【完】俺が"しり"を愛でるようになった、その訳とその記憶とその結果について

たまとら

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"しり" というペット

1 "しり"との休日

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レヴュトはぷるぷるしながら、窓から外を見ている。
丸く盛り上がって多分柔らかそうで、弾力がありそうで。そんなたぶに、木陰越しの陽が仄かに反射している。

良いしりだ。
いわゆる桃尻だ。
本当に熟れたハートが逆さになった、桃の形をしている。

そんな形の良い尻をほのぼのと見ていたが。
そう、可愛いペットを見る飼い主の様に。
成長を見守る父親の様に、慈愛に満ちて見ていた筈が、なんか喉がカラカラになった。
尻から目が離せない。
下腹の。
ズボンの中のモノが、くいぃんと切なくぎゅっと絞られるように熱くなり、イースタンはごほんと咳払いして目を逸らした。

……何考えてんだ、俺っ⁉︎


相手は幽霊だ。
身元不明の幽霊なのだ。
しかも例え良い雰囲気になったとしても。
ぐにっと抱きつけない。
お触り不可の、鑑賞用なのだ。

いくら溜まってるとはいえ。
こんな妖物に萌してくるなど…言語道断だ!

でも、マジ溜まってる。
仕事が休みなのに、この執務室に篭って出る気が無い。
ごろごろ転がるレヴュトを見ていると飽きない。
一日中でも見てられる。
そんな訳で、娼館も酒場もご無沙汰なのだ。


……でもこんな美尻の持ち主は、どんな顔をしていたのだろう。
多分、若い。
幼い硬さは無いから、15.6は言ってる筈だ。
騎士達の筋肉でくいっと盛り上がっている感じでは無いから、鍛える職種では無いと思う。
で、頭の中で子供と武人が引かれた。

重力に負けないあの瑞々しさは、アラサーの声を聞いてはいないだろう。
だから大幅にみて18~30ってとこか。
そんなの対象人数が多すぎる….。

レヴュトはこの屋敷に現れた。
多分、どこかイースタンと接点があった筈だ。


そんな訳でイースタンは王宮の衛士の本部に、不明者の問い合わせをしている。
教育を受けた貴族が市井で不明になるのは、対外は家の事情だから探り出すのは難しい。
王宮は下働き以外は貴族の令息が勤務している。
不審者がいないように記録も完備だ。

手元のペットが身元不明というのは心の座りが悪いので、私財で頼んでいる。


レヴュトはなぜここにいたのかわからないと言う。
ふるふると困った様に揺れる影に、教えてやりたかったのが、多分一番の理由だ。
ついでと言うならレヴュトは自分が他では見えない事をわかっているが、尻丸出しなのをわかっていない。
わかってしまったら、ずしゃりと伸び上がって恥ずかしさに隠れてしまうだろう。


あわあわぶれながら。
ぷるぷる揺れながら。
レヴュトはイースタンに寄り添ってくる。

レヴュトはどんな子だったんだろう。
灯りを反射するレヴュトのぷりっ尻。
顔も声もわからない。
凝った闇が解けたような、影のような姿。
薄っすらと向こうが透けている。

幽霊ってことは、本来のレヴュトはもう死んでいるって事だよな。
覚えてなくてもそう言う事だよな。
他殺か自然死か…
それに事件性は無いのか。
記憶を無くすくらいショッキングだったのか。

痛ましさと、憐れみがやんわりと湧いてきた。
早く探してやりたい。
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