13 / 19
王宮の攻防
4 花とレヴュト
しおりを挟む
「で、その幽霊はなんでこの花をしっていた?」
ユスフの質問に答えられない。
ソレはイースタン自身が思っている事だからだ。
「レヴュト。」
呼ぶと芝生の上をしゃしゃしゃと滑ってくる。
昼間の光の中で動いている影は異様で。
異様と思う自分が悲しかった。
そっと掌を出すと、そこに頭が擦り付けられる。
日光で暑いのに、そこにふっと涼しいものが当たる。
その動きと冷たさに、悲しみが少し増えたきがした。
「……で。そこにいるのか?」
ユスフの質問に頷く。
「レヴュト。アレがよくない物だと、知っていたのか?」
レヴュトは首を傾げた。
ウィジャボードは無い。
首を傾げたのは、たぶんわからないというポーズだろう。
「ユスフ。家で詳しく聞いてみるよ。
レヴュトは国境沿いの出身者かもしれない。」
イースタンの目が掌を見ている。
いつも人生を謳歌していた姿しか知らない。
ユスフは楽しげなイースタンしか知らない。
今、自分の掌を見ている目は痛みと悲しみが複雑に混ざった色をしていた。
ユスフにはレヴュトという影は見えてない。
イースタンが悪ふざけをしている様にしか見えない。
でもイースタンの目は辛そうで。
ユスフはとりあえず緊急目標の王太子殿下の安全を考えることにした。
専用の侍従には、新鮮な水を沸かした茶を差し上げて欲しいといってきた。
食事等は毒味係がいる。
あの水だけが原因だとはわからないが、不調の大半を占めていたと思う。
明日は他の護衛騎士とも話し合うつもりだ。
水という毒を絶ったのを知って、犯人はどう動くのだろう。
何故なら、王妃は昨日から一週間の行程で視察に出ていた。
いつもより宣伝し、王都からお練り行列を大々的にして行った。
王妃が不在なのは王都中がしっている。
つまり、この一週間は完全にアリバイがあるのだ。
毒の中心に王妃がいると、イースタン達は思っていた。
春から不調だった王太子が死亡したとしても、誰も不思議に思わないだろう。
その場にいなかった王妃を怪しむ事は無い。
さらに寝付いて口を聞くのも億劫になった王様が。
王太子の死去に衝撃を受けて儚くなったとしても。
国民は泣いて悲しんでも受け入れるだろう。
ある日吐いて。
ある日は元気で。
それを繰り返して徐々に弱って。
"殿下は病弱"という認識を広めた今。
ある日急死となっても納得するだろう。
つまり、勝負はこの一週間なのだ。
ユスフの質問に答えられない。
ソレはイースタン自身が思っている事だからだ。
「レヴュト。」
呼ぶと芝生の上をしゃしゃしゃと滑ってくる。
昼間の光の中で動いている影は異様で。
異様と思う自分が悲しかった。
そっと掌を出すと、そこに頭が擦り付けられる。
日光で暑いのに、そこにふっと涼しいものが当たる。
その動きと冷たさに、悲しみが少し増えたきがした。
「……で。そこにいるのか?」
ユスフの質問に頷く。
「レヴュト。アレがよくない物だと、知っていたのか?」
レヴュトは首を傾げた。
ウィジャボードは無い。
首を傾げたのは、たぶんわからないというポーズだろう。
「ユスフ。家で詳しく聞いてみるよ。
レヴュトは国境沿いの出身者かもしれない。」
イースタンの目が掌を見ている。
いつも人生を謳歌していた姿しか知らない。
ユスフは楽しげなイースタンしか知らない。
今、自分の掌を見ている目は痛みと悲しみが複雑に混ざった色をしていた。
ユスフにはレヴュトという影は見えてない。
イースタンが悪ふざけをしている様にしか見えない。
でもイースタンの目は辛そうで。
ユスフはとりあえず緊急目標の王太子殿下の安全を考えることにした。
専用の侍従には、新鮮な水を沸かした茶を差し上げて欲しいといってきた。
食事等は毒味係がいる。
あの水だけが原因だとはわからないが、不調の大半を占めていたと思う。
明日は他の護衛騎士とも話し合うつもりだ。
水という毒を絶ったのを知って、犯人はどう動くのだろう。
何故なら、王妃は昨日から一週間の行程で視察に出ていた。
いつもより宣伝し、王都からお練り行列を大々的にして行った。
王妃が不在なのは王都中がしっている。
つまり、この一週間は完全にアリバイがあるのだ。
毒の中心に王妃がいると、イースタン達は思っていた。
春から不調だった王太子が死亡したとしても、誰も不思議に思わないだろう。
その場にいなかった王妃を怪しむ事は無い。
さらに寝付いて口を聞くのも億劫になった王様が。
王太子の死去に衝撃を受けて儚くなったとしても。
国民は泣いて悲しんでも受け入れるだろう。
ある日吐いて。
ある日は元気で。
それを繰り返して徐々に弱って。
"殿下は病弱"という認識を広めた今。
ある日急死となっても納得するだろう。
つまり、勝負はこの一週間なのだ。
10
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
可愛い男の子が実はタチだった件について。
桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。
可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け
ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル
こじらせた処女
BL
とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。
若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
俺のソフレは最強らしい。
深川根墨
BL
極度の不眠症である主人公、照国京は誰かに添い寝をしてもらわなければ充分な睡眠を得ることができない身体だった。京は質の良い睡眠を求め、マッチングサイトで出会った女の子と添い寝フレンド契約を結び、暮らしていた。
そんなある日ソフレを失い困り果てる京だったが、ガタイの良い泥棒──ゼロが部屋に侵入してきた!
え⁉︎ 何でベランダから⁉︎ この部屋六階なんやけど⁉︎
紆余曲折あり、ゼロとソフレ関係になった京。生活力無しのゼロとの生活は意外に順調だったが、どうやらゼロには大きな秘密があるようで……。
ノンケ素直な関西弁 × 寡黙で屈強な泥棒(?)
※処女作です。拙い点が多いかと思いますが、よろしくお願いします。
※エロ少しあります……ちょびっとです。
※流血、暴力シーン有りです。お気をつけください。
2022/02/25 本編完結しました。ありがとうございました。あと番外編SS数話投稿します。
2022/03/01 完結しました。皆さんありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる