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第七部
第54話「幼馴染は、私に何か隠し事をしているらしい」
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「おっと。そろそろ17時だね」
「……あれ? もうそんな時間?」
教室の壁に掛けられた時計の指す時間は、夕方5時。
休憩と名打っていたものの、気づいたら普通に佐倉さんと話し込んでしまっていた。
でも──楽しかった。
放課後の教室で、こんなにも話し込んだことなんて晴斗以外にいなかったっていうのもあるのかもしれない。けれど、佐倉さんと話した時間は、晴斗と過ごすときのような居心地の良さが垣間見えた。
「ほらね? 1人より2人の方が時間を有効に使えていいでしょ? 暇潰しって意味でもさ!」
「……そうだね」
クスッと、苦笑する私。
「今更ながらなこと訊くけどさー。何で凪宮君のこと教室で待ってるの? 透も言ってたけど、今日って『読書会』なんでしょ? 私は読書って、あんま好きじゃないけど、渚ちゃんは違うでしょ? ここで待つより文芸部の部室で待ってた方がよくない?」
「……入れるもんなら入ってるんだけどね」
「何か理由でもあるの?」
「そ、その……く、クラスで読書しないのと、同じ理由で──」
「まーた世間体?」
「……お恥ずかしながら」
私は教室で読書はしない。正確には、読みたい気持ちを抑えて周りと関わっているということ。趣味を満喫出来ないのはストレスでしかないが、それは致し方ないこと。
別に『読書』という概念に抵抗があるわけじゃない。
晴斗の前では堂々と本の話をしていられるし、家では普通に読んでるし。
──問題なのは、私の勇気の無さだと思う。
好きな人には告白出来たくせに、肝心なところで必要な勇気が出てこない。……何も出来なかったらどうしようって。あのときみたいに……何も、出来なかったらって思うと。
……自然と、口に出せないのだ。
「……何ていうかさ。渚ちゃんって変なところでシャイだよね」
「そう……なの?」
「間違いない! 私が“そう”って言ってるから間違いないのっ!」
「で、でも。あんまりそういう自覚ないんだけど……」
「──いや、お前は間違いなくシャイだと思うぞ」
佐倉さんとちょっぴり真剣な話をしていた最中、不意に後ろの扉の方から声が聞こえた。
背筋に悪寒が走った私は咄嗟の反射神経で佐倉さんにしがみついた。
恐る恐る声がした方向へ視線を上げると──そこには、鞄を肩に掛け右手で髪を掻く見知った顔が立っていた。
「は、はる、と……?」
「人を幽霊を見たときみたいな顔で見るなよ、失礼な」
──し、心臓に悪いっ!! 私は心の中で地平線の彼方へ向かって叫んだ。ってか、全然気配とかしなかったんだけど!? 何、この子いつの間に忍者になったの!?
「……さっきまで楽しそうに話してたってのに、いきなり驚いて今は睨んでくるし。情緒不安定か、お前」
「誰のせいだと思ってるのよ! ……ってか、あれ? 部活は?」
私はここでようやく晴斗がここにいる理由に観点が追いついた。
確か今日は『読書会』のはず。いくら文化部だからと言ってさすがに5時に終わるのは早すぎると思うんだけど。
「終わった」
「見ればそれはわかるけど……早くない?」
「欠席者が多かったんだよ。それで、早めに部活も終わったってわけさ!」
と、後ろから晴斗の説明を補足するように口を出してきたのは、藤崎君だった。
「いやぁ~。それにしても、さっきの驚きっぷりは見事だったな! 晴、お前人を驚かす才能あると思うぞ!」
「その才能の使い道はどこなんですかね」
呆れた口調で物を言う晴斗を、藤崎君は「あっははは!」と高笑いしながら背中を叩いている。「いてぇ」と反発され、すぐに離れたけど。
「あ! それじゃあさ、一緒に帰らない? 私達もさっき勉強会終わったからさ!」
「……えっ?」
休憩を挟むだけのつもりが話は飛躍し、終わるという最終地点に収着した。
……まぁ確かに、あのまま勉強会を続行したとしてもお互いに話し込んでしまうのは確実かも知れない。友達と勉強なんてしたことがないから、話の終え方なんて知る由もない。
そんな考えをしていると、佐倉さんはキラキラと光沢を帯びた瞳で私を見据える。
まるで『しっかりね!』と、謎のエールを贈られているかのように思ってしまった私はいつからテレパスの能力が使えるようになってしまったのか……。
いや、多分、彼女が意図的に、わかりやすくそう読まさせているのかもしれないけど。
しかし、そんな彼女の行為を無に帰すようにして──藤崎君は「悪い」と、たった一言だけを告げた。
「オレら、これからちっと野暮用があるんだわ。ってなわけだから、先帰っててくれ」
「え、そうなの? だったら私達も付き合うけど」
「い、いや、それだけは……」
藤崎君は私の意見に片手を突き出し拒否してきた。
……何か怪しい。そう思うだけど物的証拠は無いけれど、直感がそう告げていた。
何より、藤崎君があそこまでの拒絶をするっていうのも珍しい。
すると今まで黙っているだけだった晴斗が、藤崎君の鞄を掴みぐいっと彼を自分の元へと引き寄せた。
「いって! もうちょっと丁寧に扱えよ!」
「はいはい」
「……晴斗?」
「渚、悪いがそういうことだ。この件は男子にしか無理なことなんだ。だから今日は、佐倉さんと一緒に帰ってくれないか?」
「…………わかった」
「悪いな。それじゃ、また明日」
そう言って、藤崎君を引っ張りながら晴斗はそのまま教室を後にしていった。その間際に「じゃあな!」と藤崎君は手を振ってくれた。が、晴斗は振りからず、廊下の先を進んで行った。
取り残された私達だが、このまま居ても仕方がないため荷物を纏めることにした。
すると佐倉さんが「うぅ~ん」と唸り声を上げた。
「どうしたの?」
「……いや。なぁーんか怪しいよねぇ。尾行でもしてみる?」
「び、尾行!?」
「ま、この提案は最初から没決定だけどね」
「えっ?」
「だって、凪宮君の観察眼と洞察力は、透に自慢話みたいに聞かされてきたから、きっと尾行しても凪宮君にはすぐに気づかれる。特にこっちには──凪宮君のこととなると感情が露骨になるハンデがあるからねぇ」
「だ、誰のことよそれ……!!」
「さぁ。誰のことでしょうね~?」
この少しだけ性根が意地悪なところ、やっぱり藤崎君とどこか似ている気がする。
幼馴染って“きょうだい”のようにそういった部分なんかも似てくるものなんだろうか。佐倉さんと藤崎君を見ていると、不思議とそう思ってしまう。
だとしたら、私と晴斗は全く似ていない。寧ろ真反対な性格だし。
「……まっ、今日のところは大人しく帰ろ。何かあればいつでも電話してきなね!」
「……うん」
性格が似ていないのは百も承知。……だけど、あんなにも眼光が鋭くなっている晴斗を見たのは、産まれて初めてな気がする。
読書をするときにも、勉強をするときでさえあんな顔、見たことないのに……。
私は初めて見た幼馴染のあんな顔に、未だ驚きを隠せていなかった。
「……あれ? もうそんな時間?」
教室の壁に掛けられた時計の指す時間は、夕方5時。
休憩と名打っていたものの、気づいたら普通に佐倉さんと話し込んでしまっていた。
でも──楽しかった。
放課後の教室で、こんなにも話し込んだことなんて晴斗以外にいなかったっていうのもあるのかもしれない。けれど、佐倉さんと話した時間は、晴斗と過ごすときのような居心地の良さが垣間見えた。
「ほらね? 1人より2人の方が時間を有効に使えていいでしょ? 暇潰しって意味でもさ!」
「……そうだね」
クスッと、苦笑する私。
「今更ながらなこと訊くけどさー。何で凪宮君のこと教室で待ってるの? 透も言ってたけど、今日って『読書会』なんでしょ? 私は読書って、あんま好きじゃないけど、渚ちゃんは違うでしょ? ここで待つより文芸部の部室で待ってた方がよくない?」
「……入れるもんなら入ってるんだけどね」
「何か理由でもあるの?」
「そ、その……く、クラスで読書しないのと、同じ理由で──」
「まーた世間体?」
「……お恥ずかしながら」
私は教室で読書はしない。正確には、読みたい気持ちを抑えて周りと関わっているということ。趣味を満喫出来ないのはストレスでしかないが、それは致し方ないこと。
別に『読書』という概念に抵抗があるわけじゃない。
晴斗の前では堂々と本の話をしていられるし、家では普通に読んでるし。
──問題なのは、私の勇気の無さだと思う。
好きな人には告白出来たくせに、肝心なところで必要な勇気が出てこない。……何も出来なかったらどうしようって。あのときみたいに……何も、出来なかったらって思うと。
……自然と、口に出せないのだ。
「……何ていうかさ。渚ちゃんって変なところでシャイだよね」
「そう……なの?」
「間違いない! 私が“そう”って言ってるから間違いないのっ!」
「で、でも。あんまりそういう自覚ないんだけど……」
「──いや、お前は間違いなくシャイだと思うぞ」
佐倉さんとちょっぴり真剣な話をしていた最中、不意に後ろの扉の方から声が聞こえた。
背筋に悪寒が走った私は咄嗟の反射神経で佐倉さんにしがみついた。
恐る恐る声がした方向へ視線を上げると──そこには、鞄を肩に掛け右手で髪を掻く見知った顔が立っていた。
「は、はる、と……?」
「人を幽霊を見たときみたいな顔で見るなよ、失礼な」
──し、心臓に悪いっ!! 私は心の中で地平線の彼方へ向かって叫んだ。ってか、全然気配とかしなかったんだけど!? 何、この子いつの間に忍者になったの!?
「……さっきまで楽しそうに話してたってのに、いきなり驚いて今は睨んでくるし。情緒不安定か、お前」
「誰のせいだと思ってるのよ! ……ってか、あれ? 部活は?」
私はここでようやく晴斗がここにいる理由に観点が追いついた。
確か今日は『読書会』のはず。いくら文化部だからと言ってさすがに5時に終わるのは早すぎると思うんだけど。
「終わった」
「見ればそれはわかるけど……早くない?」
「欠席者が多かったんだよ。それで、早めに部活も終わったってわけさ!」
と、後ろから晴斗の説明を補足するように口を出してきたのは、藤崎君だった。
「いやぁ~。それにしても、さっきの驚きっぷりは見事だったな! 晴、お前人を驚かす才能あると思うぞ!」
「その才能の使い道はどこなんですかね」
呆れた口調で物を言う晴斗を、藤崎君は「あっははは!」と高笑いしながら背中を叩いている。「いてぇ」と反発され、すぐに離れたけど。
「あ! それじゃあさ、一緒に帰らない? 私達もさっき勉強会終わったからさ!」
「……えっ?」
休憩を挟むだけのつもりが話は飛躍し、終わるという最終地点に収着した。
……まぁ確かに、あのまま勉強会を続行したとしてもお互いに話し込んでしまうのは確実かも知れない。友達と勉強なんてしたことがないから、話の終え方なんて知る由もない。
そんな考えをしていると、佐倉さんはキラキラと光沢を帯びた瞳で私を見据える。
まるで『しっかりね!』と、謎のエールを贈られているかのように思ってしまった私はいつからテレパスの能力が使えるようになってしまったのか……。
いや、多分、彼女が意図的に、わかりやすくそう読まさせているのかもしれないけど。
しかし、そんな彼女の行為を無に帰すようにして──藤崎君は「悪い」と、たった一言だけを告げた。
「オレら、これからちっと野暮用があるんだわ。ってなわけだから、先帰っててくれ」
「え、そうなの? だったら私達も付き合うけど」
「い、いや、それだけは……」
藤崎君は私の意見に片手を突き出し拒否してきた。
……何か怪しい。そう思うだけど物的証拠は無いけれど、直感がそう告げていた。
何より、藤崎君があそこまでの拒絶をするっていうのも珍しい。
すると今まで黙っているだけだった晴斗が、藤崎君の鞄を掴みぐいっと彼を自分の元へと引き寄せた。
「いって! もうちょっと丁寧に扱えよ!」
「はいはい」
「……晴斗?」
「渚、悪いがそういうことだ。この件は男子にしか無理なことなんだ。だから今日は、佐倉さんと一緒に帰ってくれないか?」
「…………わかった」
「悪いな。それじゃ、また明日」
そう言って、藤崎君を引っ張りながら晴斗はそのまま教室を後にしていった。その間際に「じゃあな!」と藤崎君は手を振ってくれた。が、晴斗は振りからず、廊下の先を進んで行った。
取り残された私達だが、このまま居ても仕方がないため荷物を纏めることにした。
すると佐倉さんが「うぅ~ん」と唸り声を上げた。
「どうしたの?」
「……いや。なぁーんか怪しいよねぇ。尾行でもしてみる?」
「び、尾行!?」
「ま、この提案は最初から没決定だけどね」
「えっ?」
「だって、凪宮君の観察眼と洞察力は、透に自慢話みたいに聞かされてきたから、きっと尾行しても凪宮君にはすぐに気づかれる。特にこっちには──凪宮君のこととなると感情が露骨になるハンデがあるからねぇ」
「だ、誰のことよそれ……!!」
「さぁ。誰のことでしょうね~?」
この少しだけ性根が意地悪なところ、やっぱり藤崎君とどこか似ている気がする。
幼馴染って“きょうだい”のようにそういった部分なんかも似てくるものなんだろうか。佐倉さんと藤崎君を見ていると、不思議とそう思ってしまう。
だとしたら、私と晴斗は全く似ていない。寧ろ真反対な性格だし。
「……まっ、今日のところは大人しく帰ろ。何かあればいつでも電話してきなね!」
「……うん」
性格が似ていないのは百も承知。……だけど、あんなにも眼光が鋭くなっている晴斗を見たのは、産まれて初めてな気がする。
読書をするときにも、勉強をするときでさえあんな顔、見たことないのに……。
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