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2 "しり"の捕獲に向かう
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驚きは一瞬で覚めた。
て、言うか、頭の隅に冷静な自分が立ち上がった。
冷静に視線を飛ばす。
窓良し!
ドア良し!
……残るは、さっきしりがばたばたしていたあの窓だけだ。
ーーつまり、イースタンは出口をチェックした。
なぜなら健康優良児だったからだ。
元気な良い子は、幼いころにナニーと一緒に走り回る。
蝶を追っ掛け、蜻蛉を捕まえ。
おたまじゃくしを部屋に持ち込む。
元気な良い子は採取好きなのだ。
逃げ場は無いと踏んだ。
さっきあの窓から出られなかったしな。
イースタンはそろりと立ち上がった。
出来るだけ驚かせないように、ゆっくりだ。
びよびよと震えて壁際に固まる影。
敵意は無いよ♡という笑みを浮かべ。
そろそろと近づく。
それは(しりを向こうに向けているのでただ影でしか無い)びくりと立ち尽くし、慌てたように左右を見た。
そして逃げ場が無いと知ると、へなへなとへたり込んだ。
壁際に小さくなったそれはぷるぷる震えている。
そう、はっきり見えない影みたいだけど。
絶対座り込んでいる。
ぷるぷる揺れる感じが、すっごくすっごく怖がってるみたいで、罪悪感がぱねえ。
しりもといそれは、どうも頭を抱えてる小さくなっているようで。
髪の色も分からない。て言うか、多分頭はここだよね。しかわからないのに、怯えが伝わってくる。
そーっと手を伸ばす。
ほら、逃げたら急いで捕まえられるように。
でも虐めないよぉ。と言いたげにそーっと。
まぁ、逃亡を諦めて貰ううもりで、そーっと手を伸ばす。
丸い置物のように小さくなったそれは。
ふるふるふるふる。
手を伸ばす。 ふるふるふる。
手を伸ばす。 ふるふる。
指先が壁に届いた。
ん”ん”っ!?
イースタンの手は薄い影に突っ込まれ、そのまま後ろの壁に当たっている。
……つまり、これは、透けてる?
って、指通り抜けるって。
指通り抜けるって……
このしり馬鹿じゃねぇ‼︎
驚きのままあんぐりして。
そして慌てて手を引いた。
さっきしりは窓に挟まってバタバタしていた。
つまり、出れて無い。
つまり、出れるって事をわかっていないのだ‼︎
擦り抜けちまえば一発で外だろう!
そんな問答が頭の中で流れた。
イースタンはそっと床にあぐらをかいた。
こんなチャンス逃す手は無い。
するりと抜け出れる事を悟られちゃいけない。
でも、これ何⁉︎
幽霊なのか、妖精なのか?
妖怪なのか?
「怖がらなくていいよ。」
イースタンは出来るだけ優しく囁いた。
掴めないなら、逃がさない為には言語だ!
話術で丸め込むしか無い‼︎
「虐めたりしないからね」
イースタンは『無駄にイケメンヅラ』と呼ばれる顔で、全力笑顔を作った。
て、言うか、頭の隅に冷静な自分が立ち上がった。
冷静に視線を飛ばす。
窓良し!
ドア良し!
……残るは、さっきしりがばたばたしていたあの窓だけだ。
ーーつまり、イースタンは出口をチェックした。
なぜなら健康優良児だったからだ。
元気な良い子は、幼いころにナニーと一緒に走り回る。
蝶を追っ掛け、蜻蛉を捕まえ。
おたまじゃくしを部屋に持ち込む。
元気な良い子は採取好きなのだ。
逃げ場は無いと踏んだ。
さっきあの窓から出られなかったしな。
イースタンはそろりと立ち上がった。
出来るだけ驚かせないように、ゆっくりだ。
びよびよと震えて壁際に固まる影。
敵意は無いよ♡という笑みを浮かべ。
そろそろと近づく。
それは(しりを向こうに向けているのでただ影でしか無い)びくりと立ち尽くし、慌てたように左右を見た。
そして逃げ場が無いと知ると、へなへなとへたり込んだ。
壁際に小さくなったそれはぷるぷる震えている。
そう、はっきり見えない影みたいだけど。
絶対座り込んでいる。
ぷるぷる揺れる感じが、すっごくすっごく怖がってるみたいで、罪悪感がぱねえ。
しりもといそれは、どうも頭を抱えてる小さくなっているようで。
髪の色も分からない。て言うか、多分頭はここだよね。しかわからないのに、怯えが伝わってくる。
そーっと手を伸ばす。
ほら、逃げたら急いで捕まえられるように。
でも虐めないよぉ。と言いたげにそーっと。
まぁ、逃亡を諦めて貰ううもりで、そーっと手を伸ばす。
丸い置物のように小さくなったそれは。
ふるふるふるふる。
手を伸ばす。 ふるふるふる。
手を伸ばす。 ふるふる。
指先が壁に届いた。
ん”ん”っ!?
イースタンの手は薄い影に突っ込まれ、そのまま後ろの壁に当たっている。
……つまり、これは、透けてる?
って、指通り抜けるって。
指通り抜けるって……
このしり馬鹿じゃねぇ‼︎
驚きのままあんぐりして。
そして慌てて手を引いた。
さっきしりは窓に挟まってバタバタしていた。
つまり、出れて無い。
つまり、出れるって事をわかっていないのだ‼︎
擦り抜けちまえば一発で外だろう!
そんな問答が頭の中で流れた。
イースタンはそっと床にあぐらをかいた。
こんなチャンス逃す手は無い。
するりと抜け出れる事を悟られちゃいけない。
でも、これ何⁉︎
幽霊なのか、妖精なのか?
妖怪なのか?
「怖がらなくていいよ。」
イースタンは出来るだけ優しく囁いた。
掴めないなら、逃がさない為には言語だ!
話術で丸め込むしか無い‼︎
「虐めたりしないからね」
イースタンは『無駄にイケメンヅラ』と呼ばれる顔で、全力笑顔を作った。
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