2 / 3
第2話
しおりを挟むヒステリーをおこして、マーガレット様が叫びます。
「だって、だって私見たんだものっ!!その人がいけない事をしてるところ!!」
見たところ、こんなに必死なのは玉の輿に乗りたいからでしょうか。何としてでも私を追い落として、自分がその座につくのだという確固たる意志が見えますね。
「ほう。では、いつ見たのかを教えてもらおうか」
鋭い目つきはそのままに、お父様が聞きました。図々しく家に乗り込んできただけありますね。怯むことなく言い放ちました。
「ちょうど1か月前、18時くらいに学校の教室でクラスメイトと2人きりになってたじゃない!その後やばい声が聞こえてきたのよ!!」
私は記憶を探ります。すると、しっかりアリバイが出てきました。
「確かその日は、両家が集まって食事をしていませんでしたか?」
「そうだね。お前もいただろう」
私の質問に返事をしたのはアドリード公爵です。そのままマドラー様に視線を移し、強い口調で確認しました。
「え?あ、ああ、そうだったかな…」
「まさか、その程度の口車に乗せられたのか」
「い、いや、これだけじゃないんだ!そうだよな?マーガレット」
鬼のような形相でこちらを見ていたマーガレット様が、マドラー様の言葉を聞いてコロッと態度を変え、頷きました。
「え?ああ、はい。実は1週間前の今日も同じ事をしていたんです!」
それもアリバイがありますね。
「その日は体調が悪くて学校を休んでおりましたよ?」
ついにマーガレット様が喚き出しました。
「何なの、あんた!!邪魔しないでよ!!」
え?いや、その人私の婚約者なんですけど…。そう思った時、アドリード公爵が失望したようにマドラー様に言いました。
「マドラー。お前はまだ自分が騙されている事に気づかないのか?」
「マ、マーガレット、僕を騙していたのか?」
「だったら何よ!何か悪い!?」
いや、悪い事しかありませんけど。すると突然、今度はマドラー様が叫びました。
「僕を騙すなんて許さないぞ!!さっさと出て行け!!」
「言われなくたって出ていってやるわよ!!」
理解に苦しんでいる間にマーガレット様が帰っていきました。最後までよく分かりませんでしたわ。
「はー、良かった良かった!!危ない、悪い女に引っかかるところだった!!という訳で、今回の話は無しって事でお願いしますね!」
その場にいた全員が『はぁ?』という表情になります。一番最初に声を出したのはアドリード公爵です。
「………お前は何を言っている?」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。)
私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。
婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。
レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。
一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。
話が弾み、つい地がでそうになるが…。
そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。
朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。
そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。
レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。
第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
勘違いも凄いと思ってしまったが、王女の婚約を破棄させておいて、やり直せると暗躍するのにも驚かされてしまいました
珠宮さくら
恋愛
プルメリアは、何かと張り合おうとして来る令嬢に謝罪されたのだが、謝られる理由がプルメリアには思い当たらなかったのだが、一緒にいた王女には心当たりがあったようで……。
※全3話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる