外の見張り役の衛士は一人。
四阿の馬鹿者は三人。
うち一人はおっ立ててる王子。
うち一人は抑えてる奴。
そして見張り役の奴。


まず靴を脱ぐ。
幸い今日は靴裏に金具を打ち込んで(多分目立つ為に。)歩く度にチャラチャラ鳴る硬い革靴だ。

そして靴下を引っ張った。
靴下は腿上までのシルクの手編みのものだ。
本来はガーターベルトで吊り下げる物だが、リラクが嫌がったのでガーター無しになった。
だから引っ張っただけでずるりと脱げる。

両方とも脱いで裸足になる。
強度を上げる為に、靴下に靴下を入れて二重にする。
さらにそこに靴を押し込んだ。
靴の中には土を詰めてある。

重い。

いける!

その靴下をぶら下げて、リラクはにんまり笑った。
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