【完結】幸せの嘘

チンアナゴ🐬

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第2話

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 海が一人一人にカードを配っていく。全員が自分のお題を見た事を確認して、海はカードを回収した。

「それで、どうしたらいいの?」

「このお題について話すんだよ。例えば…これはおいしいよね」

「そういう事ね。じゃあ、これはご飯と一緒に食べる」

「野菜がいっぱい入ってるよ」

 お互いの顔色を伺いながら、少しずつ情報を出していく。しばらくして、奏斗が思わず叫んだ。

「誰が嘘ついてるのか全然分かんねー!!」

 全員が同意した。

「嘘つきがもう、もう一つのお題分かってるんじゃない?」

「じゃあもう見つけられないじゃん!」

 その言葉を聞いた颯汰が、意見を出した。

「別のゲームにする?」

「トランプしよーぜ!やっぱスピードでしょ!」

 悠雅がすぐに答えた。悠雅はスピードが得意で、トランプになると必ずと言ってもいいほどスピードを提案してくる。
 自分たちで新しく遊びを考える事が多い颯汰達は、途中で遊びがころころ変わる。

「いいよ!今日こそは勝つからな?」

 健悟が悠雅に勝負を挑む。海がスピードの準備を進めていく。黒のトランプと赤のトランプに分け終わった時、颯汰と奏斗がベンチの上を片付け終わった。

「よし!準備OK!」

「こっちもいいよ!始めよーぜ」

「健悟、頑張れよ!!今日こそは連敗を止めるんだ!!」

「おう、任せとけ!」

 『スピード』という掛け声と共に、勝負が始まった。健悟と悠雅の邪魔にならないように、三人は横に移動する。

「健悟、いいぞ!いつもよりいい勝負だ!」

「いけるいける!」

 と三人が盛り上がったのもつかの間、すぐに悠雅が優勢になった。段々と差が開いていく。

「ああ…」

「今日も七枚差か…」

 健悟が悔しそうに立ち上がる。

「くっそー!今日も負けた。なんでそんなに強いんだよ!!」

「俺、天才だから!」

 悠雅が立ち上がって叫び、勝ち誇った顔で笑った。

「否定できないのがムカつくところなんだよなぁ…」

 颯汰がそう言ってため息をついた。

「そろそろ暗くなってきたなー。今何時?」

 奏斗がみんなに聞いた。海が走って、公園に設置されている時計を見に行く。

「4時45分ー!」

 と叫びながら帰ってきた。

「今日はもう帰るか」

「そうだな」

 全員で歩いて駐輪場に向かう。鍵を外して、自転車にまたがる。それぞれ、家の方向へ自転車をこぎ出した。

「じゃあ、また明日!」

「バイバーイ!」

 颯汰と悠雅は家の方向が同じなので、一緒に帰る。今日遊んでいて面白かった事や次の日の時間割の話をしていると、あっという間に颯汰の家の前についた。

「また明日な!」

「おう!」

 悠雅が息切れ気味なのが少し気になったが、特に心配せず家の中に入った。
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